窪田正孝「“ジム”と“試合”シーンをそれぞれ一日で撮影したのは体力的に辛かった」厳しい撮影を笑顔で振り返る

窪田正孝を主演に迎え、三池崇史監督が初のラブストーリーに挑んだ映画『初恋』が、2020年2月28日より公開される。このほど、12月5日に開幕した第4回マカオ国際映画祭のフライングダガー部門に本作が出品され、12月7日(現地時間)に行われた囲み取材とレッドカーペット・舞台挨拶イベントに、窪田正孝、内野聖陽、ベッキー、三池崇史監督が登壇した。

今年で4回目を迎えたマカオ国際映画祭は、現地の若い世代の映画文化を反映し、人気作やジャンル作品を中心に構成される国際映画祭。三池崇史監督は第1回マカオ国際映画祭に『土竜の唄 香港狂騒曲』で参加して以来2回目、窪田正孝、内野聖陽、ベッキーは初参加となった。

深夜にマカオへ到着した一向は空港からホテルへタクシーで向かう際、ものの10分で着くところを1時間ほどの回り道を強いられるというプチハプニングに見舞われながらも、内野は運転手が夜景を楽しませてくれたと前向きに捉え、マカオのきらびやかな街並みを楽しんだことを語った。

海外メディア向けの囲み取材では、アジアメディア、インターナショナルメディアからの多くの質問に答えた。三池監督は、多岐にわたるジャンル作品を手掛けるなかで香港映画からの影響は受けているかという質問に対し、「僕は映画監督になりたかったというよりも、ブルース・リーになりたかった!カンフー映画は子供の頃からたくさん観ているので、監督として以前に人間として影響受けている」と回答し、ジャッキー・チェン以前の香港映画から強い影響を受けていることを明かした。窪田は役作りについて聞かれると、「ジムのシーンと、前日には試合のシーンをそれぞれ一日で撮影したのは体力的に辛かったですが、念願のボクサー役だったので頑張りました!(笑)」と厳しい撮影を笑顔で振り返った。内野は本作に携わり驚いたことを聞かれると、「自らがよく行くホームセンターが舞台になっていることにまず驚いた」と答え、さらに「駐車場の2階から車で飛び出すという画コンテを監督にみせられて驚いた。監督の奇抜なアイデアにエキサイトしましたし、良い映画に出会えたなと思いました」と三池監督らしいアイデアに驚きの連続だったことを口にした。そしてベッキーは本作に携わった感想を聞かれると、「まず本作に出演できて本当に嬉しかったです。憧れであった三池監督に声をかけていただいたので、すぐに出演のお返事をさせていただきました。私が感情爆発させる時は皆さんが空気を作ってくれて。明るすぎるわけでも、暗すぎるわけでもなく、居心地のいい現場だった。シーンに合う現場でやりやすかったです」と感無量の様子でコメントした。

さらに、マカオ国際映画祭の印象について聞かれると、窪田は「マカオは電力100パーセント使っているのではないかと思うくらい、ギラギラでした!これからたくさんの海外の方々に見ていただく中でジャンルを問わず映画って楽しいなって思っていただけると嬉しいです」、三池監督は「マカオは1回目に来た時からギラギラしていました(笑)。マカオ映画祭は4回目を向かえて成長してきていると思うしこれからも楽しみな映画祭です」とコメントした。

また、三池監督とほかの監督との違いについて、窪田は「いろんな現場でやってきた中で、誰よりも現場を楽しんでいる姿が10年間変わらない三池監督はすごい。主要キャストだけでなく、通行人や周りの出演する人全員に対して愛をもって役を導いているのは素晴らしいなと思います」、内野は「映画にかけるやんちゃぶりは素敵だと思います。日本映画の現場はいろんな制約があるものの、前向きに捉えて、作品を愛して戦い続ける姿は見ていて嬉しかった。高みに挑んでいく姿は、みんながついていきたくなるくらい、三池監督の映画愛は別格です」、ベッキーは「感情を爆発させるシーンを撮影する時に、まず感情を作ってからカメラを回していただいたのですが、感情が出来た時に“カメラ回してください”って言わなきゃって思った瞬間に監督が言ってくださって。初めてご一緒したのに、こんなに私を理解してくださる方がいるんだって有難かったです」とそれぞれ三池監督に対する特別な思いがあることを明かした。

本作での海外映画祭は初めての参加となった内野は、「台本をいただいた時、勢いのあるものだなと感じましたが、海外映画祭に参加して実際に三池監督の作品がどのように受け入れられているのか反応を見るのが楽しみです。私は劇中でバイオレンス担当なのですが、そのようなところもどのようにみられているのか楽しみです」と語り、ベッキーは「観客の生の反応を見ながら自分も観るのが初めてなのでとてもすごく興味深いです。妹がアメリカで見た際に私のシーンでも笑いが起きているところが一か所あったみたいで、そんなシーンあったかな…と思うので、どこなのかチェックしてみたいと思います」と本作で見事な怪演を見せたベッキーならではの意気込みを明かした。

同日の夜に行われたレッドカーペットでは多くの観客が詰めかけ、大きな歓声が止まないなか4人のサインを求める人々で溢れかえった。そんな熱烈なファンの声援に、ひとつひとつ丁寧に答えるなか、10分ほど押して舞台挨拶がスタート。600席の場内はほぼ満席で、三池監督は「土曜の夜、今日のこの時間に観るのにちょうどいい作品だと思いますのでぜひお楽しみください!」とコメント。窪田は広東語で一言挨拶をすると、会場からははちきれんばかりの黄色い歓声が。続けて、「この作品を通して、日本映画の素晴らしさが海を越えて一人でも多くの人に届くといいなと思っています。渾身の力作なので、観終わった人に、身近な助けてくれる人へ感謝の気持ちが芽生えてくれたら嬉しいです」と本作にかける熱い思いを明かした。ベッキーは「今はにこやかですが、映画が始まったら悪魔のような顔になります(笑)。そこもぜひ楽しんでください。でも、その根底には“FIRST LOVE”があること忘れないでください!」と観客に呼びかけた。内野も広東語の挨拶でファンを沸かせると、「今や絶滅危惧種となっているヤクザという過激な役を演じています。ぶっとんだ映画になっていますので、最後まで楽しんでください」とコメントし、観客のボルテージが最高潮に達するなか上映がスタート。エンドロールでは既に万雷の拍手が鳴りやまず、上映後には盛大な歓声があがった。観客と一緒に鑑賞した窪田は、「カンヌの時はお客さんと一緒に作品を見られなかったけれど、今日皆さんと観られて、笑いたいところは笑うという素直に映画を楽しんでいる様子を伺えて嬉しかったです!」と喜びを明かし、本作の上映は観客もキャストも大興奮のなか幕を閉じた。

『初恋』
2020年2月28日(金)全国公開
監督:三池崇史
出演:窪田正孝 大森南朋 染谷将太 小西桜子 ベッキー 三浦貴大 藤岡麻美 顏正國(YEN CHENG-KUO) 段鈞豪(TUAN CHUN-HAO) 矢島舞美 出合正幸 村上淳  滝藤賢一 ベンガル 塩見三省 内野聖陽
配給:東映

【ストーリー】 舞台は、さまざまな事情を抱えた人間たちが流れ込む欲望の街・新宿歌舞伎町。天涯孤独ながら希有な才能を持つプロボクサーの葛城レオ(窪田正孝)が、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫し、試合後の診察で余命いくばくも無い病に侵されていることを知る。自暴自棄になったレオが、気もそぞろに繁華街を歩いていると、男に追われる少女に出くわす。ただ事ではない様子を察したレオは条件反射的に男をKO。気を失った男のポケットにあった、警察手帳をとっさに懐へとしまうと、少女の後を追った。少女はモニカ(小西桜子)と名乗り、親の虐待から逃れるように街へ流れついて、ヤクザに囚われていたことを明かす。KOされた男は悪徳刑事・大伴(大森南朋)でヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策、モニカを見張っていたのだ。ヤクザと大伴から追われる身となったレオだが、モニカと自らの境遇が重なる部分もあり、どうせ短い命ならと半ばやけくそで彼女を救おうと決意する。一方で、モニカと共に資金源となる“ブツ”が消えさらにヤクザの一員・ヤス(三浦貴大)が殺されたことを彼女のジュリ(ベッキー)から知らされる組員一同は、組長代行(塩見三省)のもとで今にも一触即発の様相を呈していた。一連の事件をチャイニーズマフィアの仕業だと踏んだ組随一の武闘派・権藤(内野聖陽)が組の核弾頭・市川(村上淳)と共に復讐を決意し、ジュリも後を追った。ヤクザとチャイニーズマフィアに悪徳刑事。ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは…。欲望渦巻く繁華街で出会った孤独な二人が過ごした、人生で最も濃密な一夜の結末や如何に。

(C)2020「初恋」製作委員会