原作・島本理生「小説と映画でラストが異なる。それが最も素晴らしいと感じた」夏帆 × 妻夫木聡『Red』場面写真

「ナラタージュ」、「ファーストラヴ」などを手掛けた直木賞作家・島本理生が初めて官能の世界に挑んだ小説を、主演に夏帆、共演に妻夫木聡を迎えて映画化する『Red』が、2020年2月21日より公開される。このほど、本作の場面写真がお披露目となり、併せて、原作者・島本理生より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

高校教師と元教え子の禁断の恋愛を描き、豪華キャストで映画化され話題を呼んだ「ナラタージュ」、逃げ道のない4人の女性たちの愛と性を抉るように描いた「夜 は お し ま い」など、センセーショナルな背景の中で人間の弱く儚い心に寄り添い描いた作品を次々と世に送り出してきた恋愛小説家・島本理生。特に女性の読者からの支持は熱く、複雑で切ない物語の展開に多くの共感を得ている。そんな島本の自身初となる官能小説を映画化した本作は、女性の生き方への視野を広げるテーマとして描かれており、現代を生きる女性たちに今一度“私自身とは?”と問いかける。過激な愛の描写や、主人公・塔子が下す衝撃の決断に対し「賛否両論の問題作」と謳われた本小説であるが、実は小説と映画のラストは大きく異なった結末を迎える。

■島本理生(原作) コメント
本作の『Red』は小説と映画でラストが異なる。原作者として最も素晴らしいと感じたのは、その点だった。なぜなら私自身が小説を書き終えたときに、人によってはまったく違うラストを描いただろうという想いがあったからだ。それはいかに女性の生き方というものに正解がないか、という実感でもあった。本作には3人の男性が登場し、ヒロインの塔子に惹かれていく。だから一見、その最中の性愛や、塔子が誰を選ぶのかが物語の主軸のようにも見えがちである。だけどそこは本質ではないと私自身は思っている。塔子が彼らを通して、誰のものでもない“私”をどう生きていくかが、この『Red』という作品の本当のテーマだった。そして映画では、その主題が美しい映像と共により鮮烈に映し出されていたことに、深く感銘を受けたのだった。愛が成就してハッピーエンドで終われるならば、それはもちろん幸せだろう。だけど人生はその後もハッピーだけではなく続いていくし、それぞれの深い想いを置き去りにして、唐突に失われてしまうこともある。妻や母親としての正しさばかり求められるわりには、幸福の答えがない女性の人生をどのように選択していくか。そんなシンプルで根本的なことがずっと置き去りにされてきた日本の女性に、今一度“私”とはなにかを問いかける。私にとって映画『Red』は、そんな作品だった。

『Red』
2020年2月21日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:三島有紀子
原作:島本理生「Red」
脚本:池田千尋 三島有紀子
出演:夏帆 妻夫木聡 柄本佑 間宮祥太朗 片岡礼子 酒向芳 山本郁子 浅野和之 余貴美子
配給:日活

【ストーリー】 平凡な結婚、可愛い娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった村主塔子(夏帆)。10年ぶりに昔の恋人・鞍田秋彦(妻夫木聡)に再会をする。「君は、変わってないな…」鞍田は、塔子の気づかなかった心の隙間に悪魔のように入り込んでくる。そして運命は予想もしない方向へ走り出す…。

©2020『Red』製作委員会