画家グスタフ・クリムトの魅力を凝縮したドキュメンタリー『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』予告編

いまなお圧倒的な人気を誇るウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトの魅力を凝縮したドキュメンタリー映画『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』が、6月8日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

19世紀末のウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトは、劇場の壁画装飾などで名を馳せ、1897年に保守的なウィーンの画壇から離脱し、「ウィーン分離派」を結成。新しい造形表現を追求し、エゴン・シーレら次世代の画家たちにも多大な影響を与えた。人間の不安や孤独や恐れを、世紀末的官能性のなかで描いたその作風は、今も色褪せることなく輝きを放ち、人々の心をとらえ続けている。

クリムトの没後100年となる2018年に製作された本作では、豊富な映像資料で、クリムトとシーレが生きた19世紀末ウィーンに花開いたサロン文化と、彼らの愛と官能性に満ちた絵画をつまびらかに見せつける。日本語ナレーションは、海外ドキュメンタリー映画のナレーションは初となる、俳優の柄本佑が担当する。また本作は、4月23日から7月10日まで東京都美術館にて開催される「クリムト展 ウィーンと日本1900」の特別タイアップ企画でもあり、映画と展覧会を併せて楽しむことができる。

予告編では、19世紀末のウィーンで華麗に花開いたクリムトとシーレらの官能の絵画群が渦のように立ち現れていく。中でも目をひくのは、東京都美術館で開催中の「クリムト展 ウィーンと日本1900」で来日し、多くの人を魅了している「ユディトⅠ」だ。クリムトの黄金様式のはしりとも言えるこの女性像は、当時保守的で(男性が中心の)社会から「男の首をもって、官能的な喜びを得ている」と激しく批難されたという。柄本佑のナレーションは、やわらかな語り口で革新的な芸術が生まれた世紀末ウィーンへと導いてくれる。時代に反逆し、自らの芸術表現を切り開いたクリムト。100年の時を経て、今もなお人々の心を虜にするその魅力に迫ることを期待させる映像となった。

『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』
6月8日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
監督:ミシェル・マリー
脚本:マリアナ・マレリ
出演:ロレンツォ・リケルミー リリー・コール
日本語ナレーション:柄本佑
配給:彩プロ

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