井浦新と大橋彰(アキラ100%)が兄弟役でタッグを組む、『ゆらり』の横尾初喜監督最新作『こはく』が、7月6日より全国順次公開、横尾監督の出身地であり舞台となった長崎県にて6月21日より先行公開される。このほど、追加キャストとして遠藤久美子、木内みどり、鶴田真由、嶋田久作、石倉三郎、塩田みう、寿大聡、鶴見辰吾が出演することが発表された。
本作は、兄弟の小さな冒険を通じて、「家族」を知り「愛」を知っていく物語。長崎県でガラス細工の工場を営む亮太は、幼い頃に別れた父の工場を受け継ぎ、厳しい状況ながらもなんとかうまくやっている。だが、かつての父と同じように自身も離婚を経験し、子どもたちと会うことが出来ずにいた。定職に就かずブラブラし、虚言癖のある兄・章一の存在にも悩むなか、ある日、亮太は章一から、街で偶然父の姿を見かけたことを告げられる。そんな折、現在の妻・友里恵の妊娠を知った亮太は、父のいない過去をひきずったままの自分に気付き、章一を信じ、ともに父を探し始める。
横尾監督の幼少期の実体験をもとに、『きらきら眼鏡』の守口悠介が共同脚本を担当。両親の離婚で心に深い傷を負い、別れた父の姿を追い続ける主人公・亮太を井浦新が演じるほか、問題のある兄・章一役に、お笑い芸人アキラ100%が、本名の大橋彰の名で出演。アキラ100%のキャラクターとは180度異なる新境地を披露している。
新たなキャストとして、井浦新演じる主人公・亮太の妻役を、横尾初喜監督の妻である女優の遠藤久美子が演じる。横尾監督の前作『ゆらり』に続いての夫婦共演が実現した。映画の企画が持ち上がった時点から、夫・横尾監督の側で寄り添ってきた遠藤は、「私は撮影に入る2年前から、主人の想いに寄り添い、過去を共有してきました。痛みも喜びも全て受け止め、家族として生き続ける覚悟を持って、撮影の日々を過ごせたことを役者としても妻としても、幸せに思います」とコメントを発表。また、亮太・章一兄弟の母親・元子に扮する木内みどりは「人生がキラキラしてくる。あたたかい映画。母役、うれしかった」と語り、父の失踪に関わる女性・小杉晃子役を演じる鶴田真由からは「横尾監督の自伝ともいえる大切な作品に参加できたことを光栄に思います」と、それぞれ出演の喜びを語った。そのほか、父親探しの途中で出会う黒服の男・佐久本役に嶋田久作、亮太が経営するガラス細工会社の職人・宮本哲郎役に石倉三郎、哲郎の孫・優希役に塩田みう、ガラス細工会社社員・越野啓介役に寿大聡、そして、兄弟の父親役には鶴見辰吾と個性的かつ実力派キャストが脇を固める。
キャスト コメント
■遠藤久美子(亮太の妻・友里恵役)
映画『こはく』は、主人が幼少期に心の奥底に閉じ込めた「想い」を一つ一つ丁寧に向き合うという非常にエネルギーのいる作業を積み重ねた作品です。映画『こはく』を製作する過程で、家族への愛、郷土への愛、映画への愛、仲間や協力者への愛。そして、長崎に眠るご先祖達の愛が主人の作品に沢山注がれていた様に思います。私は撮影に入る二年前から、主人の想いに寄り添い、過去を共有してきました。痛みも喜びも全て受け止め、家族として生き続ける覚悟を持って、撮影の日々を過ごせたことを役者としても妻としても、幸せに思います。この映画を見終わった時、誰しも自分の中にある、決して忘れる事の出来ない家族に想いを馳せていただけたら幸いです。
■木内みどり(亮太・章一兄弟の母親・元子役)
父と息子、母と息子、夫と妻、兄と弟。そう生まれたからというだけの関係からそうありたいと願う関係へと、はっきり自覚して選び取ると生きやすくなる。人生がキラキラしてくる。あたたかい映画。母役、うれしかった。
■鶴田真由(父の失踪に関わる女性・小杉晃子役)
私が撮影に入った時には9割以上が撮り終わっている状況でした。それまでに起こった数々の奇跡と役者陣の素晴らしい演技のエピソードを聞いていましたので、とてもプレッシャーを感じました。横尾監督の自伝ともいえる大切な作品に参加できたことを光栄に思います。
■嶋田久作(黒服の男・佐久本役)
私見ですが、戦後の日本において父権の低下が進みバブルがはじけた後、90年代半ば頃からは父親捜しが表裏に据えられた物語が多く創られるようになった気がします。それは社会全体が「規範」や「責任主体」、「理想」といったものをはっきりと打ち立てることが出来なくなったことと無縁では無いように感じられます。この『こはく』では中年に差し掛かる兄弟が、物心つくかつかないかの時期に生き別れた父親を求めて探し歩きます。そして生き別れた父親も自分を父親として確立していないように見受けられる人物で、つまり父権として機能する存在がいないのです。父親を見出せない中で「成熟」することが出来るのか否か。門外漢なので的外れの恐れは否めませんが、私たちは今後、暗中模索しながら「自立」し「孤独」に耐え、「優しさ」と「寛容」を身につけていかなければならないのかもしれません。脚本を読んで、演じてみてそんな思いがよぎりました。
■石倉三郎(ガラス細工会社の職人・宮本哲郎役)
父の愛、母の愛、子供の両親への想い。心に傷を抱えた主人公一家を温かく優しく見守ってきた宮本哲郎を、人々の優しさ溢れる監督の故郷長崎で、参加できたことを嬉しく思います。
■塩田みう(哲郎の孫・優希役)
『こはく』という作品との出会いは、私にっとって生涯忘れられない経験になりました。演じることの大変さと楽しさ等、今まで感じたことがない感覚でした。また、役者の方と現場の方との出会いは、私にとって言葉だけでは表現できないほどの成長になりました。
■寿大聡(ガラス細工会社社員・越野啓介役)
今回は映画『こはく』に参加でき本当に心から嬉しく思います。横尾初喜監督は公私ともに長年お世話になっており一番信頼、尊敬している監督でございます。その横尾監督の半生を描いた作品『こはく』に出演出来た事は僕の俳優人生における財産であります。長崎を舞台にした素敵な家族のストーリーを皆様どうぞお楽しみ下さいませ。
『こはく』
7月6日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
6月21日(金)より長崎先行ロードショー
監督・原案:横尾初喜
脚本:守口悠介 横尾初喜
出演:井浦新 大橋彰(アキラ100%) 遠藤久美子 嶋田久作 塩田みう 寿大聡 鶴田真由 石倉三郎 鶴見辰吾 木内みどり
配給:SDP
【ストーリー】 長崎県でガラス細工の工場を営む亮太(井浦新)。幼い頃に別れた父の工場を受け継ぎ、厳しい状況ながらもなんとかうまくやっている毎日。だがその一方、かつての父と同じように自身も離婚を経験し、子どもたちと会うことが出来ずにいた。定職に就かずブラブラし、虚言癖のある兄・章一(大橋彰)の存在も悩みのタネだ。そんなある日、亮太は章一から、街で偶然父の姿を見かけたことを告げられる。信じられずにいる亮太だが、そんな折現在の妻・友里恵に妊娠を告げられる。「お父さんになる自信、ある?」。その一言で、父のいない過去をひきずったままの自分に気付く亮太。亮太は章一を信じ、ともに父を探し始める―。
(C)2018「こはく」製作委員会