ノルウェー連続テロ事件を72分間のワンカットで映像化『ウトヤ島、7月22日』予告編&本ポスタービジュアル

2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で実際に起こった連続テロ事件を72分間のワンカットで映像化した『ウトヤ島、7月22日』が3月8日より公開される。このほど、本作の予告編と本ポスタービジュアルがお披露目となった。

2011年7月22日、治安が安定した北欧の福祉国家ノルウェーで起こったウトヤ島での無差別銃乱射事件。午後3時17分に発生した首都オスロ政府庁舎爆破事件により8人が死亡、さらに午後5時過ぎにオスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生し、ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が殺害された。犯人は、当時32歳のノルウェー人、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク。ノルウェーでは各政党ごとに青年部があり、夏になると若者たちを集めてサマーキャンプを開催する習慣があるが、犯人のブレイビクは、ウトヤ島で労働党青年部のキャンプが行われる7月22日に狙いを定め、オスロで爆破を実行したのちに車で移動、警官に成りすましてボートで島へ上陸した。現地からの度重なる救助要請の通報にもかかわらず、警察の初動ミスに通信トラブルが重なったため、ブレイビクの冷酷な凶行は実に72分間にも及んだ。

本作は、突然降りかかった銃撃パニックに激しく取り乱しながらも、愛する妹を必死に捜し続ける少女・カヤが、極限の恐怖の中でいかに行動していったかを、実際の事件の生存者の証言に基づいて描く。監督を務めるのは、『ヒトラーに屈しなかった国王』でアカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選出されたエリック・ポッペ。本作では、事件発生から終息に要した時間と同じ尺である72分間ワンカットで無差別銃乱射事件を映像化する手法に挑戦した。

予告編では、森の中で寝そべって身を潜めたり、キャンプ場のテントの脇を這いつくばって逃げる場面など、悲惨な事件の様子が伝わるシーンの一部が断片的に映し出される。77人もの尊い命が犠牲となったテロ事件。銃弾が飛び交い、次々と仲間たちが殺されていく中、必死に逃げ惑うカヤ。見失った妹のエミリアを探すが、見つからない模様。絶望に打ちひしがれる中、カヤが口ずさむ歌は、シンディ・ローパーの名曲「True Colors(トゥルー・カラーズ)」。<私には本当の色(本当の自分)が見える>人にはそれぞれ、色(個性)がある。個人個人を愛すること。自分らしさを尊重すること。この曲の歌詞は、主人公カヤ自身の未来を夢見た気持ちであり、未来を奪われてしまった事件の犠牲者たちへの哀悼の思いが込められている。ラストには、本ポスタービジュアルにもなっている、主人公カヤのカメラ目線の表情が捉えられた。

『ウトヤ島、7月22日』
3月8日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:エリック・ポッペ
出演:アンドレア・バーンツェン エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン
配給:東京テアトル

【ストーリー】 政治に関心ある数百人の若者が集い、キャンプファイヤーやサッカーに興じながら政治を学び、国の未来について語り合っているウトヤ島。そんなこの世の楽園のような場所を突如として銃声が切り裂き、キャンプ参加者の夢と希望を一瞬にして打ち砕く。何が起こっているのかわからないまま仲間たちと森へ逃げ込んだ少女カヤ(アンドレア・バーンツェン)は、その恐怖のまっただ中でありったけの勇気を奮い起こし、離ればなれになった妹エミリア(エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン)を捜し始めるのだが…。

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