ノルウェー連続テロ事件を72分間のワンカットで映像化『ウトヤ島、7月22日』2019年3月公開!

2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で実際に起こった連続テロ事件を72分間のワンカットで映像化した『Utoya 22.juli』(原題)が、邦題『ウトヤ島、7月22日』として、2019年3月8日より公開されることが決定した。併せて、特報映像とポスタービジュアルがお披露目となった。

2011年7月22日、治安が安定した北欧の福祉国家ノルウェーが、悪夢のような惨劇に襲われた。午後3時17分に発生した首都オスロ政府庁舎爆破事件により8人が死亡、さらに午後5時過ぎにオスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生し、ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が殺害された。犯人は、当時32歳のノルウェー人、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク。ノルウェーでは各政党ごとに青年部があり、夏になると若者たちを集めてサマーキャンプを開催する習慣があるが、犯人のブレイビクは、ウトヤ島で労働党青年部のキャンプが行われる7月22日に狙いを定め、オスロで爆破を実行したのちに車で移動、警官に成りすましてボートで島へ上陸した。現地からの度重なる救助要請の通報にもかかわらず、警察の初動ミスに通信トラブルが重なったため、ブレイビクの冷酷な凶行は実に72分間にも及んだ。単独犯の事件としては史上最多となる77人もの命が奪われたこのテロは、ノルウェーにおける戦後最悪の大惨事となったが、日本での報道は限定的なものにとどまり、事件の全容を知る者は極めて少ない。(同年3月11日、日本では東日本大震災が発生。この震災の報道が長く続いたことも影響したと思われる。)

監督を務めるのは、『ヒトラーに屈しなかった国王』でアカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選出されたエリック・ポッペ。本作では、事件発生から終息に要した時間と同じ尺である72分間ワンカットで無差別銃乱射事件を映像化する手法に挑戦。カメラは全編にわたって、銃撃パニックに激しく取り乱しながらも妹を必死に捜し続ける少女カヤを追いかけ、彼女の友人たち、キャンプで初めて出会った若者たちが極限の恐怖の中でとった行動を、実際の生存者の証言に基づいて描き出す。本作は、第68回ベルリン国際映画祭にてエキュメニカル審査員賞スペシャルメンションを受賞した。

このテロ事件を題材にした作品は、本作のほか、事件後のノルウェーに焦点を当てた、ポール・グリーングラス監督(『ユナイテッド93』、「ジェイソン・ボーン」シリーズ)が手がけたNetflixオリジナル映画『7月22日』が今年配信された。

『ウトヤ島、7月22日』
2019年3月8日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:エリック・ポッペ
配給:東京テアトル