【全文掲載】長尾謙杜「一生の思い出」、撮影現場で高橋一生に気づかれず「3回挨拶した」

MC:渡辺監督にも伺ってよろしいですか?

渡辺:ルーヴルの中が、下見の時は一般のお客さんがいる中でだったんですけど、閉館後の撮影だったので、誰もいない中で館内に入ると、画の持ってる力というか、画の持ってる背景だったり、そこに積み重ねた歴史みたいなのがダイレクトで伝わってきて、すごいいい意味での圧迫感というか、重い歴史を感じながら、「今いつなんだろう?」っていうような不思議な気分で撮影をさせて頂いて、本当に貴重でした。

MC:そして、長尾さんは、今回のご登壇の皆様とは、本編の中では共演はなかったんですが、実は撮影がない日に撮影現場にも見学に行かれたんですよね?

長尾:そうです。日本での撮影だったんですけども、日本の地方で撮影をさせていただいて、その滞在期間中に僕が休みの日に一生さんが撮影されている日がありまして、見学という形で一生さんが撮影されている現場にお邪魔させていただいて、一生さんがお芝居されるのを間近で見させていただいて、すごく勉強になりました。その時、私服で現場に行ってたので、最初「おはようございます!」って言っても一生さん気づいてくれなくて。3回ぐらい挨拶した時に「長尾さんですか?」みたいに気づいてくださって、スタッフさんだと勘違いされていたみたいで(笑)。でも気づいてくださった時に、「長尾さんですか?よろしくお願いします!」って言ってくださったのが、僕はすごく嬉しくて。一生さんとその日に出会えたのが一生の思い出です。

高橋:あの…当日のシーンは、僕が露伴のようで露伴ではないんですね。なので、僕はいつもと違う露伴の扮装をしていて、それがある意味その人間として初日だったんですね。僕はもう周りが見えなくて、長尾さんのことはもちろん存じ上げていたんですけれど、普段着だから気づかなかったということではなくて、もう周りが全く見えてない中年だったと思います(笑)。なので、大変申し訳ないと思って、長尾さんが前日に撮影されたっていうことは耳に入っていたんですけど、正直、長尾さんが見学しに来てくださるとは思っていなかったんで、「おはようございます」って元気な声で挨拶って言っていただいたんですけど、「あれ…?」って後で考えたら、「今の、長尾さんだったんじゃないか…?」と思ってたら、長尾さんが廊下で待っていらっしゃってて。「申し訳ない、長尾さん。よろしくお願いします」ってお伝えしたんですけれども、そんなことがありました(笑)。

MC:ありがとうございます。それではお時間です。最後に、締めのご挨拶を代表して高橋一生さんよりいただきたいと思います。

高橋:起承転結だったりとか、ストーリーに一本軸が入っている作品とは、ひと味もふた味も違うような。オムニバスのようでいて、すべてが繋がっていて、必ずクライマックスにピークが来るっていうことでもないような気がします。ある意味新しいかもしれないんですけど、どこか古き良き日本的なところも感じるような映画になっていると思います。観ていただける方はきっと分かっていただけると思うんですけど、「ルーヴルへ行く」というタイトルなんですけれども、これはある意味血脈の物語であって、自分自身に返ってくるような話でございます。長尾さんが演じる青年期の露伴から、中年期の露伴まで、一本筋が通っているようで、何か不思議な全く別の話が流れているように感じつつも、一番最後は一つに集約して行くような、とても奇妙な不思議で素敵な物語になっています。カテゴリー分けもできないようなサスペンスであり、ホラーでありヒューマンであり、僕が理想としていたものが随所に詰まっているような素敵な作品になっていると思います。ぜひ皆さんで観ていただけたらなと思っております。あまり僕自分の作品を何度も何度も観るような人間じゃないんですけど、昨日の初号を観た時に、ある一定の距離感を持って作品として観られたような気がしていました。それは卓越したスタッフワークと監督の演出手腕とキャストの皆さんが作り上げてくださった世界の中で自由に泳いでいられたからだと思っています。その静謐な世界観みたいなものを皆さんに感じていただけたらなと思っております。ぜひご期待ください。本日はありがとうございます。

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
2023年5月26日(金)より全国公開
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)
監督:渡辺一貴
脚本:小林靖子
出演:高橋一生 飯豊まりえ 木村文乃 長尾謙杜(なにわ男子) 安藤政信 美波
配給:アスミック・エース

【ストーリー】「この世で最も黒く、邪悪な絵」。その謎を追い、特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴はフランス・ルーヴル美術館を訪れる。そこには数々の恐ろしい出来事が待ち受けていた…。観る者を深淵なる世界へと誘う極上サスペンス。

© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社