MC:そして今、お話しいただいたように、あの長い歳月をかけて作られた作品ということで、本作は約250カ所のロケ地、そして8ヶ月にも及ぶ大規模撮影が行われていました。もちろん先ほどおっしゃっていたように、それ以上の年月をかけて作られた作品ですけれども、その中でも印象的なエピソードがあったらお聞かせいただきたいんですが、まずは満島さんと佐藤さん、いかがでしょうか?
佐藤:僕が担架で運ばれるシーンがあるんですよ。病院に運ばれているときに、也英がそこに駆けつけて、「大丈夫なんですか?」っていうシーンがあって。そこ、めちゃくちゃ僕印象に残ってます。
満島:…眠ってたよね?
佐藤:はい(笑)。僕は寝るという芝居を求められてるから。意識不明ですから。
満島:健くん、撮影中にね。「スピー、スピー」って聞こえてて(笑)。「あれ?佐藤さん寝てますね」って、みんなで。だから印象には残ってないはずだよ(笑)。
佐藤:めっちゃ残ってる理由があって、要は、俳優のここぞという、感情がぐっとになるシーンで、泣き芝居というかクライマックスのシーンで、大体スタッフが今日は大事なシーンだからって思って、すごく環境も整えて、長回しで一発撮って、めちゃくちゃいいお芝居ができてOKっていうのが普通なんですよ。で、僕が個人的に思うのは、なんてことないシーンで、僕が担架に乗って也英が「大丈夫なんですか?」っていうシーンで、実際オンエアで見たら本当に多分1~2秒ぐらいのカットだし、撮影も1~2ページぐらいの尺なので、多分スタッフさんも普通のシーンだと思ってやってるんですけど、満島さん的にはここが本当に大事なんだっていうことで、その1~2秒のカットの為に何回も目に涙を浮かべて、気持ちをぐっとこう持ち上げてやってる様を見て、“めちゃめちゃカッコイイな、この人”って実は思ってたんです。本当にかっこいいなと思えたから、安心して眠れたんです(笑)。
MC:満島さんは思い返されていかがですか?
満島:いっぱいありますね。例えば20年以上の人生をみんなが演じていたり、それぞれが本当にほんの少ししか出ない役の方でも、その人の人生が映し出される場面がいっぱいあって、やっぱり自分にも突きつけられるし、その短いセンテンスの中でどれぐらい人生が出せるだろうっていう。役者さんみんなの戸惑いがたくさん現場でもあって、一度夏帆ちゃんとホテルの廊下に座り込んで1時間とか2時間しゃべり込んじゃってね(笑)。
夏帆:ありましたね(笑)。
満島:そんなこととかもあったなとか。あと、撮影が始まる前に若い大聖くんとアオイちゃん、莉可子ちゃんと飛羽の四人のワークショップの先生みたいなのを2、3回やって、お芝居を教えられるものではないですけど、みんなとお芝居の話をしたり。健くんとも始まる前に台本の話をして、その中でも印象的だったのが、普通の男子だったら何となく過ごしてしまいそうな、ウエディングドレスのフィッティングのシーンがあるんですけど、健くんが「僕は男としてこの場面でどういう風に居たらいいかわかりません」って言ってるような場面があって。健くん自身の役への躊躇みたいなものがあって、この人は本当に純真無垢に女の人を愛す人なんだろうなっていう印象を受けて。顔もかっこいいけども、心もかっこいいのかよ!?みたいな(笑)。そういう印象は始まる前にありました。褒められたんで、褒め返した方がいいのかなって(笑)。
佐藤:ちょっと今、体温が2°上がってしまいました(笑)。
満島:良かったです(笑)。
MC:ありがとうございます。木戸さんはいかがですか?
木戸:僕で言うと、すごく恥ずかしい話ではあるんですけど。この作品に入った初日に、「並木晴道役の木戸大聖さんです」「よろしくお願いします」って言って、いざ撮影が始まって、そのシーンの一つのセリフがテイク18ぐらいになってしまい、監督にもぐっていう顔で見られて、このドラマは相当覚悟しないとやばいってなってたんですけど、次の日に、ひかりさんと現場が一緒だったりするシーンがあって。回想と現代が一緒に描かれる部分のところで、ひかりさんに「昨日、テイク18やったんでしょう?」みたいに言っていただいて(笑)、監督も「こいつやったんだよ」みたいな感じで言われて。でもまあ、ちょっとそれで救われたというか(笑)。はい、そんなスタートでしたというエピソードはずっと多分、この先も役者をやっていく中でも忘れないんだろうなというふうに思います。はい。
MC:八木さんはいかがですか?
八木:私もちょっと恥ずかしい話になっちゃうんですけど、この作品の中で、ファーストキスのシーンと、付き合ってからのキスシーンがあって、ファーストキスじゃなくて、付き合ってからのキスシーンから撮ることになって、すごい緊張しちゃって。自覚は無かったんですけど、その日の撮影の前に、私が一回も大聖くんと目を合わせなかったらしくて(笑)。それで大聖くんが前日の撮影とかに私を怒らせちゃったのかなと思って、スタッフさんにキスシーンに入る前に、「僕、なんかあれでしたかね?」って聞きに行ってくれたらしくて。私はただ緊張してただけなんですけど、それをキスシーンが終わった後に聞いて、「本当にごめんね」ってすごい謝ったんですけど。でも、その分、緊張は画に映ってたら嬉しいなって思ってます。
MC:木戸さん、それはホッとしましたね。
木戸:ホッとしましたね。前日が結構、也英にとっても重要なシーンの撮影だったんですけど、「怒らしちゃったかな」と思って…。
佐藤:でもテイク18に怒ってたらしいよ(笑)。
木戸:本当ですか?本当ですか?
八木:いやいや(笑)。
木戸:怒らせちゃったのかもしれないですね…。
八木:本当に緊張して(笑)。ごめんなさい(笑)。
MC:そして也英の運命に、大きく関わることになる役どころを演じられた向井さんと小泉さんにも印象的なエピソード伺いたいと思いますが、いかがでしょうか?
小泉:そうですね、考えてみたら也英ちゃんのお母さんの役なんですけど、初めておばあちゃんにもなりました。初のおばあちゃん役でした。小綴にしか会ってないんですけど、小さな頃の綴を連れて娘が帰ってきて、しばらく三人で楽しい生活をするんですけれども、息子を手放さなきゃいけないっていう別れのシーンがあるんですけど、そのシーンが悲しくて悲しくて。その時からひかりさんがすごく素敵なお芝居をしてるんですけど、何もできない無力なおばさんみたいな感じで、お母さんっていう感じで、すごく印象に残っています。
MC:向井さんはいかがですか?
向井:僕は静電気ですかね。夫婦の時代もあったので、ある身体的接触もするときにですね、日常ですよね。
満島:そうですよね(笑)。
向井:毎回静電気が起きるんですよ。初めてこの距離でバチって聞いて。十何回やったけど、全部静電気が起きて。
満島:だんだん恐怖になってきて(笑)。
向井:そうそう。だから、本番中も全部バチっとなるもんだから、普通の日常のシーンなんですけど、ふたりとも驚いてるんですね。だからすごい変な芝居になってるんだけど、それは静電気のせいです。
MC:寒竹監督、こういうのって解消法はあるんですか?
寒竹:静電気がモニターに映んないじゃないですか。だから何回もやろうとするから、何回もやりたいのかなと思って(笑)。
向井:違う違う(笑)。すごい痛いんですよ。
満島:監督にその時、「何、恥ずかしがってんの?」とか言われて、「違う!静電気が」って(笑)。
向井:それは間違いなく配信されるので観ていただければと思います。