MC:ありがとうございます。この会場にも新しい生活が始まったという方がいらっしゃると思います。いらっしゃいますか?何人か手が上がってますけど、この中からお一人を選ばせていただきまして、阿部さんに直接エールを送っていただこうかなと思います。では、そちらの方にマイクをお渡します。
Q:しゅんすけと申します。今年から大学が始まりまして、愛知県から神奈川県に来て、初めて一人暮らしするんですけど、ちょっと不安が多くて、エールをいただけたら。
阿部:寂しいですか?
Q:寂しいですね。親がよく話す人なので、一人でいると無音が寂しいです。
阿部:最近、あるドラマをやってから、受験生とか励ましているんですけど(笑)。再三要求されてますけど(笑)。
MC:(笑)。では阿部さん、エールを送ってもらっていいですか?
阿部:はい。しゅんすけ、一人で大変だと思う。だけどな、寂しいときは、たくさん食べて…どうしよう(笑)。食べてとか言っちゃった(笑)。とにかく、半年のりきれば、何とかなるから。しゅんすけ!頑張ってこいよ!
MC:ありがとうございます(笑)!
Q:心に響きました(笑)。ありがとうございます!
MC:ありがとうございました。ここで締めのご挨拶を、監督と阿部さんからお願いします。
瀬々:今、コロナやウクライナ問題とか、大変なことがあると思いますけど、単に古い物語とすることはなくてですね、ヤスという人間の一生を次の世代にバトンタッチするというようなことも願って作りました。また、杏さん演じた女性はシングルマザーで子供を育てている女性でありますし、薬師丸ひろ子さんが演じた女性は、自分の女性としては生き方を選んだ方で、そういう新しい女性たちの違生き方もこの映画の中にはあります。そういう新しい女性数たちの生き方を含め、またこの中に描かれる家族がどこがかけていたり、偽りの家族であったりとかして、でも本当に正しい家族ってあるのだろうかみたいな疑問も原作の中にあると思います。そういう今に問いかけるような問題もいろいろ孕んでいる映画ですので、ぜひ今この物語を観ていただいてですね、今僕たちが生きることはどういうことになるのかみたいな事も大いにつながっていく映画だと思いますんで、この映画をぜひ気に入っていただけたら、他の方にもぜひ勧めてください。そして2度3度観てください。もう僕は死ぬまで観てますから(笑)。今日はどうもありがとうございました(笑)。
阿部:改めて監督のお話を聞いて、監督とこの映画をやれて本当に幸せだったなと思います。さっき初めてという話が出ましたけども、やっぱり親になったときは誰もが初めてであって、いろいろ悩むと思います。正しい親なんて多分いないと思うんですよね。その都度、悩んで失敗して自分を責めて、そういうふうに人間は生きていくんだと思います。今の世界もそうですけど、正しいことを押し付けるのが間違っていると思います。優しさを持って一生懸命愛情を持って、人に接する。それはやっぱり大事なことなんじゃないかなと思います。この映画の中にはいろんな優しい人間たちがたくさん出てきて、足りない父親であるヤスを町中で励ましあいながら、そしてみんなが親になって優しさを持って育っていきます。こういう話は今時代を超えて常に人々の中で普遍的に感動できる話だと思っています。そう信じています。皆さん、この映画を気に入ったら、また何度も観に来てください。よろしくお願いします。
『とんび』
2022年4月8日(金) 全国公開
監督:瀬々敬久
原作:重松清「とんび」
脚本:港岳彦
主題歌:ゆず「風信子」
出演:阿部寛 北村匠海 杏 安田顕 大島優子 濱田岳 宇梶剛士 尾美としのり 吉岡睦雄 宇野祥平 木竜麻生 田中哲司 豊原功補 嶋田久作 村上淳 麿赤兒 麻生久美子 薬師丸ひろ子
配給:KADOKAWA イオンエンターテイメント
【ストーリー】 日本一不器用な男・ヤス(阿部寛)は、愛する妻・美佐子(麻生久美子)の妊娠にも上手く喜びを表せない。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、“家族”は何よりの憧れだった。時は昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。アキラ(北村匠海)と名付けた息子のためにも、運送業者で懸命に働くヤスだったが、ようやく手にした幸せは、妻の事故死によって脆くも打ち砕かれる。悲しみに沈むヤスだったが、人情に厚い町の人々に叱咤激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。時は流れ、高校3年生になったアキラは、東京の大学を目指し合格を勝ち取る。だが、別居の寂しさを素直に伝えられないヤスは、「一人前になるまで帰って来るな!」とアキラを突き放す。そして昭和63年、久々に再会したヤスと大人になったアキラだったが…。
©2022『とんび』製作委員会