【全文掲載】阿部寛「親父がたまに言う意見を大事に」、北村匠海「“初めて”だと思ったら楽しい」人生で背中を押された言葉とは?

MC:瀬々監督、初日を迎えて、改めてこの映画の手応えはいかがですか?

瀬々:今朝、近くの氏神様でお参りしてきました。お賽銭50円しか出せなかったので、明日もう一回行ってもうちょい値上げしてお参りしていこうと思ってます。こういうことをするのも僕としては珍しいので。本当に皆さん感謝してます。ぜひこのまま、明日も来てください(笑)。よろしくお願いします(笑)。

MC:阿部さん、いかがですか(笑)?

阿部:瀬々さんと何本かご一緒してるんですけど、こんな瀬々さんは初めて見ますね。この前の試写会の時も、この映画は本当に面白いですっていうストレートな瀬々さんを初めて見るので、監督にそうやって言ってもらえるのが本当に嬉しくて、それが自信になってますね。

MC:本作をご覧になってここは泣けた、という場面を教えて下さい。

阿部:僕はもう全部出てるんで、自分の評価になるからあまり言いたくないですけど(笑)、でも歌を歌うところは。当時は、現場で「この歌はこの設定にあってるのかな?」って非常に疑問に思っていて、これは人を励ます歌なんだけど、あってるのかなーって、ちょっと疑問に思ったんですよ。でもそれがいざ映画になって全部できたときに、こんなに胸を打つ歌い方ってあるんだなぁということで、改めて瀬々さんに感謝したし、あともう一箇所、最後のシーンなんですけども、アキラが嫁さんを連れてきて、親に認めてもらうというシーンで、安田くんが思いのほか僕を強く殴ったんですね。ちょっと油断してたんで、テストの時に目の覚める思いがして(笑)。「こいつ、このシーン本気なんだ」と思って(笑)。そこから感情の上がるシーンがあるんですけども、そこはなんか感謝してます(笑)。

安田:すいませんでした。10回も叩いてしまって、すいません(笑)。

MC:北村さんはいかがですか?

北村:僕は思春期の時から参加させてもらって、その前は現場を見られてなかったし、今回映画を初めて拝見したんですけど、これだけで2時間できるだろっていういろんな感情が詰まっているし、この作品って映画1本の中で月日が普通の映画よりもすごく早く過ぎていくので、その感情の波がすごく小刻みに大きくあるから、ずっと泣いてましたね。自分が出てきてやっと正気に戻るみたいな(笑)。

MC:杏さんはいかがでしたか?

杏:何度も泣いたんですけど、ちびアキラのところは、ちっちゃい子が一生懸命いろんな現実を受け止めたりみたいなところは心にグッとくるものがありまして、そしてそれを支える阿部さんが、本当に不器用なんだけども必死で、親目線というか、こんなことを背負わなければいけなかったんだというところが本当に心が苦しくなりました。

MC:安田さんはどういうところが?

安田:東京にアキラが行くときに、諦める時に阿部さん演じるヤスさんが車を追っていくシーン。あそこは脚本をいただいて読んだときから涙が出てたんですけど、そこはもちろんなんですけど、そこに至る前のアキラの手紙にやられます。あそこに親子の成長というか、そうか、アキラっていうのは、ヤスさんの事を本当に見てたんだなっていう。いつのまにか攻守逆転で息子が親父の心配をしているっていう、あの手紙の文面だったり、匠海さんの声だったり絵だったりっていうものが、ヤスさんを追いかけることで涙腺は崩壊することはわかってたんですけど、その前の積み上げの手紙のシーンがすごく好きです。

MC:大島さんは?

大島:私はアキラのお母様が亡くなられて、ちびアキラが「お母さんは?お母さんどう?」っていうところですね。周りの近所の人たちが見守ってるんですけれども、撮影の時はアキラの顔を間近で見られたわけじゃなかったし、声もあまり届いてなかったので、実際スクリーンで見てから、こんな無垢な表情でお父さんに問いかけてたんだっていうのを観て、改めて映画館で観ながら自分の役の気持ちに戻って涙してしまいました。