MC:新川さんは、どうでしょうか?
新川:似てないですね~(笑)。撮影は2019年の10月だったんですけども、私自身の結婚を発表させていただいたのが、その年の8月だったので、ちょうど自分と同じようなタイミングでこの映画の撮影をさせていただいたんですけど。両親に相談もなく「結婚しまーす」って、自分はやっぱりそんな勇気がなかったというか、練って練って結婚の発表、そして結婚させてもらったので、まゆみちゃんの勢いの良さはすごいなぁと思いながら撮影してましたね。
MC:微塵も譲る雰囲気がなかったですよね?
新川:譲る気はなかったんでしょうね(笑)。自由な役としてやらせていただいたんですけど、その中に勝手な意味だけじゃなくて、お父さんとお母さんは味方でいてくれるというか、最後は応援してくれるだろうなっていう思いも、正当化しつつお芝居はさせていただきました。
MC:天海さん、お母さん役としては受け入れ難いことばかりが突きつけられる訳ですが。
天海:新川さんご本人は、ものすごく堅実です。古風ですし、私たちより立派ですよね。積立を増やすんだそうですよ(笑)。不安になられたそうなので、「積み立てを増やす」とおっしゃってました。良くできた娘さんですよ、本当に。
松重:ちゃんと老後の資金のことを考えてるんだもんね。
新川:はい(笑)。映画が勉強になりました(笑)。
MC:撮影中は家族の雰囲気を醸し出すように話し合われたりしたのですか?
天海:特にしませんでしたよね。
松重:家族なので、食卓を囲んで食事をするだけで空気感は出てきちゃうので、本当にこういう家庭を持っていたような空気でしたね。
新川:ただ私は、お二人方が先にクランクインをされていたので、もうご夫婦の雰囲気に乗せてもらうじゃないですけど、おんぶにだっこというか、頼らせていただいたという気持ちです。
MC:そんな中で、天海さんは泣いたり笑ったり感情が爆発するシーンが多かったですよね?
天海:振り回されてましたもんね。
MC:あの涙は、割と本気で出てきちゃうような感覚だったんでしょうか?
天海:プロですからね(笑)。あれだけいろんなことが起こったらね。でもとても楽しかったですよ。ジェットコースターに乗ってるみたいで。でも、楽しかったですね?
松重:あ、俺? 楽しかったですよ。だから本当に楽しい思い出しかないですよ。今の「俺?」っていう、同意を求められてるんだなっていう夫婦のキャッチボール感っていうんですか。そこが幸せなんですよね。のほほんと居られる幸せというか。男性陣は後で話しましょうね(笑)。
MC:草笛さんは、ご自身の役柄と似ているところはございましたか?
草笛:監督が隣にいらっしゃるので、言いづらいですけど(笑)。私はかき回し役ですよね。そういう役はあんまりやってないんですが、だから思いっきり羽伸ばしてやらせていただいたつもりです。
MC:映画の中でお衣装を、ハイヒールからヨガスタイルから、まむしさんスタイルですとか(笑)。これはご自身の中でいかがだったんでしょうか。
草笛:芳乃は多分、主人が生きている頃は、お店に着物を着て出ていたような女性だと思ったんです。その女性が今、羽を伸ばし洋服を着てとなったら、何を着るのかというところから入りましたね。今日の髪型は少し芳乃に寄せてますけど、着物を着ていた女性がやりそうな感じにしてます。
MC:お帽子も素敵でしたもんね。
草笛:あれ私の帽子。
前田:草笛さん自身が身に着けるものも提供してもらって。芳乃は草笛さんそのものだと僕は思っていたので(笑)。
草笛:それはちょっと困るんですよね。かき回す役だと思って出させていただきましたけど、監督は私のことを「そのまんまで、おかしい人」って言われて。「面白い人」とか「楽しい人」とか「可愛い人」とか、そう言ってくださればいいんですけど、「おかしい」って言葉は相当ショックでしたね。
前田:「おかしい」には、すべてが入ってるんですよ。「おかしい」の中には「素敵な人」とかですね、「可愛い人」とか、「上品」とか全てが入っている言葉なんです。
草笛:それが「おかしい」の中にみんな入ってるんですか?
前田:はい。
草笛:嘘ばっかり!ああいう事をおっしゃって、私を丸め込んで。
MC:素晴らしかったです(笑)。そして監督、これだけの皆様がご出演なさってました。演出する上で心がけたことはございますか?
前田:今、どれだけ皆さんが自由に個性を発揮してもらえるかなというところで、リラックスしてやってもらえる場を作れるか、ということはスタッフも含めて皆さんで作ってもらって、提供させてもらったつもりなんですけども、そういう雰囲気作りというか。天海さんと松重さんに待ってもらっている間に、部屋の中でお話しされているで、そのまま用意スタートがかけられるような状況だったので、すごく僕はやりやすかったですけどね。実際に何十年って暮らした夫婦の訳ですから、なるべくそこに居てもらいたかったっていう。草笛さんは、最後のセリフがあるんですけど、「わがままに生きた方が勝ちよ」っていう言葉が。それも草笛さんの言葉そのままなんですよ(笑)。最初は違うセリフだったんですよ。草笛さんが、「私はこういう固いセリフより、もっと良いセリフないの?」っていうことで、いろいろ考えて、それで脚本家の方にお願いしたらあの言葉が出てきて。
草笛:あの言葉はとっても嬉しかったです。私の役の通りだと思いまして。
前田:いかに俳優さんたちに、わがままに演じてもらえるかというつもりでいました。本当に輝いていただいたから、この映画が輝けたのかなと思っています。