MC:作間さんは愛と美雪という正反対の2人に愛される役だったじゃないですか。しかも愛に対しては結構辛辣な言葉も吐くという。
作間:すごいところに、たとえくんは立ってますよね。愛はとにかく恐ろしい存在ですし、美雪は優しく包み込んでくれる存在で、たとえくんは羨ましいですけど、そんな状況にあるのが大変そうで。2人と接する時のたとえは、きっと全然違う人になってるんだろうなっていうふうに、やっぱり感じながらやりましたね。
MC:愛ちゃんにはキツイ言葉も吐いてましたよね。
作間:なかなか苦しかったですね。普段はあまり喋らない子なんですけど、本当に伝えなきゃダメになった時は結構エグい、「貧しい笑顔だな」っていう言葉から始まり、つらつらと言葉を連ねる場面があって、あそこは自分自身も結構苦しみながらやってましたね。
首藤:あそこだけ、作間くんから「こういうふうに言い方を変えていいですか?」って相談してくれて。私的には、もっと冷たく突き放すイメージだったんですけど、作間くんがやってくれて、ちょっと優しい部分が見られたような気がしてます。
作間:結構、苦しくて、あの言葉が。言ってる僕自身も泣きそうになってきたので、「さすがに、ちょっとだけ変えてみてもいいですか」と提案させていただいてやりましたね。
MC:受け止める側の山田さんは辛いですよね。
山田:たとえと話しているときって、結構ずっと「嘘をつかれているみたいで」とか、愛が必死で芝居しているところを全否定するので、そこはお芝居をしてても食らってましたね(笑)。
MC:愛の感情は大変ですよね? たとえにひどいことを言われて、美雪にアプローチするっていうのはどうやって切り替えていったんですか?
山田:たとえにワーっと言われた後に、美雪の家に向かうシーンは、そういう感情の向き方を愛がしてるんだなって、そこでちょっと分かって。美雪の方に向かう気持ちって、何だろうって考えたりしてたんですけど、じゃあ、たとえにワーっと言われた感情のままに、どこかで美雪に受け止めてもらおうとしていたのか、すごく子供みたいな幼い感情ですけど、そこが愛なんだなって思いながらやってました。
MC:それを受け止めていた芋生さんは、愛に対してはどんな感情をもっていましたか?
芋生:美雪としては、愛を哀れむことはしたくなかったので、哀れみというより、ただ一番近くに愛がいたし、一番近くで触れ合っていたから、私が愛ちゃんのことは一番分かってるから、愛ちゃんに対しては一番深い愛を持っているなって。
首藤:現場では美雪お母さんみたいな感じでしたよね。
作間:本当に優しい雰囲気を現場中にばらまきまくってましたよね。美雪がいる撮影の日は、ふわふわ~とした感じで(笑)。助かってましたね。スケジュール的にも忙しかったので、こういう存在は助かりましたね。
首藤:愛だけだとちょっとピリピリしちゃうからね(笑)。
芋生:でも愛と美雪が揃っている時は、ピリピリもしてるんだけど、愛ちゃんの素直さが出ているというか。言葉では言えない何かがありましたね。
山田:美雪とのシーンは甘えてるじゃないけど、そういう愛がいたなと思いますね。
MC:監督、カメラが回ってない時は、皆さんどうだったんですか?
首藤:自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど…。山田さんは、最初から愛のことが分からないということで、苦しんでいらっしゃいましたし、直接ぶつかることはなくても、ずっと静かに駆け引きをして戦っている感じだったと思うんですが、途中から分からないことを受け入れてくれたような気がして、そこからは分からないままやってるっていうのが、私も見ていて、こんな顔なんだとか、新しい表情が見られて嬉しかったですね。
山田:いやあ、ホッとしました(笑)。作品に対してここまでの思い入れがあって、首藤さんの中で「愛はこうだ!」っていうこだわりがあるんだろうなと思ってたんですけど、首藤さんは「こうしてください」じゃなくて、すごく現場でたくさん話しをさせてもらって、その中で生まれるものを撮ってくださっていたので、楽しさありつつ、プレッシャーはもちろんで…。
首藤:そうだよね(笑)。現場だと、「どうしてほしいのか言え!」っていう圧を感じながら、静かに戦ってました(笑)。
MC:作間さんはどうでしたか?
首藤:作間くんは、こういう場に立つと、あまり面識がない方の気がするというか(笑)。出会った時に台本を読んできてくれたので、たとえくんとして現れてくださったので、逆にあれこれ言うよりは、あまりお話せずに現場を見ていただいて、伝わってるなという気がしました。今も紺のスーツでキメてますけど、本当に所在なさげに長い手足を持て余す感じで立っていたイメージです(笑)。
作間:ありがとうございます(笑)。僕は首藤さんと会った時に、最初は胸を張って「おはようございます!」という感じだったんですけど、地味な男子高校生に寄せていきたいってことで、「猫背を意識して歩いてみて」って言われたんですよ。僕はそこから、猫背にして私生活を過ごしてみようと思ってやったんですけど、今、見事に猫背になったんですよ。完璧な猫背で、最近ちょっと首も痛めるぐらい猫背になっちゃって(笑)。もう無意識でやってたんで、監督の伝え方が、僕的には本当に有難いもので、言葉としてはたくさん会話した感じじゃなかったんですけど、すごい自分的にはコミュニケーションを取ってたかなっていう気持ちでやってましたね。ありがとうございます。
首藤:ありがとうございます(笑)。
MC:芋生さんについてはどうですか?
首藤:私の中では原作の美雪がすごく大好きで、自分の憧れの女の子っていう枠に当てはめてしまうのがとっても怖かったんですけども、芋生さんとお会いしてから、とっても具体的に見えてきて、本当に演じることにストイックで、素敵な女優さんなので、一つ一つの衣装選びから髪型選びまで細かくディテールを美雪として膨らませて相談させていただくっていう時間があって、現場でもそういう感じで。頼りにしている感じでした(笑)。
芋生:ありがとうございます(笑)。首藤さんとは、すごい姉妹みたいな、友達って言ったらおこがましいですけど、距離感が近くて、美雪って愛ちゃんのことを考えている時間が長くて、現場に入っちゃうと自分のことをあんまり考えてなくて、監督も私も愛ちゃんのことを見ているし、ずっと考えているって感じで、そこが合うというか、3姉妹みたいな感じでした。
首藤:目線の高さがちょっと違かったのかもしれないですね。
芋生:どんな目線で愛を見るかみたいなところが、たぶん一緒なのかなと思います。
MC:ということは、芋生さんはずっと山田さんの演じる愛というものを見てたわけですよね。山田さんの奮闘ぶりはどうでしたか?
芋生:杏奈ちゃんは、三回目の共演なのですごく信頼関係があって、二人で向き合っている時間は本当に嘘がなくて、苦しい感情を全部ぶつけていいよっていう思いで、本当に全力でぶつけてくれるから、それが嬉しかったし幸せでした。
MC:作間さんはどうでしたか?
作間:カッコいいの一言でしたね。渡り廊下から窓開けて校舎に侵入するシーンとかも…、僕はあのシーンの前に撮影が終わったので、あそこの撮影を見学させていただいたんですけど、なかなか危ないことしてるなと思って、本当に3階で撮影していたので、窓の縁から下りるという、ちゃんとマットは敷いてあるんですけど、よくやるなあと。やっぱりプロだなって思いましたねぇ。カッコよかったです!
山田:ありがとうございます(笑)。