MC:ありがとうございました。まずは監督、ついに映画が完成しましたが、改めてどんな思いが蘇ってきますか?
首藤:作品と出会ったのが17歳の冬で、10年ぐらい前なんですけど、もし出会っていなかったら、この世界が銃社会だったら、何度もバンっとやってたんじゃないかという衝動に駆られる中で、幾度も救われてきた原作です。映画化することができて、キャストとスタッフと皆さんのおかげで新しく出会い直せたなと思ってるので、皆さんも今日、出会っていただけたら嬉しいです。
MC:原作者の綿矢さんは、どんな思いでしょうか?
綿矢:こんな思いで映画にしてくださる読者がいてくださったなんて、本当に幸福だなと思うし、その熱い思いが完全に映画になっている傑作ができたんじゃないかと思いました。
MC:綿矢さんは、原作から映画になって気づかれたことはございますか?
綿矢:私が書いた時は大人っぽい主人公とか友達とか、高校生にしては大人っぽい恋愛関係で描いたんですけど、映画はキャストの皆さんの演技もあったせいか、本当に高校生の瑞々しい感性が出ていて、それは驚いたし、素晴らしい作品になったと思いました。
MC:山田さんは、主人公を演じてみて難しかったことはありましたか?
山田:かなり突拍子もない、思い切った行動をする子だったので、最初に読んだとき「どうしよう、愛のことが分からないかもしれない」と思って。監督にも「分からないです」と言いながら(笑)。でも根本にある高校生の暴力的な感情とかは、誰しも共通するものだと思うので、そこを大事にしながら精一杯やらせていただきました。
MC:作間さんはどんな思いで演じられましたか❓
作間:見るからに女性が多いという撮影で(笑)。映画の出演が初めてだったので、どうやっていこうかなと。撮影に入ってからも周りの方々に教えてもらったり、刺激をいただいて今日までたどり着いたんですけど、女の子が中心の映画ですけど、僕でも共感できるところがあるので、男性の方でも楽しめる内容になっているなと思います。今から皆さん、何かしら感じ取ってモヤモヤしながら帰ると思うんですけど、それを楽しんでいただければいいかなと思います。
MC:芋生さんは、演じられていかがでしたか?
芋生:美雪は自分で自分を活かすことできる人、自分を愛することができて、人を愛することができるというか、愛を与える側にもなれる人だなと思って。山田さん演じる愛さんが、路頭に迷って傷ついている姿を一番近くで目の当たりにしていて、自分が愛を包み込むような優しさのある子だと思ってやらせていただきました。この作品を通して、美雪から自分を愛することで人に優しくなれたりするってことが感じられるといいなと思います。
MC:3人は初共演ということで、実際にいかがでしたか?
作間:共演するって決まったときに、まず調べるんですよ。webで。そして初めて会ったときに、“山田杏奈さんだ…。芋生悠さんだ…”って驚きましたね。すごい活躍されている方々だったので、撮影期間中はずっと『うわっ、やべ! うわっ、やっべ!』って感じで圧倒されてましたね。
山田:そうは見えなかったけど? 全然堂々と。
作間:一日中隠してました。やっぱり、お二人はすごかったですね。
山田:でも、自分の撮影がないときも、現場に残って見てくれていましたね。
作間:そうね。得られるものは全部得ておこうと思って。たくさん見させていただきましたね。
MC:山田さんは、皆さんの印象はいかがでしたか?
山田:芋生さんはご一緒するのが3回目なんですよ。だからずっと昔からお姉ちゃんという感じなので、芋生ちゃんがいるだけで落ち着くというか、安心します。作間くんもいつもすごく堂々と現場にいるので、本当に“たとえ”という感じで。みんな穏やかに話しながら、楽しかったですね。
芋生:でも作間くんが、撮影の印象と違うなと思って(笑)。
作間:そうね(笑)。監督にも人見知り発動されてるので(笑)。
首藤:撮影が終わってから、普通に上手くしゃべれなくなっちゃって(笑)。
作間:毎回撮影が終わったら、監督から「知らない人、来ちゃった…」って言われるんですよ(笑)。たしかに、今から出てくる“たとえ”は全然違う人物だと思うので、一回僕のことは忘れていただいて(笑)。
MC:監督は皆さんとご一緒していかがでしたか?
首藤:杏奈ちゃんとは、ずっと静かな戦いをしているみたいな感じで、“愛が分からない”っていうところと、“分かりながら演じたい”という部分の葛藤をしてくださったと思っていて、どんどん表情が画面の中で変わっていくので、ぜひそれを体感していただけたらと思ってます。芋生さんが演じた美雪という役柄は私がすごく大好きな女の子で、原作が大好きなゆえに、自分の理想系にどうしてもあてはめてしまうような(笑)。芋生さんと一緒に、生身の美雪を作り上げることができたかなと思っております。作間くんは(笑)、本当に知らない人なんですよ(笑)。現場ではずっと“たとえ”だったので、すごく親密に話すことができていたんですけど、立ち姿が今はもうジャニーズのかっこいい人で(笑)。
作間:本当ですか(笑)?
首藤:はい(笑)。でも現場中は“でくのぼう”みたいに立ってて(笑)。でも、とっても内面の美しい部分が映っているのような気がするので、心が洗われるような感じです。
作間:あ、ありがとうございます…?(笑)照れますね(笑)。
MC:綿矢さんは、皆さんの演技をご覧になっていかがでしたか?
綿矢:特に愛は自分が思い入れを持って書いた登場人物で、本当に画面上で考えるより先に行動するというのが、すごく強い目力で演じられていて、心を奪われる場面が多いと感じました。この映画を構築しているたくさんの出演者の方々の皆さんが、すごく自然に演技をされていたので、話にすっと入り込める感じがしました。
MC:どうですか、山田さん?
山田:安心しました。嬉しいです、安心しました(笑)。原作者の方からの感想というのはすごく緊張しますね。最初の試写で綿矢さんにご挨拶させていただいて、そのときにも「面白かったです」と言ってくださって、すごく嬉しかったです。