MC:どうですか小松さん?
小松:そうですね、現場ではなかなかお話しする機会がなくて、自分でもさつきとしてイメージもあったし、こういうふうに演じてみたいっていうのもあったので、でも監督との最初の本読みだったりで、すごくそういう時間を大事にさせてもらって。監督が描くさつきと私が描くさつきっていうのは、ちょっと違いがあったので、ちゃんとエドモンド監督が撮りたいさつきと、私がやってみたい方向性を一緒にすり合わせながらっていう感じだったんですけど、エドモンド監督はいつも楽しそうに笑顔で現場にいてくださったので、私たちもエドモンドのためなら絶対良い作品にしたいと思えましたし、監督がそういうふうにいてくれたからこそ、現場もすごい和やかというか、和気藹々としながらみんなで一つのものを作り出すような集中するパワーみたいなのが集まっていたので、監督の人柄が素敵だったのでもたくさん助けられました。
MC:そして宮沢さん、佐藤さん、中原さんに向けてもコメント頂けますか。
ヨウ:お三方とのお仕事はとても楽しかったです。中原さんは初めての演技ということで、緋美さんも新人の方だと思うんですけれども、本当にお二人の演技に驚かされました。とても熟練した役者のように感じられました。そこに小松菜奈さんと宮沢氷魚さんが入って、4人で画面の中で動いて会話しているといったコミュニケーションを見ているのが、本当に楽しかったですね。その空気感を監督として何としてでもつかみたいと思っておりました。本当にこの4人と一緒に居られたことは幸せだと思っています。僕が選んだこの3人のキャラクターは、本当に間違いが無いですし、100%後悔はありません。僕の中では、等は宮沢さんで、緋美さんは柊で、ゆみこは中原さんで、他の人が演じるというのは全く以て考えられないです。
MC:どうもありがとうございました。お時間があっという間に過ぎてしまいましたので、最後にメッセージをいただきたいと思います。まずは原作の吉本ばななさんから、お願いします。
吉本:この作品自体が夢のような感じの作品で、小説は読んだからといってそれがどうしたんだっていうような話なんですよ。だけど映画になった時に改めて思ったのは、何を観たんだろうなっていう不思議な感覚が残って、そしてなんだか分からないけどまた観たいなぁと思うような、そんな素晴らしい映画になったと思います。なので、私もとても嬉しかったし、皆さんになるべく観てもらって、またちょっと時間が経ってからもう1回観たいような気がする、観たら何か自分の中で変わるような気がするっていう気持ちを、私と同じように味わってもらえたらなと思います。ありがとうございました。
ヨウ:マレーシアでは今、映画館も営業はしていないので、僕は何ヶ月も映画で観られていないという状況です。今は家からもなかなか出られないというような状況なので、日本の映画館で作品が上映されるという状況は羨ましく思っています。僕にとっても安らぎになりますし、慰めにもなります。観客の皆さんにこの『ムーンライト・シャドウ』を観ていただいて、僕たちムーンライト・ファミリーが努力して頑張って撮った作品だということを思ったりしていただきつつ、吉本ばなな先生の傑作ですので、ストーリーを楽しみながら観に来てほしいです。応援よろしくお願い致します。映画館で映画が観られるということは、本当に幸せな事ですので、皆さん是非映画館に観に来てください。
宮沢:今、世の中がコロナ渦で皆さん辛い思いをされていますけれども、この作品でさつきが、柊が愛する人を亡くしたように、皆さんも何かを亡くしたと思うんですよね。それは愛する人かもしれないし、仕事を休むことかもしれないし、みんなが気持ち的にダウンになっていると思うんですけれども、この作品ではどうか生きる希望を見つけようと、必死に生きる人々が描写されています。皆さんの背中をポンと押すような温かい作品になったらいいなあという思いで、この作品を作りましたので、この想いがぜひ皆様に届いて少しでも希望を持っていただけれたら僕たちはとても嬉しいです。是非皆さん、一人でも多くの人に観ていただきたいので、どうぞよろしくお願いします。
小松:今日は改めて、ありがとうございます。私がこの作品の好きなところは、過剰に描いてないところです。内側にある言葉ではない内面の感情だったり、秘めているものをエドモンド監督がすごく美しく儚く希望の光の様なキラキラとした眼差しまでも撮っていただきました。ここにエドモンド監督がいないっていうのは本当に悲しいです。でもこうやってリモートで通じ合える喜びもありますし、コロナで失ったものは本当に大きくて、時間もそうですけど、人と対面できないことだったりとか、本当に多くを奪われて、コロナが憎いですけど自分たちが今、何ができるかっていうのをちゃんと考えたいなって思います。この映画を観て、私も自分なりの一歩でいいんだなと、背中を押してもらえたような感覚になる映画だと思いました。観てもらう人によって多分全然違う捉え方になると思うんですけど、きっと私たちが届けたかったものが映ってると思います。どうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
『ムーンライト・シャドウ』
9月10日(金)全国公開
監督:エドモンド・ヨウ
原作:吉本ばなな「ムーンライト・シャドウ」
脚本:高橋知由
出演:小松菜奈 宮沢氷魚
配給:SDP エレファントハウス
【ストーリー】 恋人の突然の死に向き合うことができず、深い哀しみに打ちひしがれるさつき(小松菜奈)は、以前耳にした“月影現象”に次第に導かれていく。それは、満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない、という不思議な現象だった…。
©2021 映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会