【全文掲載】小松菜奈「説明下手なんですけど、優しい気持ちで聞いてください」地方での衝撃的な出会いを明かす!

MC:ありがとうございました。まず小松さん、世界30カ国以上で愛されている原作の映画化ということで、主演を務められてどんなお気持ちでしたか?

小松:私が生まれる前からこの作品はあって、ばななさんが24歳のときにこの「キッチン」を出して、私も役を演じた時に24歳だったので、すごく運命的というか、さつき役に導いてくださって、私にさつき役を演じてもらいたいと思ってくださって本当に光栄というか、とっても嬉しいです。

MC:さつき役は愛を大切にしながら喪失感で悲しみを抱えるという役どころでしたが、演じる上でどんなことを意識されましたか?

小松:生と死がテーマでもあって、心が一番大事なので、そこの気持ちをちゃんと持って素直に演じたいなと思いました。初日はランニングシーンから始まって、失ってしまった後のシーンだったんですけど、減量もあって、痩せて、さつきは走ることを見つけて、撮影するときもたくさん走ったんですけど、どんどん自分の心が薄くなっていく感じというか、さつきの気持ちがフッと入った時は、すごく感動的というか寂しい気持ちになって。独りなんだっていう孤独に襲われた時間もありましたし。撮影しているときにすごい晴れたり、すごいきれいな朝日が見えたり、環境さえも味方をしてくれていたので、そういう空気とか息をすることとか、全部が身に沁みながら役を全身全霊で演じたいと思いましたし、真っ直ぐ現実を見たいなと思いました。

MC:吉本ばななさん、ご自身が書かれた短編小説が映画化されて小松菜奈さんがさつき役でございましたけれども、ご覧になってみて小松さんの印象はどうででしょうか?

吉本:小説を書くときは頭の中の世界の人たちなので、結局想いだけを描く形になるんですけれども、小松さんがさつきをやってくださったことで、エロい意味ではなく肉体が肉体を失ったんだな、若い肉体が若い肉体の温もりを失ったんだなっていうことがすごく伝わってきて。あんまり何を書いたか覚えてないわりに、「ああ、こういう感じが書きたかったんだな」っていうのを思い出せました。

MC:小松さん、今の言葉聞いていかがですか?

小松:安心しました(笑)。すごく不安なんですよね。初めて試写で観させてもらったときに、原作の方と一緒に試写を観るって事がなかったので、顔は見えないですけど、ばななさんが一緒に観ていることで、すごい緊張感に押しつぶされそうで。いいって思ってもらえたらいいなと思いましたし、生みの親であるばななさんが「すごい良かった」って喜んでもらえることが本当に幸せです。一生懸命やってきて良かったなと本当に思います。

MC:ありがとうございました。それでは、作品で描かれている奇跡的な出会いに関連して、皆さんに質問です。皆さんにとって忘れられない出会いを、ぜひお伺いしたいと思います。小松さんから。

小松:私は説明下手なんですけど、優しい気持ちで聞いてください(笑)。私の友達にAさんがいまして、そのAさんから「友達であるBさんが、地方で古着屋さんをやっている」というお話を聞いたんです。たまたま、Bさんがいるという地方に、仕事で行くことがあったんですよ。「そういえば、Aさんが話してくれたBさんの古着屋、この地方だったなぁ」って思いながらも、Bさんの名前も教えてもらってないし、場所の詳細も教えてもらってなくて、フラ~っと散歩して古着屋さんに入ったら、店員の男性の方なんですけど、会った瞬間に「あっ、もしかしてこの人、Aさんの友達かも」って思って。で、「Aさんのこと知ってますか?」って聞いたら、「あ、友達!」ってなって(笑)。こんな引き合わせあるんだと思って、最初に入った店で、まさか一発目で友達の友達に会えたってことがすごいびっくりしちゃって。こういう引き合わせってあるんだなぁと思って、すごい盛り上がったんですけど。すぐ友達に報告して、「何も知らなかったけど、会えた!」みたいなことを言って(笑)。衝撃的な出会いというか、そういうことってあるんだなーと思って。はい、そんな感じです(笑)。

MC:ちなみに洋服は買われたんですか?

小松:買いました。かっこいいのがあったので、買わせてもらって。いい古着屋さんだなぁと思って。洋服との良い出会いもしました(笑)。

MC:ありがとうございます(笑)。宮沢さんはどうでしょうか。

宮沢:僕は舞台で3度共演した大鶴佐助くんっていう俳優がいるんですけど、年齢は僕の一個上なんですけども、お互いタメ口で。その人がいるから、今の自分がいるなぁと思うし、舞台をやりたいと思うきっかけになった人でもあるんですけど、初めて会った日が印象的すぎて、新宿村スタジオという稽古場があるんですけど、そこで本読みをやる前に1回若手メンバーでリハーサルをしようみたいな感じで、でもその作品は若手が僕と佐助くんくらいしかいなくて。で、リハーサルのとき、新宿村スタジオの入り口に、すっごいダボダボの古着に、真っ赤な靴下に、サングラスしてオールバックのすっごい怪しい人がいて。「うわ~、この人と絶対仲良くなれない。気持ち悪いなぁ~」と思うぐらい(笑)、異様な空気感が漂ってて。そしたらマネージャーさんが「彼が大鶴佐助くんです」みたいな。「どうしよう…、この人と上手くやっていけるかな」って思ったんですけど、稽古初日からすごく仲良くなっちゃって、人は見かけによらないんだなって、その時に改めて知ったというか(笑)。それが忘れられない出会いですかね。