【全文掲載】菅田将暉、噂のリテイクに「マジか!?」山田洋次監督、北川景子に「うっとりする。一番きれいなカットだと自負」

MC:遠慮されて(笑)、ありがとうございます。野田さんはいかがですか?

野田:はい、じゃあ僕はしゃべりますね(笑)。奇跡というか、山田組を日々生きられているんだなぁというのは、それ自体が浮世離れしていて特別な瞬間だったんですけれども、中でも監督が撮影中に意見を聞いて来てくださったことがあって、「野田くん、例えばなんだけど、ゴウとテラシンのシーンで、テラシンがギターを弾いているのはどうだろうか?」っていうご提案をしていただいて、「面白くなるのならばやってみます」っていう話をして、数日前にその楽曲も決まって、その場その場で柔軟にというか、これ面白いんじゃないかと思ったことを実践される監督なので、その一部に僕もなれたのも本当にうれしかったです。なんとかそのシーンも撮れて、俳優が待っている間にスタッフさんがバタバタとセットの中で準備されている間に、何か僕は手持ち無沙汰で手元にギターだけがあったので、和みになればいいなぁと思ってBGMをその場で奏でてたんですけど、そしたら監督がさらにその音楽にもう食いついて来ていただいて、「野田くん、それはなんだね?」って言って。「これは適当に即興で弾いてるんですけど」って言ったら、「それも使おう」と言い出して(笑)。次のシーンではその曲を弾きながら淑子への思いを僕が語るという。音楽の即興的な要素も、もちろんいろんな下準備とか、ものすごい入念な準備とみんなの計画が練られてるんですけども、さらにその場でその上で人間同士達のスタッフ同士達のその場での思いつきだったり、新しいアイデアの発想だったりとかがどんどん生まれる現場で。行ってみなきゃわかんないっていうすごい刺激的な時間でしたし、奇跡のような時間でしたね。

MC:綿密な計画と即興の部分もあると。山田監督これは現場ではよく起こることなんですか?

山田:とても大事なことじゃないですかね。彼が言ったように準備はどこまでも一生懸命、丁寧にやんなきゃいけない。完璧に行った上で、なおかつ、思いもかけないアイデアとかひらめきはとても大事なことで、そういうものをむしろん現場では自分で捉えようという考え方をしてますね。

MC:北川さんはいかがですか?

北川:私はこの映画の撮影中にちょうど子供を授かっていて、まだ皆さんには報告していない時期だったんですけど、監督に一番にお伝えしたときに、「いいお母さんになってくださいね。子どもを持つという経験が、女優業をやっていくうえで糧になって成長できるでしょうから、次のステップに行っても頑張ってくださいね」という言葉をかけていただいたときに、すごくうれしくて涙が出て、私は桂園子という女優の役で今回たまたまやらせていただいていたんですけど、こういうふうに撮影所時代の監督と女優っていうのは、役者と監督っていうだけではなくて、人として絆があったりとか、女優の人生のことも気にかけてくださる監督がきっと居たんだろうなって、タイムトリップできたような錯覚に陥って、その感覚と感情がすごく奇跡的だったなぁと思って、本当にありがたい瞬間だったのですごく覚えています。

MC:監督、そのお話を受けた時のことを覚えていらっしゃいますか?

山田:もちろん、よく覚えてますよ。

MC:現場でその言葉を受けていられたのは安心されたでしょうね。

北川:そうですね。やっぱり覚悟して、ご迷惑とご心配をおかけすることなので、絶対そういうことで皆さんの足を引っ張らないように頑張ろうというふうに、よりそう思えました。

MC:ありがとうございます。寺島さんはいかがでしょうか?

寺島:私は山田組に出させていただけることだけで、もう本当にありがたかったんですけれども、現場に入って「歩という役はこれでいいのかなぁ、こういう風でいいのかなぁ」なんて悩んでたときがあってって、あるシーンをやった次の日に監督が来てくださって「僕は、歩はあなたで良かったと思います」って、ぽんって背中を叩いてくださったんですよ。なんか止まっちゃって。監督って人を褒めてくれそうな感じじゃなかったから、すごい厳しいというイメージがあったから、なんかホッとなったまま、そこからグワーって涙が止まらなくなっちゃって、次のシーンがちょっと顔が変わるぐらい泣いてしまったっていう。これからの女優人生で大切な宝物になったなと思いました。もうこれは大事にしようと、心に止めようと思ったんですけど、あまりにうれしくて言ってしまいました(笑)。

MC:山田監督は結構現場でそういった言葉をみなさんにかけられているんですか?

山田:別にそんなことを心がけているわけじゃないんだけども、ただ本当に寺島さんの場合はそういうふうに僕は思ったんですね。で、思った時はちゃんと言わなきゃいけないと、言うべきだろうというふうに思いましてね、それで彼女に僕の気持ちを伝えたと、そんなことを覚えています。

MC:前田さんはいかがですか?

前田:僕も最初の本読みをしたときの話になるんですけど、めちゃくちゃ緊張してまして、どのようにやったらいいのかなって、右も左も分からない状態だったんですけど、本読みのときにいろんなことを山田監督から「いや、そこはそうじゃないよ」っていうのを皆さんいる中、僕のためにお時間を割いていただいたというか、いろんな指導をしていただいて、その時間が本当にすごい奇跡というか、かけがえのない大切な時間だったなというふうに思います。

MC:ありがとうございます。山田監督、今回山田組に初めて参加された方もいらっしゃいますが、菅田さん、永野さん、北川さん、野田さんもいらっしゃいますけど、皆さんとご一緒されてみていかがでしたか?

山田:ここにいらっしゃる皆さんは、みんな初めてのお付き合いですよね。もちろん親しい慣れた友人のような、気持ちが分かり合える俳優と一緒に仕事をする面白さ、楽しさってのはあると同時に、しかし初めて一緒に仕事をする人から受け取る新鮮な感動、喜び、興味っていうかね。それはまた別の作る楽しみがあるわけですから、そういう新しい人たちと巡り合える喜び、楽しみ、それはどんなに僕にとって大きな刺激であったかわかりません。仕事は本当に楽しかったです。ありがとうございます。

MC:菅田さんが演じられたゴウはいかがでしたか?

山田:これは三角関係の物語ですからね。菅田くんと野田くんと芽郁ちゃんという。この2人の芝居がとても対照的である必要があった、キャラクターが対照的なんですけれども。それがとても上手くハマったんじゃないかと。菅田くんが持ってるもの、彼のパーソナリティ並びに演技スタイルと、野田くんの持っているものと、非常に対照的で、それが今度の役の場合とてもうまくいっていると思いますね。