【全文掲載】菅田将暉、噂のリテイクに「マジか!?」山田洋次監督、北川景子に「うっとりする。一番きれいなカットだと自負」

MC:そして山田洋次監督。

山田:僕は大学を出て撮影所に入ったのは、もう何十年も昔のことなんだけども、今思えば日本の映画界はとても元気で、僕は良い時代に撮影所に入ってカチンコを叩いたんだなと、しみじみ思います。そういう思いを込めて、この映画を作りました。去年の1月にクランクインして、それから延々と1年半もかけてようやく今日、完成披露試写会を迎えることができ、今まで僕も初めて体験するわけなんですけれども、無事にこの映画が8月6日に封切りを迎えるまで、コロナがこれ以上広がらないようにできたら、8月6日は(入場制限で観客が)50%なんかじゃなくて、いっぱいお客さんが入っている劇場でこの映画が封切りになれればいいなと、今そんなことを思っております。今日こんなにたくさん来ていただいて、ありがとうございました。

MC:お話伺っていきたいと思います。まず山田監督。撮影から1年半が経ちまして、さまざまな困難を乗り越えてようやくお客様を目の前にされましたけれども、改めてこのを『キネマの神様』お披露目できるという思い、まさにお客様のお顔をご覧になって今どのようなお気持ちでしょうか?

山田:今から1年半前は、主演のゴウという役をやるのは志村けんさんだったんですよね。そのつもりでずっと撮影してたんだけども、3月の末にコロナの騒ぎになって大変だなと思ってたら、なんと志村さんがそのコロナで倒れてしまって、一時は本当にどうしようかと思って呆然としていたんだけども、今日は見えてないけども、沢田研二さんがピンチヒッターに立とうという決心をしてくれて。その事で志村けんとは全く違う、今度は沢田研二のゴウ像を作り上げてくれた。それは皆さんが今日これから観ていただけると思うんだけど、大変な出来事を経てこの作品がもう一度別な様相でもって出来上がったんだということを、どうか皆さん思いながら観てください。そして亡き志村けんさんの事も思い出してください。

MC:菅田さん、まさに今お客様を目の前にされていますが、どのようなお気持ちでしょう?

菅田:どんな気持ちなんでしょうねぇ? ライトが強すぎて、お客さんのほうが見えないのかちょっと残念なんですけど。今、山田さんがおっしゃった通り、志村さんと本読みの会があったんですけど、僕は見学をして撮影に入ったので、志村さんの演じるゴウを想定してのお芝居でもあって、ちょうど撮り終わった頃にこういう状態になって、しばらく経って撮影も止まり、「現在パート、どうなるのかなぁ?」っていう中、山田さんが新しく脚本を追加されて、書き直して。それを読んだときに、もちろんすごく残念なことなんですけど、また1個を違うパワーがそこから生まれている感じがして。その本を読んだ時にすごい公開の日が楽しみだったので、沢田研二さんの演じたゴウを見た時に、どっかで僕は勝手に志村さんを感じたというか。僕らの過去パートをご覧になってから演じてくださったってのは、多分そういう理由なのかなと思うんですけど、だから確実にいろんなものが残っていて、他にない映画には間違いなくなっているなと思いました。

山田:ゴウというのは主人公の名前ですね。彼がゴウを演じてるんです。

菅田:説明ありがとうございます(笑)。

MC:数々の奇跡が重なって完成したともいえる本作なんですが、皆さんに撮影の中で奇跡を感じた瞬間、もしくは印象に残っている出来事でもかまいません。お一人ずつ伺っていこうと思いますが、菅田さん。

菅田:奇跡ですか。難しいですね。個人的にやっぱり山田組に参戦できたことが何よりうれしくて。山田組ではリテイクがあるという噂をよく聞いていて(笑)。前日に撮影したシーンを翌日に監督が「もう一回、ここをこうしたい」っていうリクエストをいただいてやるっていう話は聞いていたんですけど、「あるのかなぁ?」なんて、他の撮影現場でそんなことってほとんどないので。それって良くないようなことにも聞こえるかもしれないですけど、僕らからしたらすごくうれしくて。

山田:良くない、良くないですよね。割り切りが悪いんだから(笑)。

菅田:(笑)。でも、「こんなに求めてもらえるんだ」みたいなのがすごくうれしかったし、それだけ見てくれてるんだ、僕ら以上に撮った後も考えてくれてるんだなっていうのは、やっぱりうれしかったですし、「菅田くん、昨日撮ったシーンは、ゴウはもっとこうなると思うんだ」っていう稽古を、撮影の隣で山田さんとした時間は、多分本当に僕は奇跡的な時間でした。本当に幸せでした。「マジか!?」と思いましたけど(笑)。

MC:ありがとうございます(笑)。永野さんは?

永野:印象にも残っているのと奇跡だと思ったことが重なっているんですけど、監督が朝、突然「How are you?」って聞いてくださった日があって(笑)。監督の英語を聞けたっていう奇跡的な瞬間と、監督も英語をしゃべってそして私に「How are you?」って聞いてくれるんだっていううれしさと驚きとで、すごい印象深い日でした。

MC:永野さんはなんてお返ししたんですか?

永野:英語で敬語にするのがどうしたらいいか分からなくて、「I’m fineです」って返したんですよ(笑)。そしたら「良かった」って言ってくださったんですけど(笑)。

山田:いやー、忘れちゃいましたね(笑)。そんな気の利いたことを言ったのかなあ?

菅田:言ってましたよ。ドライブのシーンでね(笑)。

永野:そうです(笑)。

MC:宮本さんは?

宮本:「How are you?」って言ってほしかったです(笑)。でも、貴重なお話をありがとうございます。私は、あんまりないです。忘れちゃいました(笑)。すいません(笑)。ありがとうございます。長くなっちゃうからいいですよ。淑子はそういうことをしゃべらないと思いますので(笑)。