MC：ありがとうございます。監督、これだけ面白い作品が誰も知らないオリジナルストーリーであるというのがまず素晴らしいと思うんですけれども、何度も物語を練り直してやっと皆さんに観てもらう日がきましたいかがですか？

永井：そうですね。10年かかったんですけど、このタイミングでよかったのかなと。10年前にもし実現していたら、私はまだ長編デビューしてなかったので仕事は来なかったし、10年前っていったら菅田くんもまだ「仮面ライダー」だっけ？

菅田：そうですね、「仮面ライダー」中です。

永井：そうだよね。だから絶対これやらないと思うんですよね。

菅田：まず、俺のこと知らないですよ（笑）。

永井：いやいや（笑）。だから、そういう意味ではこのタイミングだからこそ、このキャストが集まったということで、待った甲斐があったんじゃないかなと思います。

MC：かなり攻めましたよね？ テレビ局が作った映画なのに、「これテレビで放送できるの？」っていう迫力で、大丈夫でした？

永井：いや…、それはフジテレビの人にも散々言ったんですけど、「これできないでしょ？」って。だけど「攻めてくださいと」と言われたので、思いっきりやらせていただいた感じです。

MC：菅田さん、とりつかれた狂気の世界に入っていきながらも追い込まれてしまうという、この精神状況が異常なところに触れていく漫画家を演じ切ったという感じがするんですが、菅田さんにも特別な作品だったんじゃありませんか？

菅田：そうですね、そのタイミングっていうのもありますし、僕が高校時代に初めて買ったのCDがFukaseさんで、憧れのアーティストの1人。劇中の山城にとって両角という殺人犯は、もちろん殺人犯なんだけど、どこか自分の無個性とは真逆にいるアイデンティティの塊のような人で、なんか惹かれていくっていうのをFukaseさんと演じられたことがすごくうれしかったですね。

MC：Fukaseさん、本当に気持ち悪かったです（笑）。

Fukase：本当にありがとうございます（笑）。

MC：「気持ち悪い」と言われてうれしいですか？

MC：監督に「気持ち悪くなかったから、もう1回」って何度も言われましたもん。「今のはちょっと感じが良すぎたよ。もう少し気持ち悪くいけるよ」と言われて。それは褒め言葉だと思ってます（笑）。

MC：とにかくお客さんも私も、今回のキャスティングには度肝を抜かれたんですけれども、今日から日本人の皆さんがFukaseさんの歌ではなくてお芝居を観ることになりますが、どんなお気持ちですか？

Fukase：すごい現場も楽しくて、皆さん優しくて、最初だからやりやすいように行ってくださったんですけど、ポスターが発表された時に「美しき異常者」って書いてあって。それはちょっとハードルが高くないか？というのがあって。「美しき異常者と未熟な漫画家」って書いてあって、逆じゃない？と思って。「美しき漫画家と未熟な異常者」の方が僕は良かったなと思っています。

MC：殺人鬼役のFukaseさんの役を観て、セカオワのメンバーの皆さんどんな感想を？

Fukase：今日、3人全員映画を観てきてくれたみたいなんですけど、メンバーのSaoriからは「これを演じながらラブソング（「silent」）を書いてたのまじサイコパス」と言われました（笑）。

菅田：本当っすよね（笑）。書いてましたもんね。「今、僕ラブソング書いてるんだ」って言いながら（血のりで）真っ赤でしたもんね（笑）。