【全文掲載】『バイプレイヤーズ』田口トモロヲ「老兵は消え去るのみ」、松重豊「若い人に媚びることを学んだ」、光石研「僕らがいつものように後ろに下がる」、遠藤憲一「きっと大杉漣さんも満足している!」

MC:ありがとうございます。ではまずは元祖バイプレイヤーズの皆さんに質問させていただきます。この『バイプレイヤーズ』が映画化にまで至ったことについて、どんな想いがあるでしょうか? まずは田口さんお願いします。

田口:前列のおっさん4人は、今回の撮影現場で“元祖バイプレイヤーズ”という風に呼ばれてたんですけれども、その元祖としては大杉漣さんがやっぱりリーダーとして存在してまして、「バイプレイヤーズ」のシーズン2の終盤に漣さんが突然いなくなってしまいまして、その時点で元祖バイプレイヤーズのメンバーとしては、我々のバイプレイヤーズの旅は終了したと思っていたんですけれども。その後2年ぐらいかけて、ゆっくりとこのバイプレイヤーズのツールを立ち上げて一緒に作ってくれたプロデューサー、監督、そしてスタッフの皆さん方ですね、熱心に我々がどういう風な形で出演できるのかということを、いろんなアイデアとともに模索してくれまして。そして最終的に今回のようなネクストバイプレイヤーズにバトンを渡す的な役割だったら可能なんじゃないかということになりまして、今回この映画に元祖として参加させてもらいました。流れとしてはそんな経緯で、今ここに漣さんがいないのが本当に残念でならないんですけれども、漣さんとともに本当に大きくて広い場所に着けたらなという思いでいっぱいです。

MC:松重さんはいかがでしょうか?

松重:本当にこういうバイプレイヤーズという、実名を晒して役をやるというフォーマットを作り上げたのが大杉漣さんで。僕らが元祖と呼ばれる人たちが前面に出てくるのは、これが最後だと思います。次から後ろで控えている若い人たちが、こういうフォーマットで遊ぶ機会があれば、それは大杉さんの魂がずっと延々と生き続けてるわけですし。で、若い人たちを見ると素晴らしい俳優さんで、今若い人たちは耳に耳輪をつけているというのが今日初めてわかりまして。年寄りには耳輪の人はいなかったですね。ピアスっていうんですか? 今度、僕らもつけましょうかね。次はみんな前で耳輪つけてね。

MC:時生さんですかね、耳輪を付けていらっしゃるのは(笑)。

柄本:そうですね…、はい…おしゃれが過ぎました。すいません(苦笑)。

MC:(笑)。光石さんはいかがでしょうか?

光石:まさか映画になると思ってませんでしたので。でも本当にそれを熱望してたのは大杉さんだったんでね、それが実現したことが本当に嬉しいです。次は(若手の)皆さんが前列に来て、僕らがまたいつものように後ろに下がると。それが一番形がいいんじゃないかと。でもせっかくだから、まだちょっと出してもらいたいですよね。ワンシーンだけでも。

MC:ワンシーンで良いんですか?

光石:充分でございます。よろしくお願いいたします。

MC:遠藤さんはいかがしょうか?

遠藤:これも世代の違いかもしれないんですけど、今日、菜々緒ちゃんに、この前違う作品でも一緒だったんで、「これから番宣、大変だね」って言ったら、「私、番宣大好きなんです!」って言うんですね。俺はあんまり得意じゃないんで、ビックリしちゃって。「私、番宣だったらどんどん入れてほしい」っていうのを聞いて、これも世代の違いなのかな? 個人的なもん? 分かんないよね? だから俺も耳に穴開けて原点から頑張ります!

MC:ありがとうございます(笑)。松居監督はどういった思いでしょうか?

松居:そうですね。シーズン2の時にもう無理だろうと思ったんですけど、やっぱり漣さんが映画にしたいっていうのは、それこそ現場でみんなで話していたから、沢山のバイプレイヤーズたちと一緒にお祭りのようなものがあったら、すごくいいだろうなっていうのはスタッフとも話していたので、結構ゴリッといった感じですね。「スケジュールはどこなら皆さん空いてますか?」みたいなところで、だまくらかしながら撮影したという形ですけど(笑)、すごい今、感慨深いです。

MC:そういったスピード感で撮影されていたんですね。お祭りにふさわしく100人の方々が関わっているこの映画ですが、若手の皆さんにもお話を伺いたいと思います。まずこのバイプレイヤーズに参加してのお気持ち、改めて濱田さんいかがでしたでしょうか?

濱田:いや、もうピアス開けたぐらいでじくじく言われたの高校生以来ですよ…。まさかね32になってこんな言われるなんて思わなかったですよ。職業の大先輩でもあり、顧問の先生みたいな? 部活の頭の上がらない先生みたいな側面もあり、なんか本当に素敵な時間というか、楽しくてすごく気さくな大先輩たちなのですごく話しやすいんですけど、どこか一線ピシッと僕らの中にはあって。だからいろんなことをせっかくの機会だから学んでいこうと思って、ずっと見てたんですけど、揃うとずーーーっと喋ってるし、本番直前まで喋っちゃいけないの知ってるはずなのに直前までしゃべってるんですよ。でも戦友と会って同窓会ではないけど、戦友と昔をたたえ合ってるのかなぁなんて思って。これは素敵な光景だなと思ったら、日没が近くなるとパタッと喋んなくなるんですよ。みんな一様にお家に帰りたくなっちゃうっていう(笑)。おいおい、何を学べばいいんだよ!と思って。そんな楽しい撮影でした(笑)。

松重:そうなるんだって!(笑)。

MC:元相の皆さんは自覚ございますか? 帰りたくなっちゃうんですかねぇ……。あ、コメントもしてくださらないんですね(笑)。

光石:僕はみなさんと、スケートボードとかして遊んでましたから。

松重:若い人に媚びるというのを、光石さんから学んだんですけどもね、自分で乗ってくる車にスケボーを乗っけてくるんですね。で、休憩時間にこれ見よがしに現場で転がり始めるんですよ。若い人たちに「出来る奴いないか?」みたいなことで集合かけて、スケボーする60近いおじさんというのが、いかがなもんかなと僕は思ったんですけども。

光石:お誘いしたでしょ? やろうって。

松重:できるわけないじゃないですか!怪我させたらどうすんですか、誰かを。でも、日没近くなると眠くなるというね。

MC:乗り疲れちゃったんですかね(笑)。ありがとうございます。では柄本さんは「バイプレイヤーズ」シリーズの最初のポスターを渋谷駅で眺めて、いつかあそこに並びたいと思っていらっしゃったんですね。

柄本:そうですね。渋谷ハチ公の上に、6人の先輩方が歯ブラシをくわえてるポスターを見たときに、こういうお仕事をずーっと続けてて、僕が先輩方と同じ歳になったときに、そういうのを作ろうってなった時に、呼んでもらえればいいなあっていうのを漠然と見て思ってたのを思い出しましたね。

MC:その中に入ってみていかがでしたか?

柄本:とにかくありがたかったというか、本当に嬉しいですね。呼んでもらえたんだというのが、本当にありがたく思っております。

MC:ありがとうございます。このように若手の方々から言われて元祖の方々はどうお思いですかね?

田口:もう世代交代でしょう。着々とそこは進んでいると思うので。老兵はもう消え去るのみですよ。

MC:いやいやいや(笑)。

遠藤:だけどその元祖っていう言葉がちょっとひっかかるよねえ(笑)。終わっちゃった感があって(笑)。

MC:そうですね、失礼しました(笑)。元祖をやめてベテランの皆さんということで(笑)。いやでも、これだけのファンの方がいるので、まだまだ見たいという人も多いと思います。菜々緒さんにお伺いしたいんですが、天海祐希さんとの撮影が多かったそうですね。

菜々緒:そうですね、私は一番天海さんが多かったのかな。でも割と立ち位置的には結構いろんな皆様とお会いする機会がすごく多かったので、いろんな役者の皆さんのお芝居だったりとか立ち振舞いみたいなのを拝見させていただいて、すごく勉強になりました。いろいろ吸収させていただくことがすごく多かったので、夏のすごく暑い中、監督がちょっと熱中症に2回ほどなって(笑)。

松居:午前中に撮影してたんですけど、気づいたら午後1時になってて。でも、撮ってたらしいですね。結構、終盤の大事なシーンを。

MC:記憶にないんですか?

松居:ないですよ。

菜々緒:そのぐらい暑い中、コロナでシールドみたいなのをつけながらやったりとかしてたので、すごく過酷ではあったんですけれども、そんなことも乗り越えながら、みんなで一丸となりながら出来た作品なので、そういったものも映し出されていると思いますし、本当に元気になる作品だと思うので皆さんを期待していただいて、観ていただけたらと思っております。