【全文掲載】山﨑賢人「人たらし、ダメな部分がある」行定勲監督から見透かされ「そう…ですねえ…」

又吉直樹が芥川賞受賞作品となった「火花」より前に書き始めていた作家の原点とも言える恋愛小説を、主演に山﨑賢人、共演に松岡茉優を迎えて、行定勲監督が映画化する『劇場』が、4月17日より公開される。このほど、3月25日に丸の内ピカデリーにて完成記念イベントが実施され、山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、行定勲監督、原作者の又吉直樹が登壇した。ここでは、本イベントの模様を全文掲載でお届けする。

MC:山﨑賢人さん、松岡茉優さん、寛一郎さん、又吉直樹さん、そして行定勲監督です。まずは皆様にご挨拶とともに、完成した映画をご覧になったお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。まずは演劇の世界で夢を見る永田役を演じられました、山﨑賢人さん、お願いいたします。

山﨑:はい、永田を演じました山﨑賢人です。初めて原作を読ませて頂いた時に、絶対に永田をやりたいなと思い、いざ撮影をさせていただいて、本当にこの永田の人間としてのダメさだったり弱さだったり、愚かさが、自分の中で本当に魅力的で、共感できるなあと思って演じていたんですけど。それを同い年の松岡茉優ちゃんと一緒に、行定さんに撮っていただいて、映画としての『劇場』として良い作品になったなと思ってます。本当はお客さんに観ていただきたかったんですが、このようなご時世で。初めての経験の完成披露になってるんですけど…(笑)。映画の魅力を伝えられるように、今日は頑張りたいと思います。よろしくお願います。

MC:よろしくお願い致します。そして、永田を信じて支える沙希を演じられました松岡茉優さん、お願いいたします。

松岡:今日はお集まりいただきましてありがとうございます。永田くんを7年間支え続けた沙希ちゃんを演じました松岡茉優です。私も最初にお話いただいて台本を読んで、言いたいなーっていうセリフがたくさんあったし、「分かるな~。分かるな~」と思いながら、ずっと読んでいました。今まで、恋をしたことがある人、大事な人がいたことがある人、まさに今いる人、誰かを思ったことがある人には必ず響く作品になっていると思います。ご自身の大事な人や大事なものと照らし合わせながら、この物語を観てもらえたらうれしいです。そして願わくは、もっとたくさんの人にもっともっと早く観てもらえたら嬉しいなと思っています。今日はよろしくお願いします。

MC:ありがとうございます。続いて、永田の学生時代からの友人で、一緒に劇団を立ち上げる野原を演じられた寛一郎さん、お願いします。

寛一郎:どうも寛一郎です。慣れないですよね、このお客さんがいない中での舞台挨拶って…。

山﨑:そうですね。寂しいよね。

寛一郎:悪いことしてないけど、謝罪会見みたいな(笑)。

松岡:こういうところではやらないと思う(笑)。

寛一郎:いやもちろんもちろん(笑)。すいません、失礼しました(笑)。又吉さん原作の「劇場」は、これが決まる前から知っていて、大変素晴らしく、さっきちょっと裏でも話したんですけど、永田と共通する部分は一切ないのに、永田の感情の機微が痛いほどよく分かるという、男の共通の愚かさなんでしょうか。彼らの感情の機微は小説の中では描けているけど、映像になったときはシナジーが生まれ、「劇場」を映像に変換できた。今日はお客さんがいないですけど、公開してたくさんの人に観ていただければなと思っています。今日はよろしくお願いします。

MC:ありがとうございます。そして原作者の又吉直樹さん、よろしくお願いします。

又吉:原作者の又吉です。よろしくお願いします。こういうとき、だいたい一人芸人がいると、なんとなくツッコんだり、場を盛り上げたりするんですけど、僕ですいません(笑)。トーンが低めでありますけど、僕自身「劇場」という小説は二作目なんですけど、すごい大切にしている小説でして、それが映像化された時にどうなるんだろうって言う期待も、もちろん不安ももあったんですけど、観たときにすごく原作を大切にしてくださっていると感じるとともに、僕自身が分かっていなかったことが凄く映像で観ることで発見できたりしましたので、原作を読んでくださった方にもぜひ、映像で観て、新しい発見があると思うので、観ていただきたいなと、自信を持っておすすめしたいなと思っております。宜しくお願いします。

MC:よろしくお願いします。そして、行定勲監督、よろしくお願いします。

行定:本日はありがとうございます。『劇場』は、すごく思い入れのある作品になりました。又吉さんが「火花」の次に放つ「劇場」という恋愛小説を書くということを聞いてですね、出版してすぐに読んだんですね。読み終わって、この映画のラストシーンがまず浮かんだ時に、これはもう他の人に撮らせたくないという思いがあってですね、プロデューサーにすぐ連絡して、「僕で監督ダメですかね?」と言ったのを思い出します。ページをめくるたびに、どのシーンも自分と重なる部分ばかりで、本当に愚かな自分を省みさせるような小説で。男と女のどうしようもなさっていう言葉があると思うんですけど、どうしようもなさが余すこと無く描かれている本を読んで、今までの日本映画界にこういうものが何故ないんだ?という思いもあったし、日本の映画ってかつてはすごく心に刺さる、こういう映画をたくさん作ってたよなという思いがすごくしまして。これを稀代の作家である又吉さんが小説にされたのは、僕がこれを映画にする可能性を秘めているわけで、すぐにプロデューサーさんに連絡させてもらって、渾身の思いでここまでたどり着いたので、ぜひとも一人でも多くの人に観ていただけたらなというふうに思っております。よろしくお願いします。