【全文掲載】綾野剛、RADWIMPS 野田洋次郎プロデュースの主題歌に救われる「立ち上がるきっかけをもらえた気がした」

MC:ありがとうございました。佐藤浩市さんはいかがでしょうか?

佐藤:やっと公開して、この映画を観て皆さんがどのように考えるかということも含めて、楽園というのは悦楽的な意味合いの刺激のある場所を楽園だと思われる方もいれば、刺激的ではなくても人がいがみ合うこと無く、そこで暮らせる場所を楽園というのか、それぞれ違うと思うし、綾野にとっても華ちゃんにとっても虹郎や僕にとっても楽園は全部違うんですよ。そんなことを皆さんも映画を観ながら考えてくれる場所をこうやって提供できたなというのが嬉しいですね。

MC:ありがとうございました。そして改めて、ユップさん。映画の初日に日本に来て演奏していただいたわけですけど、観終わったばかりの方々の前で演奏されてどんなお気持ちでしょうか?

ベヴィン:日本とオランダはかなり遠い国だと思うんですけど、その遠い国に来て、自分が演奏して瀬々監督の映画を通じて観客の皆さんとコネクトできる、絆が持てる、音楽を作っているのはもともとそれがしたくてやっているんですけど、それを考えると素晴らしい経験をさせていただいているなと思います。

MC:ありがとうございました。ユップさんの奏でるピアノが映像と見事にシンクロしていたんですけど、主題歌も本当に心が潤されるものだったと感じていると思います。上白石萌音さんが、RADWIMPSの野田洋次郎の作詞作曲で「一縷」という歌を歌われているんですけど、実際にこの曲を聞かれて綾野剛さんはいかがでしたか?

綾野:この映画を観終わったあと、この「一縷」が流れた瞬間、大変助かりましたね。包み込んでくれて、全てをすくい取ってくれるような、なんとか立ち上がってくれるようなきっかけをもらえたような気がして、とても感謝していますし、洋次郎くんからもメールをいただいていて「上白石萌音さんの声じゃなかったらこういう曲にはなっていなかった」と、とても絶賛していたので、本当に彼女の声は、真実なんてなんの役にも立たない時代になってきたのかなと思った瞬間に、あの声が聞こえてくるとちゃんと真実を照らしてくれる声ってあるんだなと改めて思いました。

MC:ありがとうございます。瀬々監督はいかがですか?

瀬々:「一縷」というタイトルが素晴らしいと思いましたね。一縷の思いというか、一筋の光につながっていくものだと思うんですけど、そういう思いを野田さんや上白石さんと一緒に映画を通して共有できたというのが素晴らしいと思いましたし、ユップさんともオランダと日本で離れていたんですけど。共通の感覚や情感があったと思うので、この映画ができたというか。この映画って差別と格差とか、そういうものに対する「ちょっとおかしいンじゃないの?」というところも若干あって作ったので、共通の感覚を大切にできたことは素晴らしいことだったと思ってます。

MC:そんな上白石萌音さんもこんなことをおっしゃっています。「洋次郎さんが映画を観終わった人の小さな救いや光になればという気持ちが、私の光になっていて、なんという名曲を歌うことになってしまったんだろうと思ったのを覚えています。映画をご覧になる方にとっても日常に寄り添うという意味でも大切にしていただける曲になったら嬉しいです」。そして。野田洋次郎さんからもこんなメッセージが届いております。台風19号の被害が日本中で発生していた10月14よりの配信でしたが、野田洋次郎さんご自身がツイッターで「期せずしてこのような時期に配信になりました。でも懸命に今を生きるあなたに、ただ届いてほしいと願って作った曲です。少しでも伝わるものがありますように」というコメントでございました。さて、今日は折角ですから、皆さんからの質問コーナーにさせていただこうかと、綾野さん、いいですよね?

綾野:いいとも!(笑)。

MC:ご質問ある方、手をあげてください!ではそちらの女性からいきましょう。

観客:こんにちは、はじめまして。最後のシーンでの豪士と紡の行動について、演じられた方々はどう思うのかをお聞きしたいです。

綾野:なかなか本気の質問ですね(笑)。ありがとうございます。この表現が正しいかどうかは分からないんですけど、花冠をもらった瞬間、ようやく僕はある人に見つめられたんですよね。愛華ちゃんという人に。人は人に見つめられることで、人になると僕は考えています。彼は誰からも見つめられないで生きてきたんだと思います。母親からも。でも唯一、彼女だけが僕のことを見つめてくれて、初めて僕はそこに存在したんですよね。あくまで芝居ですけど、瞬間的にこれを永遠にしたいと思ったんですよね。その感情は確かに芽生えたんですよね。ただその後、彼女は去って行って、これは(原作の)吉田修一さんが言ってくれたんですけど、「ある種、キリストのようだった」と。でも、そのときに冠をつけたまま上がっていくのか、取って上がっていくのかでは、大きくなにかが変わるのではないかと思って、僕はあのときは永遠にしたいと思いつつ、彼女が離れていく姿を見て「返さなきゃ」と思って向かっていきました。現場でも僕は犯人ではないと言い続けていましたので。「返さなきゃ」っていう使命感があった気がします。それで追っていきましたね。その後、自分がどういった行動に感情が変わっていくのかということを、明言するんのは難しいですけが、映画の中で生きている中では、「返そう」と思いましたね。(杉咲を見て)分かるよ。今から話さなきゃいけない。これは大変だって(笑)。気持ちは分かる。バトンをタッチするよ(笑)。

杉咲:ありがとうございます(笑)。難しいんですよね…。あのときの撮影の状況を話しますと、これまで紡を演じさせていだいて、一週間とちょっとぐらい経ったときに、急遽、あのシーンに紡もいることになって追加になったシーンだったんですけど。それまでは、豪士はやってないって自分の中で思いながら演じてきていて、でも、いざ現場に行ってみたら、瀬々さんに「豪士がやってたから」って言われたんですよ(笑)。

綾野:僕も、「え!?」ってなったし(笑)、全員がね(笑)。結構、各部署がざわついたんですよ。

杉咲:そうですよね(笑)。「ひえ〜」ってなって(笑)。

綾野:芝居を根底から覆すみたいな(笑)。

杉咲:そうなんですよ(笑)。だから、急遽、設定が真逆になって、パニック状態のまま、あのときは現場に立っていたんですけど、そのあと、本当にやってたのかなと思って…

佐藤:この質問はこれくらいでいいですか!? (笑)。

杉咲:ハッハッハ(笑)。違うんですよ、聞いてください(笑)。その後、もう一つあって、もう一回、瀬々さんに確認しようと思って、「やってたんですよね、豪士は?」って後日聞いたんですよ。そしたら、今にも泣き出しそうな顔をして「やってないよ!」って言ったんですよ(笑)。

綾野:あのー、不安定だったんですね(笑)。場所の魔力がありますからね。非常に不安定でしたね。

杉咲:だから、あのシーンは私をパニックに陥れるための瀬々さんの戦略だったのかなと今は思うんですけど、あのシーンこそ、お客さんに委ねているのかなと私は思います。

綾野:託さなきゃいけない部分だよね。まあ、瀬々さんがいかに不安定だったかがよく分かったと思います(笑)。