『氷菓』公開記念!山﨑賢人の魅力を開花させた映画&ドラマ5選!

米澤穂信による青春学園ミステリーでアニメ化もされた「古典部シリーズ」を、山﨑賢人と広瀬アリス主演で映画化。姉の命令により廃部寸前の古典部に入部した高校生・幸太郎(山﨑)が、“一身上の都合”で入部してきたお嬢様の同級生・える(広瀬)とともに、学園内で起こる不思議な出来事を持ち前の推理力で次々と解き明かしていく。

本作で、「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」。がモットーのIQ未知数の超省エネ男子・幸太郎を演じるのは、近年立て続けに話題作に出演する人気俳優・山﨑賢人。ここでは、好奇心旺盛なえるに引っ張られ潜在的な推理力を開花させていく幸太郎にちなみ、2010年の俳優デビュー以降、役者としての魅力を次々と開花させてきた山﨑賢人の仕事ぶりを追う映画&ドラマ5作品を紹介する。

氷菓 2

『氷菓』
11月3日全国公開
監督:安里麻里 出演:山崎賢人 広瀬アリス 小島藤子 岡山天音 天野菜月
配給:KADOKAWA

『L♥DK』

渡辺あゆの同名コミックを実写映画化。何事にも直球勝負だが恋に奥手な女子高生・葵(剛力彩芽)と、学校一のツンデレモテ男・柊聖(山﨑賢人)の秘密の同居生活を描く。
本作は、恋愛映画の胸キュン要素として大ブームとなった“壁ドン”の火付け役的一作で、山﨑が「壁ドン王子」として女性ファンの心を鷲掴みにし、一躍注目を集めるきっかけとなった作品だ。その整った顔から吐き出されるぶっきらぼうな言葉とそっけない態度、それとは裏腹に笑うと可愛い素顔という、まさにツンデレなSっ気キャラもドはまりし、人気が急上昇した。以降も16年の映画『オオカミ少女と黒王子』やドラマ「好きな人がいること」でも、それぞれタイプの違うSっ気キャラを素敵に演じ分けているので、そちらも要チェックだ。

『ヒロイン失格』

幼なじみの男の子を思い続ける女子高生の切ない恋の行方を描いた、幸田もも子の同名コミックを、桐谷美玲主演で実写映画化。
本作で山﨑は、ヒロイン・はとり(桐谷)の幼なじみで、思い人でもあるクールな同級生・利太を好演。嫌味のない爽やかなかっこよさと、ふと見せる優しさが印象的で、その正統派イケメンキャラぶりも好評を得た。また、学校一のモテ男・弘光を演じた坂口健太郎とヒロインを奪い合うという夢のような三角関係も世の女性たちの心に刺さりまくり、話題に。ヒロインへの気持ちに揺れ涙を流す利太の姿や、雨の中で弘光がはとりを抱きしめるシーンなど、原作者の幸田をも胸キュンさせたという、乙女心をくすぐる名シーンの数々にトキメキが止まらない!?

「連続テレビ小説 まれ」

ケーキ職人の夢を追い、世界一のパティシエを目指して邁進する少女・希(まれ/土屋太凰)の成長を、家族や友人とのエピソードを絡めて追ったハートフルな人間ドラマ。
本作で山﨑は、ヒロインの希の同級生で、やがて彼女と夫婦になっていく幼なじみの圭太役を好演。幼なじみだった2人が若夫婦に、そして家族になっていく様子は温かくも微笑ましく視聴者の目に映り、以降、山﨑と土屋のペアは“けんたお”と称して愛され、「まれ」のクランクアップ直後に映画『orange』で再共演を果たした際にも、2人を応援する声が多かった。そんな、ある意味珍しい現象を引き起こすほど、それぞれの役を精一杯生き、人々の心に印象を残した2人の自然体の演技は必見。

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

シリーズ累計発行部数1億部を超える荒木飛呂彦の大ヒットコミック「ジョジョの奇妙な冒険」の第四部を、三池崇史監督×山崎賢人主演で実写化した話題作。美しい海辺の町・杜王町(もりおうちょう)に暮らす高校生の東方仗助(山﨑)が、“スタンド”と呼ばれる特殊能力を武器に、同じような力を使い悪に手を染める者たちと、町を守るために戦う姿を描く。
それまで恋愛映画を中心に数々の漫画原作ものに出演してきた山﨑賢人が、本作では、同じ漫画原作ものながら、初めてアクション大作に挑んだ。大ヒットコミックが原作で、実写化に懸念を抱くファンも多く、また、独特な世界観をどこまで再現できるのかなど多くのプレッシャーもかかる中、山﨑はリーゼントに学ラン姿で気合たっぷりに主人公の仗助を熱演。のちに山﨑自身「自分にとっていろいろなものが大きく変わった作品」と公言するほど、彼にとって挑戦的な一作となった。公開当時原作者の荒木も絶賛した、“堂々と作品を引っ張る存在感”が、熱く胸に残る。

『斉木楠雄のΨ難』

麻生周一による人気ギャグコメディー漫画を、ドラマ「ドラゴンクエスト」シリーズや映画『銀魂』などを手がけたコメディーの奇才・福田雄一監督が山﨑賢人を主演に実写映画化。世界を滅ぼすことができるほどのとてつもない超能力を持ちながら、普通の生活を切望する男子高校生・斉木楠雄が、数々のΨ難に見舞われる様子を描き出す。
本作でコメディーに初挑戦した山﨑だが、賀来賢人や吉沢亮、橋本環奈ら、福田組常連キャストの若手俳優陣らが演じるドぎついキャラが乱立する中、ドピンクの髪におかしな玉を頭に刺した面妖な外見で、何事にも真顔で動じないクールなキャラ・楠雄を怪演。当初から楠雄役には山﨑を熱望していたという福田監督に太鼓判を押されたほどのコメディーセンスで、福田ワールド全開の世界観の中、微塵も引けを取らない演技を見せている。

恋愛もの作品では “理想の「王子様」像”を見事に体現して女性ファンをうっとりさせ、『ジョジョ〜』や『斉木〜』などの、実写化困難と謳われた異色作品では堂々たる存在感で主人公を演じてきた山﨑賢人。漫画原作ものの実写化というハードルの高い作品に多く出演しながら、その都度原作ファンをもうならせ、役者としての成長を着実に感じさせてきた、その仕事ぶりは見事だ。そんな山﨑が次回作の本格学園ミステリー『氷菓』で、今度はどんな魅力を開花させるのか。(深田尚子)