『追憶』公開記念! 岡田准一の役者人生を“追憶”する映画4本を紹介

2017年5月6日公開の映画『追憶』は、『あ・うん』(’89)『鉄道員(ぽっぽや)』(’99)などの名作を手掛けた監督・降旗康男&キャメラマン・木村大作が9年ぶりにタッグを組んだ最新作。ある殺人事件をきっかけに、刑事・容疑者・被害者として25年ぶりに再会した3人の幼馴染が、心の奥に封印していたはずの過去と向き合っていく姿を描くヒューマンサスペンスだ。
本作で主人公の刑事、四方を演じているのは、V6のメンバーとしても活躍する俳優・岡田准一。ここでは、『追憶』のタイトルにちなみ、岡田の役者としての軌跡を“追憶”する映画4作品を紹介する。

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『追憶』
2017年5月6日全国東宝系にてロードショー
監督:降旗康男 脚本:青島武 瀧本智行 撮影:木村大作
出演:岡田准一 小栗旬 柄本佑 長澤まさみ 木村文乃 安藤サクラ 吉岡秀隆

(C)2017映画「追憶」製作委員会

『永遠の0』

百田尚樹の同名ベストセラー小説を映画化。現代の若者・佐伯健太郎(三浦春馬)が、戦争末期に特攻で戦死した実の祖父・宮部久蔵(岡田准一)の実像を探るため、当時を知る人々を尋ねていく。「海軍一の臆病者」と誹られながらも、生に執着し、最後は特攻隊員として散ったゼロ戦パイロット・宮部。仲間たちが特攻に志願し次々と散っていく中、愛のため、信念のためにもがき続けた宮部を演じた岡田の、切なくも鬼気迫る演技が胸に迫る。
岡田は本作で、第38回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。同年に出演した『蜩ノ記』で最優秀助演男優賞もダブル受賞し、日本アカデミー賞初の男優賞のダブル受賞を果たした。これを機に、岡田はアイドルから日本を代表する俳優の1人として大きな成長を見せる。

『図書館戦争』

岡田の役者としての魅力という点で欠かせないのが、本格的なアクションもこなせるという点。『フライ,ダディ,フライ』での脚本家・金城一紀との出会いが、岡田をアクション俳優として目覚めさせ、のちに映画化されたドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」で金城と再タッグを組んだことで、本格的にその才能を世に知らしめた。『図書館戦争』は、そんな岡田の真骨頂ともいうべき一作だ。
原作は有川浩の同名大ベストセラー小説で、ある雑誌の読者投票で主役の笠原郁と堂上篤を演じてほしい俳優一位を獲得した、榮倉奈々と岡田准一がダブル主演を務めたもの。原作ファンの期待に応えたという点において、また、キャストたちが期待以上の好演を見せたという点においても、傑作の呼び声が高い。
撮影中はキャスト陣が岡田指導のもと日々体を鍛え、肉体改造に励んだという逸話もあるほど、アクション俳優としての岡田の存在感は唯一無二。実際、カリ、ジークンドー、USA修斗のインストラクター資格を持つ岡田の切れのあるアクションは見応えがあり、見ていて惚れ惚れするほど格好良い! また、アクション作品でありながらラブコメの要素も楽しめる本作では、榮倉&岡田が演じる笠原と堂上の恋も忘れてはいけない見どころの一つ。鬼教官と新人隊員の、伝わりそうで伝わらない、もどかしい恋の行方に、ドキドキが止まらない!

『花よりもなほ』

岡田准一が初めて時代劇&殺陣に挑戦した一作。父の仇を討つために、深川の貧乏長屋に住み着いた田舎侍が巻き起こす、涙あり、笑いありの人情劇。本作で、剣の腕はからっきし、それどころか宮沢りえ演じる未亡人にほのかな恋心を寄せる、弱っちくもどこか憎めない若侍を演じた岡田は、この役で日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。翌07年には第49回ブルーリボン賞・主演男優賞にもノミネート。後の『永遠のゼロ』に繋がる、岡田の役者としての資質がすでに開花していたことを示した作品であり、14年には大河ドラマ「軍師官兵衛」に主演する岡田が、時代劇というフィールドでも輝ける、役者としてのふり幅の広さを見せた一作でもある。
ちなみに今年8月26日公開の主演映画『関ヶ原』では石田三成役を演じる岡田。歴史好きを公言する彼が、どのような三成像を見せるのか、そちらも要チェックだ。

『おと・な・り』

最近は侍や軍人といった硬い役どころが多く、現代劇、しかも恋愛ものの作品からは残念ながら遠ざかってしまっている岡田。そんな彼のちょっと違う顔を見たいという方には、ぜひとも本作をおススメしたい。
都会のアパートで隣同士に暮らし、一度も顔を合わせたことはないものの、お互いの生活の中で生まれる“音”に惹かれていく男女の恋模様を描く映画『おと・な・り』。本来なら不快でしかないであろう他人の生活音を好ましく思う、その優しい空気感と、主人公の女性が口ずさむ「風をあつめて」のメロディーが、鑑賞後もずっと心の中に残り、暖かい余韻に浸らせてくれる。
特に受賞歴などはないものの、岡田の数少ない現代もの純愛映画出演作として押さえておきたい一本だ。『関ヶ原』以降の出演作はまだ決定していない岡田だが、ここらでまた等身大の男性を演じる姿を見たいと願っている女性も多いはず!(深田尚子)