GWはサモ・ハン・キンポーでPOW! 動けるデブ映画3選

愛くるしいクリクリの瞳に、内巻きのオカッパ頭。突き出た腹に、万年二重アゴ。「おいそこのデブ!」扱いされても、「エヘヘ♥」(もちろん水島裕の声で)とニッコリ。そんな愛嬌あふれるぽっちゃりさんが、いざ敵に対峙するとキリリッ! 腹の肉を揺らしながらハイキック、宙返り、カンフー技のキレッキレの壮絶アクションを繰り出しちゃう! ついたあだ名は“動けるデブ”。彼の名はサモ・ハン・キンポー。落ち目だったカンフー映画に、笑いと危険スタントを取り入れて復活させた立役者キンポー。ハリウッド進出の際に「サモ・ハン・キンポー」から「サモ・ハン」に改名したキンポー。この間、『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』『おじいちゃんはデブゴン』の二作公開にあわせ、11年ぶりに来日したキンポー。65歳になっても「デブゴン」と言われ続けるキンポー。昨日はサモ、今日はハンで、明日はキンポー。サモ・ハン・キンポー愛は続くよどこまでも!

↓「サモ・ハンis BACK!」特報

『五福星』

サモ・ハンが監督・脚本・主演を務め、盟友であるジャッキー・チェン、ユン・ピョウと初共演を果たした痛快エンタメ作『五福星』(’83)。『プロジェクトA』(’83)、『スパルタンX』(’84)を生んだ黄金トリオが放った最初のヒット作です。ブタ箱で臭い飯を食べ合った5人のポンコツ仲間が、シャバに出て清掃会社を設立。ドリフのコントのようなドタバタ共同生活を送っていたある日、偽札取引に巻き込まれマフィアに命を狙われる・・・・・・というストーリーはあるものの、一番の魅力は特濃キャラたちのポンコツぶりです。透明人間になったと思い込む、ナチュラル・ボーン・アホの自動車泥棒、ナルシストが過ぎる残念なイケメン詐欺師、顔がすでに出オチのチリチリ天パ&頭頂部ハゲの活動家、前科持ちのくせにむちゃくちゃ偉そうなヒゲ面。主人公の“おっちょこちょいの泥棒”を演じるサモ・ハンがかすむほど、HOW MANY イイ顔が勢揃いします。少年のような心とオツムを持ったオッサンたちが繰り広げる、反・知性的な戯れ=全裸フルチンを延々と撮り続ける監督サモ・ハンに胸アツです。その一方で、クライマックスのマフィアとの大乱闘シーンではサモ・ハン全力フル回転の肉弾戦あり、ポンコツ仲間のしょぼい猫パンチありと、きっちり笑いとアクションで魅せます。ジャッキーも脇役ながら、「ローラースケートで高速道路ダイブ」というアホの極みのような危険スタントに挑戦。上下真っ黄きのダサいスウェット姿でアクロバティックなスケート技を繰り出し、トラックや車の間を駆け抜けるシーンは迫力大です。ほんの数分、カメオ出演するユン・ピョウのおぼこいニキビ面にも注目だよ!

『燃えよデブゴン』シリーズ

スティーブン・セガールの『沈黙』シリーズに続き、“全く関係性のない作品なのに、勝手にシリーズものにしちゃった”第2弾は、サモ・ハンの代表作『燃えよデブゴン』シリーズです。サモ・ハンが監督・主演を務めた本家の第1作目(’78)は、ブルース・リーに憧れる肥満体型の田舎者が、町のクズどもを蹴散らすという内容で、リーへの尊敬と愛情が溢れるアクション重視の良作。本作の原題『肥龍過江』から、“肥龍”をグッジョブに邦訳した“デブゴン”が生まれたわけですが、この愛称が必要以上にサモ・ハンにハマりまくったもよう。セガールの『沈黙』シリーズが、“煮ても焼いても死なない主人公”というキャラ設定がまだ通底していたのに対し、こちらはメインだろうがサブだろうが、どっかに“動けるデブ”さえいればもれなくデブゴン化してしまいます。第5作目『モンキーフィスト 猿拳』(’79)なんかユン・ピョウ主演だし。とはいえ本シリーズによって、サモ・ハンの日本での知名度が上がったのも確か。師匠と弟子の二代にわたって、槍と剣の達人が因縁の戦いを繰り広げる第6作目『豚だカップル拳』(’79)では、カンフー・スターのラウ・カーウェイと共に一人二役を熱演。怒涛のカンフー&刀アクションが展開され、動けるデブの“動ける”部分をフィーチャーした傑作となっています。もちろん迷走しまくりの修行や、「チン!」なキン〇マ潰し&「カンチョー!」といったチビッ子垂涎の珍珍要素もてんこ盛り。出っ歯、まだらハゲ、ホクロから長い毛などのアホ面サブキャラも充実しています。

『イップ・マン 葉問』

ブルース・リーのただ一人の師匠にして、詠春拳のグランド・マスター「イップ・マン」。
実在した伝説の人物の生涯を、ドニー・イェン主演で描いたのが傑作『イップ・マン』シリーズです。香港・中国でメガヒットを博した同シリーズは、サモ・ハンがアクション監督を務めており、2作目(2010年)である本作(日本での公開はこっちが先)では出演も果たしています。50年代の香港を舞台に、中国から渡ってきた新参者イップ・マンと、サモ・ハン演じる香港武術界の大御所ホンが、互いの流派を賭け戦いを繰り広げます。ホンによって道場閉館へと追いやられたイップですが、その後、中国武術を侮辱したイギリス人ボクサーとホンの死闘を目の当たりにします。壮絶な最期を遂げたホンの遺志を継いだイップは、中国武術の誇りを守るべくリングへとあがるのです。対立しながらも深い絆で結ばれたイップとホンの友情に、「涙なくしては見られない!」とカンフー映画ファンたちが嗚咽! 揺れに揺れまくる円卓の上で展開される、ドニーVSサモ・ハンの新旧カンフー・スター超高速手合わせなんか凄すぎて逆に大爆笑! 心臓の手術をしたばかりだったとは思えないほど、サモ・ハンはキレにキレまくっています。アクションだけでなく、己の流派である洪拳を守り抜くホンの気高さも、重厚な演技力で見事に表現しています。もう気安く「デブゴン」なんて呼ぶんじゃねえ! 第3弾となる映画『イップ・マン 継承』では、なんとあのマイク・タイソンが敵役で登場するよ!
ピストン藤井

↓『イップ・マン継承』主演ドニー・イェン、マイク・タイソンのメッセージ映像