“韓流に見る欧米の影響”欧米作品と似て非なる韓国ドラマ3選

「実は兄妹で…」とか「記憶喪失になって…」などドラマティックすぎる恋愛ものが十八番といったイメージのある韓国ドラマ。しかし、ベタな恋愛ドラマ以外にもたくさんの良作があり、そこには“これってあのアメリカ・ドラマに似てる”とか“あのハリウッド映画っぽいなー”という作品もチラホラ。その中から“アレ”に似ているが、ちゃんとそのドラマの魅力がある、本当に面白い作品をチョイスした。韓流に興味のない方も一見の価値あり(かも)!

「カプトンイ 真実を追う者たち」

 通称“カプトンイ”と呼ばれた犯人による連続婦女暴行殺人事件が発生。約20年後、酷似した事件が起き、カプトンイと疑われ、自殺した父の濡れ衣を晴らすため刑事になった男が事件を追う。映画『殺人の追憶』のベースにもなった「華城連続殺人事件」をもとにしたサスペンス。全20話だが、過去の未解決事件に執着する刑事たちが活躍する展開は「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ」を彷彿。次々起きるグロい手口の猟奇殺人事件と、その犯人を追う様子などは「クリミナル・マインド FBI行動分析課」好きには絶対に刺さるハズ。また、事件の鍵を握るサイコパスの青年が強烈。演じるのは映画『俳優は俳優だ』の怪演で一躍注目された元アイドルのイ・ジュン。そのゾッとするような冷笑には背筋も凍る。さながら英国ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」でイドリス・エルバ演じる孤高の刑事ルーサーに執着するサイコ女アリス(ルース・ウィルソン)と双璧か。

「サイン」

 韓国初の法医学サスペンスとしてヒットした犯罪捜査ドラマ。天才的な頭脳を持つ法医官がどんな遺体からも証拠を捜し出し、真実の解明につなげていく。科学的に死因を追求していく過程は韓国版「CSI:科学捜査班」と言われるが、本家よりも専門用語などテロップで丁寧に説明するなど興味そそられる工夫があり、新鮮に映る。
 主人公の法医官の天才肌ゆえの偏屈ぶりや融通の利かなさは、法医学サスペンスの「BONES ―骨は語る―」や「ボディ・オブ・プルーフ/死体の証言」のヒロインたちに通じるものがある。ただし、数々の事件を解決しながら根底にある事件の真相を隠ぺいしたい権力とのガチ対決が軸になっており、それだけに反骨の主人公を演じるパク・シニャンの存在感がモノを言う。彼はドラマ「パリの恋人」や「風の絵師」、また15年草彅剛主演でリメイクされた「銭の戦争」などで知られる演技派。本作でも徹底した役作りで全20話、グイグイと引き込む。あまりの力演に腹いっぱいになることもあるが、衝撃的なラストまで法医官としての矜持を見せつける。

「ドリームハイ」

 芸能高校を舞台に、スターを夢見る若者たちの奮闘を描いた学園ドラマ。80年代のハリウッド映画『フェーム』を思い起こす内容で、人気のK-POPアーティストが出演。つまり、本物のアイドルたちが養成される舞台裏を覗かせながら、毎回、歌やパフォーマンスも披露する。もちろん、友情や恋愛など胸キュン要素もたっぷりと盛り込んで挫折や試練を乗り越えて行く若者たちを追う。「glee/グリー」に夢中になったアナタなら、きっとツボにハマるに違いない。
 しかも、若手を起用した青春ドラマらしく本作の出演を機に俳優たちがブレイクしている。中でも注目はキム・スヒョン。もともと彼は子役として活躍していたが、本作で田舎出身のサムドンという生徒役で主演に大抜擢され、垢抜けない風貌だったのが、失恋や挫折を経験する中で見る見るうちに洗練され、心をわしづかみするような歌唱力も見せて、一躍人気者になった。本作後、ドラマ「太陽を抱く月」や「星から来たあなた」、映画『10人の泥棒たち』で今や韓流スターの仲間入り。またヒロインを演じたスジは、日本でもヒットした映画『建築学概論』で好演している。海外ドラマの青春モノで青田買いするような楽しみを韓国ドラマで探してみてはどう?(前田かおり)