2025年6月27日（金）より、東京・麻布台ヒルズギャラリーにて「高畑勲展 ―日本のアニメーションを作った男。」が開催中だ。スタジオジブリの礎を築いた高畑勲監督の功績をたどる本展は、9月15日（月・祝）までの期間限定で開催される。

開幕前日の6月26日（木）には、オープニングセレモニーが行われ、監督の夫人・高畑かよこ氏、長男の高畑耕介氏に加え、スペシャルゲストとして爆笑問題の太田光、そしてスペシャルサポーターとして映画監督・岩井俊二が登壇。高畑監督への思いを熱く語った。

■高畑監督は「名前を知る前から自分の中にいた人」

太田は高畑作品の大ファンであり、対談経験もあるという。監督の人柄について「とても優しい方でしたが、アニメーションに対するこだわりと厳しさを持っていた」と語り、「『ホーホケキョ となりの山田くん』でやりたかったことを『かぐや姫の物語』で実現したと聞いて、心を動かされました」と作品への感動を明かした。

一方の岩井監督は、大学時代に進路に悩んでいた頃、高畑監督と初めて対面。「“好きなことを貫くのは、どれだけ大変か”という話を2時間近く、まるで叱るように語ってくれた。それが今も僕の座右の銘になっている」と、かけがえのない教えを回想した。

■「戦争反対の映画ではない」と語った『火垂るの墓』

本展のポスターには、代表作『火垂るの墓』（1988年）のイラストが使用されている。これについて太田は、「高畑さんは、単に“反戦”という言葉の中にこの作品を閉じ込めてほしくないという思いがあったのでは」とコメント。戦争を題材にしつつも、単純なメッセージには還元できない高畑監督の深い意図に思いを馳せた。

■見どころ満載の展示内容

会場では、高畑作品の制作過程や世界観を体感できる展示が満載。『火垂るの墓』の展示では、直筆原画や絵コンテ、未公開資料が並び、アニメーション制作の真髄に迫る内容に。『平成狸合戦ぽんぽこ』では、劇中に登場するマンダラが壁一面に広がり、来場者を圧倒する。また、併設カフェには『パンダコパンダ』の限定フォトスポットも登場し、名シーンの世界に入り込める。

■高畑耕介氏「家族にとっても驚きと喜びの展示」

監督の長男・耕介氏は、「アニメーターではない父の歩みをたどる展示企画は珍しく、世界各地で開催されるとは思ってもみませんでした」と喜びを語った。構想は高畑監督の生前から始まっていたが、今回の展覧会はその意志を引き継ぎ、時系列に沿って監督の思想や芸術的影響を紐解いていく構成となっている。

■展覧会概要

展覧会名：高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。
会期：2025年6月27日（金）－2025年9月15日（月・祝）
主催：麻布台ヒルズ ギャラリー、NHK、NHKプロモーション
企画協力：スタジオジブリ
協力：（公財）徳間記念アニメーション文化財団、新潮社
協賛：ア・ファクトリー
後援：レッツエンジョイ東京、TOKYO MX、在日スイス大使館
会場：麻布台ヒルズ ギャラリー（東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階）
開館時間：10:00-20:00（最終入館19:30）※6/27(金) ～ 7/18(金)の火曜・日曜は10:00-17:00（最終入館16:30）