『痛くない死に方』の名匠・高橋伴明監督が、板谷由夏を主演に迎えて現代の社会的孤立を描く『夜明けまでバス停で』が、10月8日に公開される。このほど、特報映像と場面写真がお披露目となり、併せてジャーナリストの田原総一朗より本作を推薦するコメントが寄せられた。
2020年冬。幡ヶ谷のバス停で寝泊まりする、あるひとりのホームレスの女性が、突然襲われてしまう悲劇があった。非正規雇用や自身の就労年齢により、いつ自分に仕事がなくなるか分からない中、コロナ禍によって更に不安定な就労状況。そして自らが置かれている危機的状況にもかかわらず、人間の「自尊心」がゆえに生じてしまう、助けを求められない人々。本作は、もしかしたら明日、誰しもが置かれるかもしれない「社会的孤立」を描く。
場面写真は、バス停で寝泊まりするホームレスに転落してしまう主人公・三知子(板谷由夏)が飲食店のゴミを漁って食べるシーン、三知子の働く居酒屋のマネージャー・聡(三浦貴大)が、店長の千晴(大西礼芳)にパワハラをするシーンなどが収められる。
■田原総一朗(ジャーナリスト) コメント
私は、ホームレスとは生きる意欲を失った人がなっていくものと思っていたが、この主人公の場合は全くそうではなかった。不幸なコロナ禍もあったがしかし自分の「誇り」ゆえにホームレスとなったのだ。「自己責任」でなく「相互扶助」が大切だと改めて感じた。
『夜明けまでバス停で』
2022年10月8日(土)より、新宿K’s cinema及び池袋シネマ・ロサ他にて公開
監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴
出演:板谷由夏 大西礼芳 三浦貴大 松浦祐也 ルビーモレノ 片岡礼子 土居志央梨 あめくみちこ 幕雄仁 鈴木秀人 長尾和宏 福地展成 小倉早貴 柄本佑 下元史朗 筒井真理子 根岸季衣 柄本明
配給:渋谷プロダクション
【ストーリー】 北林三知子(板谷由夏)は昼間はアトリエで自作のアクセサリーを売りながら、夜は焼き鳥屋で住み込みのパートとして働いていたが、突然のコロナ禍により仕事と家を同時に失ってしまう。新しい仕事もなく、ファミレスや漫画喫茶も閉まっている。途方に暮れる三知子の目の前には、街灯が照らし暗闇の中、そこだけ少し明るくポツリと佇むバス停があった…。一方、三知子が働いていた焼き鳥屋の店長である寺島千晴(大西礼芳)は、コロナ禍で現実と従業員の板挟みになり、恋人でもあるマネージャー・大河原聡(三浦貴大)のパワハラ・セクハラにも頭を悩まされていた。誰にも弱みを見せられず、ホームレスに転落した三知子は、公園で古参のホームレス・バクダン(柄本明)と出会い…。これは、ある日誰にでも起こりうる、日本の社会の危惧すべき現状を描いた物語である。
©2022「夜が明けるまでバス停で」製作委員会