ヴィム・ヴェンダース監督長編デビュー50周年!監督の名作を使用した特別映像『世界の涯ての鼓動』

カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた『パリ、テキサス』、監督賞を受賞した『ベルリン・天使の詩』などを手掛けた名匠ヴィム・ヴェンダース監督の最新作で、アリシア・ヴィキャンデルとジェームズ・マカヴォイの共演で贈る『世界の涯ての鼓動』が、8月2日より公開される。このほど、まもなくヴィム・ヴェンダース監督が長編監督デビュー50周年を迎えることを記念し、本作と、名作『パリ・テキサス』、『ベルリン・天使の詩』、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の本編映像を使用した特別映像がお披露目となった。

カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、ゴールデン・グローブ賞では外国語映画賞にノミネートされ、ロードムービー・ブームを巻き起こした『パリ、テキサス』(1984)。世界中で大ヒットを記録し、日本でも単館公開記録を塗り替え、社会現象となった『ベルリン・天使の詩』(1987)。そして、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、空前の音楽映画のブームを生み出した大ヒット作『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)。ヴィム・ヴェンダース監督は数々の名作を誕生させた。

「70年代からヴェンダースを観続けてきた」映画評論家の樋口泰人は、『世界の涯ての鼓動』について「70代や80年代のイメージとは違う印象で、最初は驚いた。でもそれは、ヴェンダースが常に新しい事に挑戦をし続けているからだ」と語る。特に「劇中で二人が見つめ合うシーンは、映画史上でもめったにみられない、まさに恋に落ちた人間たちの瞳と瞳の触れあいが描かれている。それは『まわり道』(1975)や『ベルリン・天使の詩』にも共通すること。字幕を読まないで、ひたすら彼らの目に注目して欲しい。ストーリーで見せようとする監督は多くいるが、ヴェンダースは、“相手を見つめる顔”で全てを語る。そんな監督は世界に何人もいない」と太鼓判を押す。

また、樋口は「印象的なのは、本作の冒頭に出てくる“こんなに孤独なのは初めて”というアリシアの台詞。ここにはヴェンダースの長年の想いが込められているのではないか…」と口にする。本作は、運命の相手が自分の傍にいないという主人公の切ない表情を映したカットから始まるが、実は、ヴェンダース監督が70年代から共に映画を製作していた仲間達がここ数年で次々と亡くなっているという背景がある。2年前には『パリ、テキサス』のサム・シェパードが、1年前には『アメリカの友人』『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツが亡くなったのは記憶に新しい。「ドイツの68年。世界的に巻き起こった政治運動の頂点となったその年と運動の挫折の後に長編デビューしたヴェンダースの、50年の時間が流れていると言えるだろう。本作を観てから(ヴェンダースの)過去の映画を観ると、ヴェンダースの社会へのまなざしが、どこか繋がっているということがわかるはず」とも樋口はコメントする。

『世界の涯ての鼓動』
8月2日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次公開
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・マカヴォイ アリシア・ヴィキャンデル
配給:キノフィルムズ 木下グループ

【ストーリー】 ノルマンディーの海辺に佇むホテルで出会い、わずか5日間で情熱的な恋におちたダニー(アリシア・ヴィキャンデル)とジェームズ(ジェームズ・マカヴォイ)は、別れの朝の引き裂かれるような痛みに、互いに生涯の相手だと気付く。だが、生物数学者のダニーには、グリーンランドの深海に潜り地球上の生命の起源を解明する調査が、MI-6の諜報員であるジェームズには、南ソマリアに潜入し爆弾テロを阻止する任務が待っていた。やがて恐れは現実となり、ダニーの潜水艇が海底で操縦停止に、ジェームズはジハード戦士に拘束されてしまう。果たして、この極限の死地を抜け出し、最愛の人を再びその胸に抱きしめることができるのか?

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