さよならだけが人生だ!卒業・旅立ちコメディ映画3選

3月は旅立ちのシーズン……。何から巣立ち、そして羽ばたいていくのかは人それぞれですよね。ということで、今回ムビッチは卒業をテーマにした映画3選をご紹介。いつものように、ちょっぴりヒネくれたセレクトでお届けします。

『卒業白書』

学校よりも何よりも「童貞」を先に卒業しないと、新たな旅“勃ち”は迎えられないよね! 童貞大好きムビッチが推薦する『卒業白書』(’83)は、トム・クルーズが初主演を務め、金持ちのボンボン&童貞役に扮した青春グラフィティ。一流大学を目指す高校生ジョエルが、両親が旅行で家を留守にすると聞き「ひゃっほーい!」と大ハッスル。誰もいないのをいいことに受験勉強を放り投げて酒を飲み、パパのポルシェを乗り回し、Yシャツ+白ブリーフ姿というイカ臭い出で立ちで喜びの舞を踊り、ついには高級娼婦を呼びつけて人生初の筆おろし❤に挑みます。この娼婦ラナを演じたレベッカ・デモーネイが、とにかくエロい。エロにエロのマシマシで手ほどきしてくれるので、免疫のない童貞君なんて即KO。やめられない、とまらない「かっぱえびせん」状態で、窓際やら階段やら自宅のあらゆる場所でセックスしまくります。しかしその快楽の代償はあまりにも高かった。クリスタルの置物をラナに盗み出され、彼女のヒモ男との金銭トラブルにも巻き込まれた挙句、ポルシェを湖の底に沈めてしまったジョエルは、大金を稼ごうとポン引き稼業に励みます。ってどんな高校生だよ! トンデモな展開ではありますが、おぼこい高校生がビターな洗練を受けて青年へと成長する過程を好演したトムは、本作でスターへの出世街道をひた走ることになるのです。

『シコふんじゃった』

空前の相撲ブーム「若貴フィーバー」が巻き起こった、1992年に公開された周防正行監督作『シコふんじゃった』。廃部寸前の弱小大学相撲部の奮闘を描いた青春スポ根映画です。主演を務めた本木雅弘のまわしで締め上げられたケツ! シコを踏むケツ! 土俵際で踏ん張るケツ! が話題となりました。卒業を間近に控えた三流大学生の秋平は、親のコネですでに就職も決まった天性のチャラ男。しかし卒論担当の穴山教授に授業も出ずに単位を履修しているのがバレ、「自分が顧問を務める相撲部に入らないと卒業させない」と脅されます。しかし相撲部の部員は大学8年目の青木ひとりのみ。この青木、相撲愛は誰にも負けないのにプレッシャーに弱く、土俵に上がると下痢ピーピー。うんこ漏らさぬよう肛門を締めるのに必死で、相撲どころではありません。即席で集めたメンバーも肥満体の田口、傲慢なイギリス人留学生スマイリー、貧弱な身体の秋平の弟・春雄と頼りない状況で案の定、試合は大惨敗。OBに責め立てられた秋平は「次の大会で勝ちゃあいいんだろ⁉」と逆ギレします。まずは小学生相手の取り組みからスタートし、ライバル校に馬鹿にされつつも、相撲の魅力に目覚めていく部員たち。青木も風俗嬢とのプレイを思い出すことで下痢を克服します。ここから始まるポンコツ相撲部による、笑いと涙に満ちた一発逆転劇は胸アツ必至!

『免許がない!』

学校は学校でも「自動車学校」の卒業を目指し、アクション俳優が悪戦苦闘を繰り広げる舘ひろし主演のコメディ『免許がない!』(’94)。華麗なドライビング・テクを誇っているかと思いきや、実は免許を持たず運転したことがない二枚目スターの南条。共演女優にそのことをバカにされたことから、素性を隠して3週間の合宿免許に潜入します。しかし教習所には坂道発進、踏切、S字&クランク、車庫入れ、縦列駐車などの難関に加え、ネチネチといびる意地悪教官や、下半身をうずかせるセクシー女教官らの鬼門が待ち受けます。今のAT車限定の世代ではない、MT車が一般的だった頃に教習所に通った人ならば、誰しもが経験したことのある数々の地獄に、観ているこちらまで具合が悪くなりそうです。どっちにハンドルを切ればいいのか、脳みそがこむら返りを起こす車庫入れや、加速時のギアチェンジ、坂道発進で半クラッチを切る時にやらかす後退、踏切でのエンストやS字&クランクでの脱輪。次々と襲い掛かる大テンパリ祭に、「ひいい~!」と委縮する南条が超絶カッコ悪い。これが『西部警察』でハーレーを乗り回し、女にモテモテの舘が演じているもんだから、なおダサい。次の講習に進むために、南条が必死に教官のハンコをねだる「ハンコ押してくれよ!」のセリフも笑えます。南条は運転オンチの汚名を晴らし、無事に免許は取得できるのか⁉ (ピストン藤井