鉄拳のパラパラ漫画の実写化となる、岡田将生主演の映画『家族のはなし』が11月23日より公開される。このほど、11月18日に銀座NAGANOにて公開記念トークショーが行われ、原作者の鉄拳が登壇した。
2013年に長野県出身の鉄拳と信濃毎日新聞との企画として発表されたパラパラ漫画を映画化した本作は、挫折を経験しながらも人生を必死に生きる青年と、そんな彼をそっと見守る両親の姿を描く。原作は、第17回「アジア太平洋広告祭」でフィルム部門・プレス部門をダブル受賞し各所で話題を集めた。原作者の鉄拳はアートディレクターとして映画にも参加し、劇中では鉄拳が本作のために書き下ろしたパラパラ漫画と実写映像がコラボするという新たな試みに挑戦している。
トークイベントは苦手だと漏らす鉄拳は、「面白いことを言える自信がないので、変な空気になったらネタをやります」と挨拶し、さっそく会場の笑いを誘った。MCを務める銀座NAGANO所長の小山が、今年4月に所長に着任したことを知り、その前の月に本館でイベントをしていたという鉄拳は「僕の方が先輩ですね、僕が司会進行もしましょうか?」と和やかな雰囲気でイベントはスタート。公開前に一足先に映画を観た小山は、「予告編だけでもグッときますが、この映画ほんとにやばいです。涙ぐんじゃって、最後はウルウルきてしまいました」と感動したことを鉄拳に伝えた。
パラパラ漫画について、鉄拳は「長野県で発行されている信濃毎日新聞とコラボしましょうという話で、“ふるさとを思い出してもらいたい”という企画で『家族のはなし』を作ることになった」と本作の原作ともなったパラパラ漫画誕生のきっかけを明かした。父のメッセージのシーンに注目してほしいようで「製作過程でいろいろとアイディアが出てきたが、パラパラ漫画ならではのクライマックスになっている」と熱く語った。また、第17回「アジア太平洋広告祭」でフィルム部門・プレス部門をダブル受賞したことについては、「新聞社の機械で撮影させてくれて、その映像がとてもきれいだった。僕の努力というよりも信濃毎日新聞さんの頑張りのおかげです」と感謝を忘れなかった。
映画化されたことについては「10分くらいのパラパラ漫画が1時間を超える映画になるのは大丈夫かな」と心配していたそうだが、「映画を観たら全然大丈夫で、パラパラ漫画にはない成海璃子が演じるキャラクターだったり、サイドストーリーも色々あって、平面で進んでいくパラパラ漫画を深堀りした物語になっていた。とてもいい作品になっていた」と太鼓判を押しつつも、「このパラパラ漫画は2か月かけて作ったんですけど、映画は1週間で出来上がったそうで、悔しいですね」とエピソードを披露し笑いが起こった。主演を務めた岡田将生の画像を見ながらイラストを書いていたという鉄拳は、実際本人を見た時は「想像以上にかっこよくて」とかなり衝撃を受けたようだ。
さらに鉄拳は、上京したての頃は、よく実家から大量のリンゴが送られてきたようで、「なんで一人暮らしの僕にこんなにたくさんのリンゴを送ってくるんだろう」と当時は感謝の気持ちすらなかったことを告白。「芸人として売れ始めてから、年も取ったからか、親のありがたみを分かるようになった。今では感謝の気持ちをきちんと伝えている」と明かした。ここで、少し会場がしんみりとした雰囲気になったことを感じ取った鉄拳が、すかさず用意してきたネタを披露。“過去にこんなことがあった人は僕と同類です”というテーマで、さまざまなイラストが描かれたページをめくる度に、うなずいて拍手したり笑いが起こったりで、会場はこの日一番の盛り上がりをみせた。
長野産のリンゴを3種類出され、それぞれ「酸味が凄い!すももみたいです」「これはよく食べるリンゴの味です」「このリンゴ甘いです」と食レポするも、あまりにも普通のコメントに、思わず「食レポは苦手なんです」と謝罪。長野出身者が多いおかげか、温かい拍手が沸き起こった。最後に「凄い派手な映画ではないんですけども、人間味溢れるジーンとくる話になってます。皆さんご家族お揃いで来てください」と映画をPR。詰めかけたお客さん一人一人に鉄拳が手渡しでリンゴをプレゼントするなど、映画同様温かい雰囲気でトークイベントは幕を閉じた。
『家族のはなし』
11月23日(金) イオンシネマほか全国ロードショー
監督:山本剛義
出演:岡田将生 成海璃子 金子大地 佐藤寛太 水田信二(和牛) 渡辺憲吉 財前直見 時任三郎
配給:KATSU-do
【ストーリー】 リンゴ農園を営む優しい両親とその一人息子・拓也。上京しバンド活動を営むが挫折。そんな彼を優しく見守る両親。しかし、両親の気持ちを疎ましいと感じ、苛立ちを常にぶつけてしまう。大学中退の秘密を持って帰郷した拓也だが、父、徹も拓也に言えない秘密があって―。
Ⓒ「家族のはなし」製作委員会