太賀、母親役の吉田羊とは「どこまでも行けると思えるやりとりができた」『母さんがどんなに僕を嫌いでも』公開記念舞台挨拶 レポート

人気ブロガーで漫画家、小説家としても活躍する歌川たいじが、自身の母親との関係を描いた同名コミックエッセイを映像化し、主演に太賀、共演に吉田羊を迎えた映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が11月16日に公開初日を迎え、11月17日に新宿ピカデリーにて行われた公開記念舞台挨拶に、キャストの太賀、吉田羊、森崎ウィン、小山春朋、御法川修監督が登壇した。

実話ということで、演じる上や演出する上で気にかけた点や苦労した点について、太賀は「やるからには、生きていることが辛くて苦しくて泣いていたタイジが、今日を懸命に生きている歌川たいじさんに繋がればいいなと思って演じました」と語り、続いて、タイジの母親・光子役を演じた吉田は「撮影に入る前に光子という実在の人物を再現することから一回離れて彼女の未熟さを未熟なままとことん演じよう。そしてこの映画の叫びのようなものが伝わればいいなという覚悟で演じました」と振り返った。また、親友・キミツ役を演じた森崎は「僕の場合は撮影に入る前にキミツさんご本人とお会いする機会がなかったというのが、逆に自分の中で自由にのびのびとできたんじゃないかと感じています」と語り、御法川修監は「原作を読んで、悲しい現実を悲しいまま写し取るような映画にしたくない、人の人生は自分の力で循環させていくことができるということを見てくださる方に共有できたらいいなと祈りを込めて取り組みました」と語った。

太賀とは10年以上前からの知り合いである森崎は、今回初めて共演した感想を聞かれ「変な意味じゃないんですけど、僕はすげぇ太賀が好きで(笑)。こんなに素敵な役者が年齢関係なく身近にいて刺激もたくさんもらいました」と振り返り、太賀も「キミツ役が森崎くんに決まったと聞いて、これは間違いない、イケるという確信がありましたし、芝居を通しても常に寄り添ってくれたことに支えられましたし、本当に感謝しています」と語った。また子供時代のタイジを熱演した小山は、撮影中の思い出を聞かれ「木野さんとお話をしていると気持ちがほっこりして落ち着いて演技に取り組めました。待ち時間に絵本を読んでいただことも心に残っています」と共演者でタイジを献身的に見守るばあちゃん役を演じた木野花との撮影エピソードを明かした。

息子と母のラブストーリーとも言える本作で、息子役を演じた太賀は母役の吉田に「素晴らしい女優さんですし、生半可な気持ちでは向き合えないなと思っていました。いざ面と向かうと上手く喋れないし、何を考えているのかわからなくて。でも実際にお芝居をしてみたらこれほど良い緊張感はなくて、羊さんとだったらどこまでも行けると思えるようなやりとりができた」と撮影時には伝えられなかった想いを述べ、さらにタイジの幼少期を演じた小山は吉田へ宛てたラブレターを読み上げることに。「現場では僕のことを一生懸命考えてくれていました。羊さんが僕と本気で演技してくれて、認めてくれている気がして、とても嬉しかったです。羊さんはとても優しい人だから本当は心がとても苦しかったと思います。羊さんのおかげで僕は最後までタイジとして頑張れました。最後の日に抱きしめてくれたのがとても嬉しかったです。僕は羊さんのことが大好きです」と撮影現場では伝えられなかった想いを明かした。思いがけない感動の手紙の内容に、吉田は「撮影中は小山くんとは一切コミュニケーションを取らないようにしていたんですが、オールアップの日に“僕は羊さんに嫌われてると思っていました”って言ったんです。その瞬間に彼はこの小さい体で、この撮影期間を一生懸命耐えてきたんだなと思うと本当にありがたかったし、ごめんねという気持ちでぎゅっとハグをしたんです。こんなに素敵な言葉をいただけて母も幸せです」と涙を見せた。

イベントの最後に、吉田は「きっとみんな誰もが心を許せたり許してくれる人を大事にして、今度はそれを他の誰かに共有してあげられるきっかけになる、そんな映画になれば良いなと思っています」、太賀は「タイジがいろんな人に支えられたように、この作品が皆さんにとって心に寄り添ってくれるものになると願っています」とコメントし、公開記念舞台挨拶は終了した。

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
11月16日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、イオンシネマほか全国公開中
監督:御法川修
原作:歌川たいじ著「母さんがどんなに僕を嫌いでも」(KADOKAWA刊)
脚本:大谷洋介
主題歌:ゴスペラーズ「Seven Seas Journey」(キューンミュージック)
出演:太賀 吉田羊 森崎ウィン 白石隼也 秋月三佳 小山春朋 斉藤陽一郎 おかやまはじめ 木野花
配給:REGENTS

【ストーリー】 タイジ(太賀)は小さい頃から大好きな母、光子(吉田羊)に愛されないまま、壮絶な家庭環境の中で育てられた。耐えかねて17歳で家を飛び出し、一人で生きてきたタイジだったが、友人の言葉に動かされ、母と向き合う覚悟をする。大人になっても自分を拒絶していた母に歩み寄り、タイジは母からの愛を取り戻すために立ち向かっていく。

©2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会