和歌山県でオールロケを敢行し、日本唯一のクジラ博物館を盛り上げていく様子を描く映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』が、11月3日に全国公開の初日を迎え、同日、シネ・リーブル池袋にて初日舞台挨拶が行われ、主演の矢野聖人、共演の武田梨奈、岡本玲、秋吉織栄、葉山昴、近藤芳正、鶴見辰吾、藤原知之監督が登壇した。
鯨井太一役で映画初主演の矢野は「20代のうちに映画に主演することが夢の一つだったので、それが叶って嬉しい。スケジュールは凄くタイトだったけれど、それ以上に主演をやらせていただく喜びが勝りました」と大役にシミジミ。しかし公開初日のこの日、衝撃的事実が…。なんと矢野、武田、岡本がまったく泳げない“カナヅチ”であることが判明した。カナヅチ暴露に矢野は「27歳で泳げないって…まあまあ恥ずかしいこと!でも撮影中はそんなこと気にしていられませんでした。水の中に飛び込むシーンは割り切っています」と役者魂でカバーした。
一方、トレーナーを目指すヒロイン・白石唯役の武田は「私は泳げないことが理由でキャスティングを変えられたらどうしようと思って、カナヅチであることは言わなかった」と秘密にしていたことを打ち明けると、矢野も「泳げないという理由だけで主演を降ろされたら怖いよね!」とカナヅチ同士で大共感。学芸員役で水には入らなかった岡本は、この矢野と武田のカミングアウトに驚きつつも「2人がバリバリ泳げると思っていたので、自分が泳げないという劣等感をお芝居に反映させていました。その部分は上手く利用できたかも」と笑わせた。
太地町長役の近藤は「みなさんと違って、僕の和歌山県滞在は一泊二日。和歌山県での思い出はありません!」とぶっちゃけつつ「台風の影響で飛行機が飛ばず、名古屋から車で和歌山県に移動。超ロングランのドライブを楽しませてもらいました」と舞台裏のハプニングに苦笑い。館長役の鶴見は、19歳当時に主演した和歌山県が舞台の映画『ときめき海岸物語』に触れて「当時はサーフィンをやる役で、今度はくじらの博物館の館長という役。33年ぶりに和歌山県に行きましたが、演じる上ではサーフィンをやっていた若者が思うところあって館長になる…というストーリーを自分の中で勝手に作っていました。だから思いもひとしお」と感慨無量だった。
飼育員役の秋吉は「太一を見守るお姉さん的役どころ。太一の『クジラが好きだ』という気持ちに突き動かされていくところがあるので、それが伝わればいいと思いながら演じました」と役柄紹介。飼育員役の葉山は「餌づくりの研修では、気づいたら午前中いっぱい餌を作っていて、本物の飼育員さんの『午前中分の餌づくり終わりました!』という声が聞こえてきて…完全にアルバイトでした。でもそれによって飼育員さんたちの気持ちを知ることができた」と身をもって飼育員の日常を体感したようだった。
そんな俳優陣の苦労に藤原監督は「クジラは生き物なので、心が通じないと指示通りに動いてくれない。水中の場面では本職の方に吹き替えてもらおうと準備していたけれど、皆さんの努力のおかげもあって、一切吹き替えなしで撮影することができた」と感謝。最後に主演の矢野は「和歌山に行きたい、クジラに会いたい、でもいい。映画を観てもらったそれぞれがそれぞれの思いを持って帰ってもらえれば嬉しい」と思いを込めた。
『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』
10月12日(金)より和歌山県先行公開中
11月3日(土)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開中
監督:藤原知之
脚本:菊池誠
音楽:稲岡宏哉
主題歌:清水理子「Colorful~あなたといた時間」
出演:矢野聖人 武田梨奈 岡本玲 近藤芳正 鶴見辰吾
配給:キュリオスコープ
【ストーリー】 舞台は、クジラしか飼育されていない、和歌山県南部にある「太地町立くじらの博物館」。来客も増えず、次々に飼育員が辞めていく中、館長は、経験豊富なベテランスタッフから強い反対を受けても、飼育員リーダーに、純粋にクジラを愛する青年・鯨井太一(矢野聖人)を任命する。東京の水族館からピンチヒッターとして呼ばれた白石唯(武田梨奈)や、学芸員の間柴望美(岡本玲)ら、同僚たちの中にも懸命に太一をサポートする人も現れるが、皆を悩ませていたのは来客がすくないことだった。そんな中、博物館を盛り上げるために太一は、スタッフの手作りによる「くじら夢まつり」を行うことを思いつく。しかし、開催を目前に控えたある日、「くじら夢まつり」中止の危機が訪れる…。
©2018 映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」製作委員会