野村周平の人生を変えたのは「お金目当てで息子を売った父親(笑)」 映画『ビブリア古書堂の事件手帖』初日舞台挨拶レポート

シリーズ累計680万部を突破した、三上延による同名ベストセラーの映画化となる『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日に公開初日を迎え、同日にTOHOシネマズ 日比谷にて行われた舞台挨拶に、キャストの黒木華、野村周平、成田凌、夏帆、東出昌大、三島有紀子監督が登壇した。

極度の人見知りだが驚くべき本の知識と優れた洞察力で古書にまつわる謎を解き明かす、若く美しいビブリア古書堂店主・篠川栞子役の黒木は「謎解き部分のセリフをスラスラと言わなくてはいけなかったり、読み聞かせの部分で本の内容を理解した上で相手に伝えなければいけないところが、難しかった」と役を演じた感想を述べた。

栞子に魅せられて店を手伝うことになる五浦大輔役の野村は「比較的自分に近い役で楽しかったんですけど、監督から『大輔は太陽みたいな人間だから、野村くんも太陽みたいにいてください」と言われて、現場で太陽みたいにしていたら、『うるさい』と言われました。理不尽ですよ(笑)」と抗議。すると三島監督は「暖かい太陽みたいに、皆んなの心をほぐして明るくするような人でいて欲しい、と思ったんですけど灼熱の太陽になっちゃって(笑)」と事の顛末を説明した。

本や人との出会いから人生が変わっていくという本作にちなみ、「自分の人生を変えた人は?」という質問が。黒木は「(劇作家の)野田秀樹さんとの出会いは、自分の人生の始まり」と学生時代に野田の演劇ワークショップに参加したことで人生が変わったと述べ、「やっぱり芝居が好きだという発見というか、仕事としてやっていけるかもしれない」と思ったという。

人生を変えたのは「父親」だという野村は、「(所属事務所である)アミューズで150万円の賞金が出るオーディションがあって、お金目当てで息子を売った(笑)」ことを告白。「無事150万円を獲って、お父さんにあげました。店を作りましたけど、もうなくなってました(笑)」と苦笑いしつつも、「おかげでここに立てているので、お父さんとアミューズには感謝しております」ときちんと感謝の意を伝えた。

「過去と現在の繋がり」をテーマとした本作にちなみ、キャスト陣が10年後の自分へのメッセージをフリップで披露する場面も。「健康第一」だという夏帆は「最近、身体の不調を感じることが多くて、身体が資本の仕事だと痛感している」とコメント。「体調管理しっかりな。」と書いた成田も「いつ死ぬか分からないんで、元気にいればそれでいいです(笑)」とにこやかに話した。

「最大何cmの岩魚釣った?」という東出は、「渓流釣りをいつかやりたいと思っているので、10年後はバンバン釣ってるはず」と多趣味な面を見せ、「落ち着いていますか?」と書いた野村は「もう世の中をかき乱してないじゃん? 落ち着いちゃった?」という意味合いを込めたものだと説明。「好きな人たちと好きなことを」と書いた黒木は、「38ぐらいになったら、好きな人たちと好きなことをしたい」と話し、「もう無理したくない…」と苦笑いして会場の笑いを誘っていた。

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『ビブリア古書堂の事件手帖』
11月1日(木)全国ロードショー
監督:三島有紀子
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
脚本:渡部亮平 松井香奈
主題歌:サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」
出演:黒木華 野村周平 成田凌 東出昌大 夏帆
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA

【ストーリー】 鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店「ビブリア古書堂」。過去の出来事から本が読めなくなった五浦大輔(野村周平)がその店に現れたのには、理由があった。亡き祖母の遺品の中から出てきた、夏目漱石の「それから」に記された著者のサインの真偽を確かめるためだ。磁器のように滑らかな肌と涼やかな瞳が美しい若き店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだったが、ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れだす。さらに彼女は、優れた洞察力と驚くべき推理力を秘めていた。栞子はたちどころにサインの謎を解き明かし、この本には祖母が死ぬまで守った秘密が隠されていると指摘する。それが縁となって古書堂で働き始めた大輔に、栞子は太宰治の「晩年」の希少本をめぐって、謎の人物から脅迫されていると打ち明ける。力を合わせてその正体を探り始めた二人は、やがて知るのであった。漱石と太宰の二冊の本に隠された秘密が、大輔の人生を変える一つの真実につながっていることを―。

© 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会