シリーズ累計680万部を突破した、三上延による同名ベストセラーの映画化となる『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日に公開となる。このほど、10月22日に渋谷・BOOK&CAFE WIRED TOKYO 1999にて公開直前イベントが行われ、キャストの黒木華、野村周平、<読書のすすめ>主宰の“本のソムリエ”こと清水克衛が登壇した。
登壇直後、様々な本が配置された空間に、ビブリア古書堂の店主・篠川栞子を演じた黒木は、「本好きとしては本屋さんでイベント出来ることを嬉しく思います」と挨拶。ビブリア古書堂で働くことになる青年・五浦大輔を演じた野村も「渋谷のTSUTAYAさんでイベント出来るとは思っていなかったので、テンションが上がっています」と、本に囲まれた空間でイベントを行うことに対して興奮した様子で挨拶した。
劇中で様々な本が持ち主から持ち主へ、思いと共に引き継がれていく様子が描かれていることに因んで、今でも捨てられずに大切に取っている物はありますか?という質問に対して、黒木は「お母さんからもらった靴とオーバーオールは捨てられないですね。母が30歳頃のもので、サイズも同じなんです」と回答。それを受けた野村も「俺も服は捨てられないですね。後、台本は捨てられないです。ただ滅茶苦茶たまるので実家に送るようにしています」と答え、“服”という部分で意外な二人の共通点が見つかった。
さらに、過去のトラウマから本が読めなくなってしまった大輔のキャラクターに関連し、現在も克服できないトラウマはありますか?という質問に対しては、黒木が「暗い所が苦手で、お化けが出るんじゃないかとか、知らない人が立っているんじゃないかとか」と意外な告白。そんな黒木へ、栞子のようにトラウマを解決できそうなアドバイスをと求められた野村は「ロウソクとか持って歩けばいいんじゃないですかね。御用だ!みたいな提灯とか」と助言。逆に野村は「一人になる事ですかね。一人になると未来のこととか自分自身のこととか考え過ぎてしまうので。それがトラウマというか怖いですね」と語ったが、黒木からは「分からないですね~。私は一人が好きなので」と正反対の答えが出てきてしまい、劇中の栞子と大輔の様な両極端なやり取りに会場は笑いに包まれた。
また、栞子は“ビブリア古書堂で好きな本に囲まれていることが幸せ”と感じているが、二人は何に囲まれたら幸せですか?という質問に対して、黒木は「動物とかですかね。猫とか犬とか。爬虫類も好きなので、ふわふわしたものか触り心地がツルっとしたものがいいですね」と答え、野村は「好きな車とか好きなバイクとかですかね」とお互いに幸せな空間について語った。
謎を解き明かしていくストーリーに因み、撮影時に起きた謎な事件、または共演者に対して謎に思っていることはありますか?と聞かれた黒木は「成田(凌)君ですかね。最後までどういう方なのか掴みきれなかったですね。そういう役だったのもあるかと思いますが」と語ると、野村も「そうですね。人見知りかと思うと急にグッと来るのでビクっとするんですよ。変なやつでしたね(笑)」と、ミステリアスな役を演じている成田凌が現場でも謎だったと意気投合した。
ここで<読書のすすめ>主宰、本のソムリエこと清水克衛が登場。黒木、野村が事前に回答したアンケートをもとに、清水が二人にぜひお勧めしたいという本を紹介。まず、黒木へ選んだのは「誰も知らない偉人伝」。歴史・実話ものを読みたいというアンケートを元に選ばれたこの本に対して、黒木は「歴史が苦手だったので、どうにか出来る本があるといいなと思っていたので楽しみです。早速今日から読みたいと思います」と嬉しそうに答えた。また、「本をもっと早く読むにはどうすればよいか」という黒木の質問に対して、清水が「読んでいるときに黙読しちゃっていると思いますが、究極は頭の中で音読しなければすごく早くなります。簡単なのだと目の動きを早くしようと意識するとそれだけでも早くなります」とアドバイスし、黒木は「早速やってみます!」とやる気に満ちた様子で返事をしていた。次に、野村に対して清水が選んだのは「雨の日も晴れ男」という小説。あまり本を読まない人、特に若い男性にお勧めの小説ということでこの本が選ばれたと聞いた野村は「僕っぽいタイトルですね。めっちゃ楽しみ!」とテンションが上がった様子で答えた。
続いて、事前に共演者である成田凌、夏帆、東出昌大から答えて貰った“今どんな分野に興味があるか、そして克服したいと思っている悩み”を元に清水が選んだ「生きる」「セールスの絶対教科書」「国境のない生き方」の3冊が登場。それぞれの本の内容を説明された黒木と野村が、どの本が誰に対して選ばれたのかを推理する流れに。両者悩みながらも「国境のない生き方」は絶対に成田凌だと断言したが、正解は“演劇と心理学に興味あり”とアンケートに記入し選ばれた「セールスの絶対教科書」だったことに二人は、先程の回答と同じく「やっぱり成田凌は謎だね」と会場の笑いを誘った。多くの読書通を唸らせた「生きる」は読書家でも知られる東出昌大、「国境のない生き方」は“いろいろな国を旅してみたい”と答えた夏帆に向けた本と正解発表があり、推理の結果、黒木が3問中0問正解、野村は3問中1問正解と、野村の勝利となった。
最後に作品の見どころを聞かれると、野村は「僕自身、この役がピッタリだと思っています。公開まで楽しみに待っていて下さい」とコメントし、黒木は「本が過去と現在、人と人を繋げていく様子が丁寧に描かれています。この映画を通して色々な繋がりが出来るといいなと思います」と思いを語り、イベントは幕を閉じた。
『ビブリア古書堂の事件手帖』
11月1日(木)全国ロードショー
監督:三島有紀子
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
脚本:渡部亮平 松井香奈
主題歌:サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」
出演:黒木華 野村周平 成田凌 東出昌大 夏帆
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
【ストーリー】 鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店「ビブリア古書堂」。過去の出来事から本が読めなくなった五浦大輔(野村周平)がその店に現れたのには、理由があった。亡き祖母の遺品の中から出てきた、夏目漱石の「それから」に記された著者のサインの真偽を確かめるためだ。磁器のように滑らかな肌と涼やかな瞳が美しい若き店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだったが、ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れだす。さらに彼女は、優れた洞察力と驚くべき推理力を秘めていた。栞子はたちどころにサインの謎を解き明かし、この本には祖母が死ぬまで守った秘密が隠されていると指摘する。それが縁となって古書堂で働き始めた大輔に、栞子は太宰治の「晩年」の希少本をめぐって、謎の人物から脅迫されていると打ち明ける。力を合わせてその正体を探り始めた二人は、やがて知るのであった。漱石と太宰の二冊の本に隠された秘密が、大輔の人生を変える一つの真実につながっていることを―。
© 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会