東出昌大と濱口竜介監督がタッグを組み、芥川賞作家の柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』が9月1日より公開中。このほど、10月4日に開幕した第23回釜山国際映画祭<アジアの風部門>で本作が正式上映され、レッドカーペットに主演・東出昌大、ヒロイン・唐田えりかが登場し、上映後のQ&Aにも登壇した。
空港到着時から大きな歓声で迎えられ、ホテルチェックインの時でも人だかりができるほど、韓国でも大人気の東出昌大。アジア最大規模の釜山国際映画祭のレッドカーペットを唐田えりかと共に歩いた。会場に着くと、カンヌ映画祭ディレクターのクリスチャン・ジュヌとも再会を果たした。日本でも大舞台での舞台挨拶に慣れているふたりだが、さすがに満席の会場をみると、「オー!凄い!」と感嘆の声をあげた。レッドカーペット登壇時、ふたりの名前が読みあげられると満席の会場からは割れんばかりの拍手と大きな歓声が響き渡った。ゆっくりとレッドカーペットを歩き、随所で手を振ると会場からはさらなる大きな歓声が上がった。
■東出昌大 コメント
モデルをやっていたので、随分とレッドカーペット的なものは歩いてきましたけど、やはりアジアの最大級の釜山映画祭、色んな国の俳優さん、監督さん、映画祭の方々がいて凄く華やかだな、と感じました。
■唐田えりか コメント
韓国でも活動してきたので、釜山映画祭のオープニングセレモニーのレッドカーペットを歩くことができたのはとても嬉しかったです。いつも映画とかで観ている俳優さんたちを間近に見ることができて楽しかったです。
10月6日には『寝ても覚めても』公式上映後に、東出昌大、唐田えりかによるQ&Aを実施した。台風直撃のため、残念ながら野外舞台挨拶は中止となったが、チケット発売3分で完売した『寝ても覚めても』の上映は、悪天候のなか、いち早く本作や東出昌大、唐田えりかを見たいと駆け付けたファンであふれかえった。エンドロールが終了すると、客席で観客と一緒に鑑賞していた東出、唐田が登壇。二人とも韓国語で自己紹介すると、大きな拍手が沸き起こった。客席からのQ&Aを受け付ける際に、東出、唐田自身が質問者を選ぶというスタイルに、客席の熱は一層ヒートアップした。
一人二役の演じ分けはどうだったか?という質問に東出は「濱口監督から撮影に入る前に、演じ分けないで下さい、という指示をもらいました。 演じ分けたという意識はなく、麦という人物と亮平という人物の二人を同時進行で撮影していたという感じです」と回答。またそれぞれの役柄と自分自身の似ている点があるかと問われると「麦を動物に例えると猫で、亮平は犬だと思います。僕自身はどちらかというと 猫なので、そういった意味では麦に似ているのかもしれません」と東出。唐田は「私は脚本を読んだ時から朝子に共感しましたし、演じているうちに何か芯の部分がどんどん朝子に近づいていった気がしました。とにかく何も考えずに朝子を生きた、という感じです」と、寝ても覚めても『寝ても覚めても』の朝子状態だったことを明かした。それに対し、そばで唐田を見守っていた東出は「唐田さんは何も考えずに、と言っていましたが、何かゾーンに入ったような感じで演じているのを傍で見て感じていました。まさに濱口映画のミューズ誕生といった感じでした」と本作でヒロインデビューの唐田を大絶賛した。
釜山国際映画祭初参加の二人。韓国のお客さんにメッセージをと言われ東出は「韓国が好きで、プライベートでも何度も来ていますが、初めての釜山で、『寝ても覚めても』を観てもらえてとても嬉しいです。日本でもこの作品は観る人によって感想が十人十色なので、映画に対して熱心な韓国のお客さんからどのような反応が得られるのか、とても興味深いです。カンヌでフランス人のジャーナリストに“日本では婚約者が他の男性と 出て行ったらあんなに怒るのか?”という質問を投げかけられて、やはり文化が違うな、と思ったのですが、韓国の人は日本の人と同じような気持ちになってくれるのでは、と思っています」と語った。唐田は「ひょっとしたら、観た人は朝子に共感できないかもしれませんが、この映画を観て何か感じとってもらえれば嬉しいです」と答えた。
30分のQ&A時間を延長しても質問は引きも切らず、最後に司会者がQ&A終了を告げると、二人にサインを求める観客が殺到し、二人の退場もままならないほどの熱気で溢れたQ&Aだった。韓国では来年のホワイトデー公開を予定している。
また、前日に行われたマリ・クレール Asia Star Awardでは『寝ても覚めても』で東出、唐田が揃ってフェイス・オブ・アジア賞を受賞。韓国語で挨拶をした。
■受賞コメント
東出:こんにちは。東出昌大です。このような映えある賞を頂き大変光栄に思います。ただ一言、アジアで仕事したいです。賞をありがとうございます。
唐田:こんにちは。初めまして。唐田えりかです。今日はとてもとても嬉しいです。また、釜山国際映画祭に参加出来るように、頑張ります!ありがとうございました。
『寝ても覚めても』
9月1日(土) テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中
監督:濱口竜介
原作:柴崎友香「寝ても覚めても」(河出書房新社刊)
音楽:tofubeats
主題歌:tofubeats「River」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知 仲本工事 田中美佐子
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス
【ストーリー】 東京。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先の会社で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に戸惑いながらも朝子は惹かれていき、ふたりは仲を深めていく。しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦(バク)に顔がそっくりだったのだー。
©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS