唐田えりか、映画賞初受賞に涙!『寝ても覚めても』第42回山路ふみ子映画賞贈呈式レポート

東出昌大と濱口竜介監督がタッグを組み、芥川賞作家の柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』が9月1日より公開中。このほど、11月30日に第42回山路ふみ子映画賞贈呈式が行われ、作品賞にあたる山路ふみ子映画賞を濱口竜介監督が、第30回山路ふみ子新人女優賞を本作でヒロインを演じた唐田えりかが受賞し、2人が登壇した。

満席の会場、緞帳が上がると壇上に濱口竜介監督、唐田えりから登壇者が並んで着席をしていた。作品賞にあたる第42回山路ふみ子映画賞を授賞した濱口監督は「とても光栄です。緞帳が上がる前、席に案内していただいた時に『溝口さんこちらへ』と言われました。よく間違われるんですが、なんて嬉しい間違えなんだろう!とありがたい気持ちです。そしてもう一つの感謝は新人賞として『寝ても覚めても』の唐田えりかさんを見つけていただいたこと。本当にありがとうございます」と受賞スピーチを述べた。“濱口”という苗字が、映画監督の大先輩・溝口健二監督の“溝口”と見間違えられる喜びと畏敬、そして自身の作品から生まれた新人女優との同時受賞に喜びを表した。

さらに会場に詰めかけた観客の方から「そのトロフィーをどこに置きますか?」という質問が。「スペースもないのでTVの前でしょうか。ありきたりですみません」と回答する監督に「今後もっと賞を取るからそれ専用のスペースを作って下さい!」と嬉しい返事がかえってきた。濱口監督の今後の活躍への期待をのせた生の言葉に満面の笑顔で感謝を述べた。

濱口監督に続き、新人賞を受賞した唐田は、映画賞の受賞は今回が初めて。新人賞受賞にあたり「映画『寝ても覚めても』で、二人の男性の間で揺れ動くヒロイン朝子を透明感のある佇まいで好演し、今後のさらなる飛躍への期待をこめて」という映画賞側からの公表に、花束をもらいマイクの前に立った唐田の目にはすでに涙が。第一声につまるほど、この賞の受賞に胸がいっぱいになっていた。「このような歴史ある賞を頂き本当に嬉しいです、でも、私はこの賞を頂くにはまだ本当に無力で、毎日が経験、とても尊い日々を過ごしています」と語る唐田。さらに「『寝ても覚めても』が大好きで、大ファンです。ここにいる濱口監督始め、キャストのみんな、スタッフの方、家族、皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。今ここにいることが奇跡のよう。この賞に相応しい女優になります」と笑顔で挨拶をした。

選考委員から今後の抱負について聞かれると「お芝居が嫌いだった私は『寝ても覚めても』で濱口監督に出会ってお芝居を学びました。今もまだ楽しいと思える瞬間は少ないですが、そう思えるよう頑張りたいと前向きになりました。瞬間瞬間に嘘のない女優になって、たくさんの人に映画を観て頂きたい、と今思いました」と映画賞初受賞の気持ちから、初々しく真っ直ぐな女優宣言をした。山路ふみ子映画賞は、映画人の育成、功績を称える目的で、女優の故山路ふみ子さんが遺した、「親子で安心して見られ、人間味のある作品を何よりも基本に置いていただきたい」という言葉を踏まえ選考されている。

『寝ても覚めても』
9月1日(土)より公開中
監督:濱口竜介
原作:柴崎友香「寝ても覚めても」(河出書房新社刊)
音楽:tofubeats
主題歌:tofubeats「River」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知 仲本工事 田中美佐子
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス

【ストーリー】 東京。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先の会社で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に戸惑いながらも朝子は惹かれていき、ふたりは仲を深めていく。しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦(バク)に顔がそっくりだったのだー。

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