1967年の第1作から50年以上のキャリアを持ち、アメリカを代表するドキュメンタリー監督として世界中から尊敬されている巨匠フレデリック・ワイズマンの記念すべき第40作となる映画『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』が10月中旬より公開となる。このほど、本作の予告編がお披露目となった。
今回、ワイズマンが描いたのは、米ニューヨーク、クイーンズにある町、ジャクソンハイツ。本作は、世界中からやってきた移民とその子孫が暮らし、167もの言語が話され、マイノリティが集まり、エスニックな味と多様な音楽があふれるジャクソンハイツから、ニューヨークとは?アメリカとは?という問いかけも見えてくるワイズマン流“町ドキュメンタリー”。第28回東京国際映画祭でも上映され、好評を博した。
予告編では、ジャクソンハイツの魅力を、町のあちこちから聴こえるラテン音楽とともに垣間見ることができる。ストリートで演奏しているのは、ラテン・グラミーを受賞したこともある女性マリアッチ・バンドのフロール・デ・トロアチェ。クラブで熱唱しているのはニューヨークで人気のあるコロンビア人女性シンガーのルシア・プリード。しかし、町のカラフルな部分だけでなく、再開発により古くからの住民が立ち退きを迫られている事案や、IDを持つことができずに貧困にあえぐ住民たちといった様々な問題も捉えており、歴史的に自由と多様性を認めて発展してきたニューヨークの象徴的な町が、アイデンティティの危機にあることが描かれている。
また、本作の公開に先立ち、フレデリック・ワイズマン監督特集が渋谷シアター・イメージフォーラムにて9月1日から14日まで行われる。1930年生まれで現在88歳となり、アメリカを様々な角度から見つめ続けてきたワイズマン監督。特集上映では、その真骨頂とも言える40作目の本作の公開前に鑑賞するのにふさわしく、ニューヨークのセントラル・パークに集う人々を写した『セントラル・パーク』、シカゴ郊外の公共住宅に住む貧しい黒人たちの日常を記録した『パブリック・ハウジング』など、全12作品が上映される。
『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』
10月中旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・録音・編集・製作:フレデリック・ワイズマン
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
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