コンテンポラリーダンスを通して一人の女性が成長していく姿を描き、2017年「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」のオープニングを飾った映画『ANIMAを撃て!』が3月31日より公開となる。本作の公開に先立ち、3月15日に神楽座にて完成披露試写会が行われ、主演の服部彩加、小柳友、監督・脚本の堀江貴大、さらに特別ゲストとして、本作のテーマであるコンテンポラリーダンスのつながりで、ダンスカンパニーのコンドルズから、オクダサトシ、山本光二郎が登壇した。
本作は、映画祭実行委員会が主体となって若手映像クリエイターの発掘・育成を目的に長編映画を製作する企画の第3弾として誕生。監督は、東京藝術大学大学院の修了制作作品『いたくても いたくても』が、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016」にノミネートされ、これが初の商業用映画監督デビュー作となる新鋭・堀江貴大。コンテンポラリーダンスを通して本当の自分を見つける主人公の果穂を新人女優の服部彩加、そしてドラムを通じて果穂と交流を深める伊藤を、映画『トウキョウソナタ』で高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞した小柳友が演じる。さらに中村映里子、黒澤はるか、藤堂海、大鶴義丹ら演技派俳優陣の共演も実現した。
完成披露試写会では、服部は「撮影して1年近く経ちあっという間だという気持ちと、いよいよ公開というスタートとなるので、ワクワクな気持ちでいっぱいです」と初主演作品の公開が間近であることへ期待を膨らませた。そして「実は出演オファーが来た時、マネージャーに『コンテンポラリーダンスができますか?』と聞かれました。私はクラシックバレエ、新体操、競技ダンスの経験があるので、コンテンポラリーも出来ると思い『できます』と答えてしまいました。しかし、コンテンポラリーダンスは全く別物でした。クラシックバレエは重心が上なのですが、コンテンポラリーは力強さ、エネルギー、パッションで動いていく。形が決まっていないため、何でもいいことは非常に難しいことで、苦労しました」とオファー時の秘話や撮影の苦労を明かした。
続けて小柳は、「僕の役どころは、元々ドラムをやっていた公務員です。デビューから今まで20本ほど映画に出演していますが、公務員役は初でした。本作のために自分も5年ぶりくらいにドラムを叩きました。元ドラマーという役の伊藤が、ドラムに触れていく中で徐々にどのように人間が進化していくのかを大切にして演じました。一度は夢を諦めても、また新しい夢の向き合い方を描ければいいなあと思いながら、役に向き合いました。この映画をみて、夢との付き合い方はいろんな形があるということを、色んな方に観ていただきたいです」と話した。
堀江監督は、「映画祭のオープニングとして1回上映して以来、本日お越しいただいている皆さんが最初のお客さんになります。観ていただいて初めて映画は完成するので、どんな感想になるのかドキドキしています。コンテンポラリーの面白さを伝えたいという想いが、この映画を作るきっかけとなりました。ダンスとドラムでコミュニケーションを取り合っている瞬間を楽しんで頂きたいです」と本作への想いを語った。
そして特別ゲストとして、世界30ヶ国以上で公演し、第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞、第67回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した近藤良平が主宰するダンスカンパニー・コンドルズのオクダサトシと山本光二郎が学ラン姿で登場。開口一番にオクダは、「世界で一番体重のあるダンサー(自称)です」と挨拶し、会場の爆笑を誘った。山本は、「“コンドルズ”は今年で結成22年になります。学ランでコント・ダンス・人形劇・演劇・映像をつくり、世界中でステージを踏んでいます。クラシックバレエは、綺麗な型を目指すのですが、型を崩すのがコンテンポラリーダンスです。“何でもあり!”とも言えます。例えば、観客の中に赤ん坊がいてその子が泣いたとしたら、泣き声さえも舞台の一つになると考えています」とコンテンポラリーダンスについて説明した。映画を一足先に観たオクダは、「主役二人の会話の言葉がすごく綺麗で、今時の人ではないような品のいい美しい言葉のやりとりが非常に好きです。ダンスシーンは、プロからみても充分素晴らしいと思いました。型通り踊るヒロインが、自我に目覚めて自由な表現を目指してく。これこそがまさにコンテンポラリーダンスの根幹、発祥なので非常に良かったです。権威が確立している世界ではなく、ゼロから作りあげていくコンテンポラリーダンスを描いたこの映画が、ダンスをはじめる人や見る人に何かしら影響を与えてくれればと思います」と、映画への期待を願った。
最後に服部が「ドラムとコンテンポラリーのセッションは勿論のこと、作品中にちりばめられたダンスシーンが沢山ありますので、そちらも見どころです!」と作品アピールをし、舞台挨拶は終了した。
『ANIMAを撃て!』
3月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:堀江貴大
出演:服部彩加 小柳友 黒澤はるか 藤堂海 中村映里子 大鶴義丹
配給:アティカス
【ストーリー】 クラシックバレエカンパニー「BAN」に所属し、ダンサーとしての将来を嘱望されている果穂(服部彩加)は、留学支援のための試験に挑むものの、クラシックなダンスを踊る自分に違和感を抱いていた。「BAN」の主宰兼振付家の伴(大鶴義丹)にその気持ちを指摘されてしまった果穂は、ホールの倉庫から聞こえてくるリズミカルなドラムの音色に誘われる。その音の主は、ホール職員で元ドラマーの伊藤(小柳友)だった。伊藤は一次試験直前に倉庫の中でトウシューズを脱いで思いのままに踊る果穂の姿を目撃し、音楽への情熱を取り戻していた。ドラムを叩く伊藤の前で、ありのままの自分を表現したダンスを踊る果穂は、最終選考の自由演目を伊藤のドラム演奏で、クラシックバレエではなくコンテンポラリーダンスで挑むことを決意する。その方向転換に反対する伴やライバルダンサーの萌香(黒澤はるか)、その決断を後押しする果穂の姉・由美子(中村映里子)。果穂は迷いを断ち切るために「BAN」を退団し、伊藤と二人三脚で最終選考に臨もうとする。
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