妻夫木聡が主演を務める「連続ドラマW イノセント・デイズ」が3月18日よりWOWOWにて放送開始となる。それに先立ち、本作の第1話の完成披露試写会と舞台挨拶が3月12日に東京・丸の内の丸ビルホールで行われ、出演の妻夫木聡、竹内結子、新井浩文、芳根京子、石川慶監督、原作者の早見和真が登壇した。
本作は、元交際相手のアパートに火を放ち、妻子を死なせたとして死刑が確定した田中幸乃(竹内結子)の無罪を信じる幼なじみの佐々木慎一(妻夫木聡)らが真実を求めて奔走する姿を描く。原作は、妻夫木主演で2014年に映画化された「ぼくたちの家族」などで知られる早見のヒューマンミステリーで、企画は妻夫木が早見に「僕に原作を預けてくれませんか」と直接電話したことからスタート。イベントでは、妻夫木が「ついにできた。始まるんだなという気持ちです。うれしい」と第一声。「本当に形になったんだな。もちろん、願っていたから電話をしたわけですけども、夢みたいで実感できない」と完成の嬉しさを伝えた。「本を読んだ時に、すごく面白いなと思ったんですけども、(先に)映画の企画が動いていて、頓挫したと聞きました。僕はドラマでじっくりやったほうがいいと思ったので、すぐに電話しました。ハイエナみたいに横取りした感じですかね」と妻夫木が吐露すると、早見も「妻夫木さんから電話こないかなと思っていました」と言うと、会場からは笑いも。ドラマ化にあたって、妻夫木は主演映画『愚行録』でタッグを組んだ石川監督を指名し、「石川さんの繊細な演出であれば、さらに(原作が)深みを増すんじゃないかと思った。生きていること自体、何だろう。そういう概念を描いてくれるんじゃないか」とコメント。ドラマ初挑戦の石川監督は「クランクイン前に話をさせていただいた時に、(妻夫木は)ドラマとか映画とかこだわらずに、僕のやり方で、と言ってくれた。1話より2話、2話より3話と、面白くなってきている。これがドラマのいいところかなと思っています」と手応えを口にした。
ヒロイン、幸乃役の竹内は「幸乃の印象がどんどん変わっていくんです。私も幸乃の気持ちが分からないことがあった。自分が黙って(死刑執行を)迎えれば、全て収まる。それが使命のように思っていたんですけども、独房で手紙が届く中、心が揺さぶられていく。生に対する執着があるんじゃないかと思った。妻夫木さんがハイエナのように企画を取ってきてくれたので、この場に立てた。ありがとう」と感謝した。一方、妻夫木は「竹内さんが出てくれると聞いた時はうれしかった。『勝ったな』という気持ちで、どこか完成したような心の持ちようでした。尊敬しています」と言うと、竹内は「終わってから、プレッシャーをかけるのはやめてね」と笑って返答。さらに妻夫木は「幸乃とは、心で通じ合えている。そういうところでも助けられました」と褒め称えると、竹内は「最上級の褒め言葉だけども、撮影前に言われたら、最上級のプレッシャーだよ」と笑って答え、20代のはじめから共演してきた実力派の2人は息ピッタリのところを見せていた。
同じく幸乃の幼なじみで、弁護士の丹下翔役の新井は、妻夫木との共演が俳優の中でも最多数を達成。「ついに塩見三省さんを抜いて10本目です。ブッキーとは仲いい役でも悪い役でも関係ない、ひたすらやりやすい。で、現場が楽しい。いつもそうなんですけども、台本、監督ありきで役を選んでいる。今回も、石川さんの言う通りにやった。それで、いいと思ったのなら、石川さんのおかげ。悪いと思ったなら、石川さんのせいです。石川さんは、久しぶりに演出を細かくできる監督でした」と冗談を交えながらも、手応えを感じているようだった。
幸乃を監視しながら、職務と私人としての気持ちで揺れる新米刑務官・佐渡山瞳を演じた芳根京子は「豪華キャストで緊張しました。終わってホッとしたんですけども、また(舞台に立って)緊張しています」と初々しくあいさつ。「監督からは、『瞳という役は、ドラマの世界観と視聴者をつなぐ役』と言われたので、フラットな気持ちでいないといけないと思って役に臨みました」とコメントし、撮影現場については「ものすごく緊張して、一日中、緊張で胃が痛かったです」と振り返った。竹内は「(芳根の)第一印象は、真面目な人。『緊張するの?』と言ったら、語尾が小さくなった。やさしくしなきゃと思った」と明かし、芳根が「日々、救われました。本当に優しくて、(今も)泣きそうなんです」と言うと、竹内は「やめて、泣かないで。今、泣いたら、私のせいになってしまうから(笑)」と懇願していた。
原作者の早見は「1話が良すぎて、2話まで一気に観ました。妻夫木さん、監督に『すごいのを観た!』とメッセージを送ったくらい。むしろ、みなさんの感想を聞きたいです」と大絶賛。一方、妻夫木は「どの作品もそうなんですけども、反省点ばかりが目についてしまうんです。ネガティブな言葉を返信したら、(早見からは)『(そういう言葉は)もうやめません?』と言われました(笑)」と明かした。
最後に、妻夫木は「キャスト、スタッフひとりひとりが心を込めて、続きを楽しみにしていた、昔のような連続ドラマを見たいという気持ちで作りました。ひとりひとりの登場人物の輪郭が次第にはっきりして、“生きることはなにか”という深いところを考えてもらえるドラマになっています。10人くらいに『面白いらしい』と宣伝してください」と観客に力を込めてアピールしていた。
「連続ドラマW イノセント・デイズ」
3月18日(日) WOWOWプライムにて放送スタート
毎週日曜よる10時~(全6話) 第1話無料放送
監督:石川慶
原作:早見和真「イノセント・デイズ」(新潮文庫刊)
企画:妻夫木聡 井上衛 鈴木俊明
出演:妻夫木聡 竹内結子 新井浩文 芳根京子 ともさかりえ 長谷川京子 池内博之 山中崇 芦名星 佐津川愛美 清原果耶 田口浩正 原日出子 石橋蓮司 余貴美子
【ストーリー】 「被告人を死刑に処す」。佐々木慎一(妻夫木聡)は、幼なじみの田中幸乃(竹内結子)が、元交際相手の住むアパートに火を放ち彼の妻子を焼死させたとして死刑判決を受ける姿を法廷で見つめていた。幼少期の幸乃を知り、そしてある負い目を持つ慎一は、彼女が真犯人ではないと直感。幸乃を救いたい一心で、味方を探して幸乃の姉や中学校時代の同級生など彼女の人生を知る様々な人々に会いに行くが、先々でその壮絶な過去を聞かされることになる。そしてともに幸乃の幼なじみで弁護士の丹下翔(新井浩文)と再会するも次第に意見が合わなくなっていく。一方で近づいてくる死刑の時を淡々と待つ幸乃。刑務官の佐渡山瞳(芳根京子)は、その姿になぜか惹かれ始めていた。