藤原紀香、東日本大震災から7年の心境を吐露 ドキュメンタリー映画『一陽来復 Life Goes On』公開記念舞台挨拶 レポート

東日本大震災から6年後、東北の各地で生まれる小さな希望と幸せを美しい映像で描くドキュメンタリー映画『一陽来復 Life Goes On』が3月3日より公開中。本作の公開を記念し、3月4日にヒューマントラストシネマ有楽町にて舞台挨拶が行われ、ナレーションを担当した藤原紀香と尹美亜監督が登壇した。

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イベントにて、阪神淡路大震災経験者で、東北復興支援のために現地に足しげく通っているという藤原は「ナレーションを読んでいると、涙声になってしまったり、胸が詰まってしまったり。自分で聞いていても感情が入り過ぎたと思うところもあった」と、深く知っているが故の苦労を振り返り「客観的でありながらも、東北の方に思いを寄せているという気持を伝えることに苦心した」とナレーションに込めた気持ちを吐露した。

藤原を起用したことへの反響について、尹監督は「撮影先の方々で藤原紀香さんが決まったことを伝えると、『紀香ちゃん避難所に来てくれたんだよ!』とすごく喜んでくれた」と報告し、改めて「藤原さんは報道に出ないところで、きちんと足で動いてくれる人。ナレーションを務めてくれたことは、作品にとってとてもありがたかった」と、藤原のオファー快諾に感謝した。

宮城県出身の声優である山寺宏一も同じくナレーションを担当しているが、尹監督は担当パートの割り振りについて「しっかりした情報の部分は山寺さんが、やさしく母性を感じさせるような部分は藤原さん中心にした」としながらも、ブドウ畑のシーンでは「たった2行程度のナレーション文だったけれど、どちらの声がいいのか迷った。最終的にそこだけは2人に読んでもらって、全部をつなげた状態で比べた際に、女性の柔らかさのある藤原さんの声を選んだ」と製作の裏側を明かした。

本作を通して被災地への思いを新たにしたという藤原は「震災を風化させないという思いで被災地の方が続けている“語り部バス”を思い出しました。心は被災地に寄せながらも、実際に現地を訪れていない人はたくさんいる。私はそんな方々を語り部バスに乗せたいと思っているので、自分でツアーを組んで行こうかと考えています」と語った。

東日本大震災から今年で7年。最後に藤原は「今回の映画に参加できて嬉しいし、改めて自分でどんなことができるのかを考えました。中には東北に思いを寄せていても色々な事情で現地に足を運べない状況にある方もいると思います。今回のような優れたドキュメンタリー作品が、そんな人々と東北との心の距離を埋めてくれます。だからこそ、一人でも多くの方にこの作品を観ていただきたいです」と、本作に込められたテーマを代弁するかのようにアピールした。

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『一陽来復 Life Goes On』
3月3日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町他、公開中
監督:尹美亜
ナレーション:藤原紀香 山寺宏一
配給:平成プロジェクト

【ストーリー】 季節は移り、景色も変わる。人々の暮らしも変わった。3人の子どもを失った場所に、地域の人々のための集会スペースを作った夫婦。津波によって海の豊かさを再認識し、以前とは異なる養殖方法を始めた漁師。震災を風化させないために、語り部となるホテルマン。写真の中で生き続けるパパと、そろばんが大好きな5歳の少女。全村避難の指示が出された後も留まり、田んぼを耕し続けた農家。電力会社との対話をあきらめない商工会会長。被曝した牛の世話を続ける牛飼い—。6年間の日常の積み重ねから発せられる言葉と、明日に向けられたそれぞれの笑顔。カメラは「復興」という一言では括ることのできない、一人ひとりの確かな歩みに寄り添う。

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