北原里英、過酷なロケで“女優覚醒”『サニー/32』公開初日舞台挨拶レポート

キャプテンを務めるNGT48、並びにAKB48グループからの卒業を春に控えた北原里英が女優業を本格始動する映画『サニー/32』が2月17日に公開初日を迎え、新宿バルト9で行われた舞台挨拶に、主演の北原里英、ピエール瀧、リリー・フランキー、門脇麦、白石和彌監督が登壇した。

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上映終了後、興奮冷めやらぬ場内に盛大な拍手と歓声で迎えられ北原らキャスト陣と、白石監督。24歳の誕生日に突然拉致され、事件にまきこまれていく主人公・藤井赤理(ふじい・あかり)を演じた北原は「この話が生まれてから3年半かかった分だけ愛情がある作品。ようやく初日を迎えてうれしい反面、さびしい気持ち」と公開初日の素直な気持ちを語れば、白石監督も「大切な作品であり、渾身の一本!」と本作への溢れる気持ちを口にした。一方で、赤理を誘拐し<史上最もかわいい殺人犯>とネットで神格化された<サニー>の熱狂的信者・柏原(かしわばら)を演じたピエール瀧は「(鑑賞後の観客の)みなさんの頭に“?”がついているのが心地いい」と笑顔で語れば、二人目のサニーとして登場し物語を急展開させるキャラクターを演じた門脇麦は「撮影は短い日数だったのですが濃い時間を過ごせた」と述懐した。一方で、柏原とともに赤理を誘拐する小田(おだ)を演じたリリー・フランキーは、劇中、ピエール瀧が北原の顔を舐めたり殴ったりするシーンがあり、そのシーンに際して瀧から「どっちがファンに嫌われますかね?」と相談を受け、「どっちもじゃない!?」と答えたエピソードを披露し場内を笑わせた。

国民的アイドルの拉致・監禁から始まる本作を最初に観覧した際、「何かねじ込まれた感がある映画」と語ったピエール瀧と、「ネットの中にいる“アイドル”という偶像であったものを妄想して、それを実現させるとこのくらい間抜けになる。そこがリアル」と作品の感想を述べたリリー・フランキーの“凶悪”コンビ。さらに昨年2月の新潟・長岡で行われた過酷な環境下での撮影を振り返り、極寒の地でピンクのアイドル衣装で雪道を駆け抜けた北原をねぎらうと、「僕らは何枚も着込んでも乳首がたっていたのに」とリリー・フランキーが言えば、「逆に、あんな衣装をもってくるあの二人(柏原&小田)のセンス、ヤバいよね(笑)」とピエール瀧。ふたりの軽快なトークに壇上の北原らと観客からは終始笑いが起こっていた。そんな過酷な環境下での撮影を振り返った北原は拉致・監禁から逆転する“キタコレ”シーンについて触れると「まる1日をかけたので体力も精神力も使いました。普段は人に罵声を張ることはないが途中から楽しく気持ちよくなっていました」と女優としての“覚醒”を笑顔で語った。

話は先週の新潟・長岡での先行公開に及ぶと、すでに鑑賞した地元の方から「知っている景色が多いことがうれしい」と反応をもらったことや、新潟県庁を訪問した際にも県知事から喜んでもらえたと語った北原。白石監督も「観ていただいた方々から最高といっていただいた」と作品への手ごたえを感じたそう。そんな嬉しそうに語る白石監督に対して、「監督はカーリングの審判やった直後に平昌から駆け付けたんですよ」と開催中の平昌オリンピックに絡めたリリーの愛のあるイジリにタジタジになる場面も。

イベントの最後に白石監督は「ずっとやりたい企画が形になって(脚本家の)髙橋泉さんと一緒に作品に込めた想いを藤井赤理という人物、それを演じた北原さんに託せてよかった」と語れば、門脇も「完成を観て(北原)里英ちゃんが美しくて、すごく気持ちが持ってかれた」と称賛。ピエール瀧やリリー・フランキーも現場での北原の振る舞いに引っ張ってもらったと、座長・北原里英を絶賛する場面も。そんな言葉を受けて、北原は謙遜しながらも「現代の様々な問題が詰め込まれている作品。深いメッセ―ジや白石監督が作るアイドル映画をぜひ楽しんでほしい」と観客に呼びかけイベントは幕を閉じた。

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『サニー/32』
2月9日(金) 新潟・長岡で先行公開中
2月17日(土) 全国公開中
監督:白石和彌
脚本:髙橋泉
出演:北原里英 ピエール瀧 門脇麦 リリー・フランキー 駿河太郎 音尾琢真 山崎銀之丞 カトウシンスケ 奥村佳恵 大津尋葵 加部亜門 松永拓野 蔵下穂波 蒼波純
配給:日活

【ストーリー】 冬の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁。柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。“サニー”とは、世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称。そのいたいけなルックスゆえに「犯罪史上、最もかわいい殺人犯」とネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。この“サニー事件”から14年目の夜、二人の男によって拉致監禁された赤理。赤理は正気を失っていきながらも、陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みるが、それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった―。

Ⓒ2018『サニー/32』製作委員会