フォーチュン誌によって、世界で初めての億万長者に認定された石油王ジャン・ポール・ゲティ。1973年に発生し、1700 万ドルの身代金を要求された彼の孫の誘拐事件を、『オデッセイ』、『グラディエーター』、『エイリアン』の巨匠リドリー・スコット監督が映画化した『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』(原題)が、2018年初夏に日本公開となる。本作の全米公開を前に、現地時間の12月18日、米ロサンゼルスのサミュエル・ゴールドウィン・シアターにて、リドリー・ スコット監督をはじめ、主演のミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグら主要キャスト陣が集結し、ワールドプレミアが実施された。
本作は、ハリウッドの大プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインへのセクハラ告発に端を発した一連の騒動から派生し、12月22日の全米公開を目前に、30年以上前の共演者アンソニー・ラップへのセクハラ行為が原因でジャン・ポール・ゲティ役のケヴィン・スペイシーの降板が決定。お蔵入りすらささやかれたが、急きょ代役にオスカー俳優のクリストファー・プラマーを立て、短期間での再撮影を敢行し、予定通り全米公開することにこぎ着けた。
プレミア上映前、主演のミシェル・ウィリアムズ、監督のリドリー・スコット、マーク・ウォールバーグ、チャーリー・プラマー、そしてケヴィン・スペイシーの代役を務めたクリストファー・プラマーらがカーペットに登場した。再撮影について聞かれたスコット監督は「即決した。いい流れが来ていたので留まりたくなかった」と、強い意志を持って本作を完成させたと述べた。誘拐されたポールの母、ゲイル役を演じたウィリアムズはブラックカーペットに映えるルイ・ヴィトンの真紅のドレスで登場。スコット監督に対して「一緒に仕事ができることに最大の魅力を感じ、イエスと即答した」と語り、スコット監督の求心力の強さをアピールした。交渉人のフレッチャー・チェイス役のウォールバーグは、自身が演じた役柄に対して「何よりもリドリーの作品であることが重要だった」と、こちらもまたスコット監督が作る作品へ出演できた喜びを熱く語った。そして、急きょとなる代役で大富豪・ゲティを見事に演じきったプラマーはゴールデン・グローブ賞へのノミネートに対して「撮影した直後だったので少し驚いたが、嬉しいよ」と笑顔で喜びのコメント。また、ジャン・ポール・ゲティという役について「単純に白、黒ではなく、様々な色を持った役。演じるのは非常に面白いことだと思った」と語った。
その後、監督およびキャストは本作の完成に期待を寄せる1000人以上ものファンで熱気に包まれたプレミア上映会場へ。会場のスクリーンには「本作に関わった800人以上のキャスト、スタッフ全員の尽力なしにこのプレミアは実現しえなかった」の文字と、本作に携わったキャスト、スタッフ等関係者全員の名前が映し出された。そのスクリーンをバックにスコット監督から謝辞が述べられ、観客からは惜しみないスタンディングオベーションが巻き起こった。
また本作は、12月11日にノミネーションが発表されたアカデミー賞の前哨戦、第75回ゴールデン・グローブ賞において、主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)、助演男優賞(クリストファー・プラマー)、監督賞(リドリー・スコット)の3部門にノミネートされた。デヴィッド・スカルパによる脚本は、2015年度のハリウッドのザ・ブラックリスト(※映画スタジオ重役が選ぶ、映画化前の優秀脚本リスト。リストに載った作品はアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞を受賞することが多いことで有名)に選ばれたものだ。
リドリー・スコット監督 コメント
Q:ゴールデン・グローブ賞にノミネートされていかがですか?
スコット:素晴らしいことです。自分の作品が認められたということが何よりも最高です。
Q:再撮影はどのように決断を?
スコット:即決しました。判断に要したのは3分です。そこから再撮影をし、すでに調理してあるものと組み合わせただけです。いい流れが来ていましたので、辛いことがあってもそこで留まることはしたくなかった。
Q:この作品で体験した一番の恐怖は?
スコット:世に出せないかもしれないと思ったことです。「ごめんなさい、我々はこれ以上もうお金が掛けられません」と言うことは簡単です。下手に出し惜しみをすれば作品は死んでしまいます。しかし、なんとか乗り越えることが出来ました。
Q:我々はこの映画から何を得られるのでしょうか?
スコット:スリルな体験に驚くと思います。億万長者の男の話ではありますが、スリラーの要素もあります。私が大好きな真実に基づくスリラーで、まさに“事実は小説より奇なり”です。
ミシェル・ウィリアムズ(ゲイル・ハリス役) コメント
Q:あなたの役のどんなところに魅了されましたか?
ウィリアムズ:まず役よりもリドリーと一緒に仕事ができることに最大の魅力を感じましたし、光栄に思いました。こんな魅力的で強い母親役を演じられるなんて喜んでやりたいと思い、イエスと即答しました。簡単な決断でした。
クリストファー・プラマー(ジャン・ポール・ゲティ役) コメント
Q:脚本のどんなところに魅力を感じ、演じたいと思いましたか?
クリストファー:私が演じるゲティという人物が非常にうまく描かれていたからです。ゲティ氏はただ単純に白、黒ではなく、様々な色を持った役でした。事件が表に出て解決するまでの葛藤や謎解きもあり、演じるのは非常に面白いことだと思いました。
Q:ゴールデン・グローブでノミネートされたことについては、どう思いましたか?
クリストファー:嬉しいです。撮影した直後だったので、少しは驚きましたがね。
マーク・ウォールバーグ(フレッチャー・チェイス役) コメント
Q:様々な役を演じてきた中で、今回の役はどう思いましたか?
ウォールバーグ:何よりもリドリー・スコットの作品であることが重要だと思いました。長年彼のファンでしたから。今回やっと連絡が来て、出演できることは興奮するほど嬉しかった。ただタイミングは最悪で、夏に妻と子供達と行こうとしていた大きなプランと撮影が重なっていたのだけど、こんな機会は滅多に無いので受けることにしました。素晴らしい才能の人と働くには時々このような決断をしないといけないんです。
チャーリー・プラマー(ジョン・ポール・ゲティ三世役) コメント
Q:どのように今回の役作りの準備をしましたか?
チャーリー:出来る限りリサーチをしました。今日こうやって素晴らしいメンバーと一緒にカーペットを歩くことが出来て幸運に思っています。自分ができる精一杯の役割を果たしたと思います。
Q:大きな挑戦を乗り越えてこの作品を初披露できる今日、あなたはどれだけ誇りに思っていますか?
チャーリー:大変誇りに思っています。制作に関わった何百人のスタッフがいなければ、今日を迎えることはできませんでした。このような作品に関わることが出来て素晴らしい体験ができたことは、僕の誇りです。
『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』(原題)
2018年初夏 公開
監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ クリストファー・プラマー ロマン・デュリス チャーリー・プラマー マーク・ウォールバーグ
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 “世界中のすべての金を手にした”と言われた大富豪ジャン・ポール・ゲティ。愛する17歳の孫ポールが誘拐され1700万ドル(当時のレートで約47億円)という破格の身代金を要求されたゲティは、こともあろうかその支払いを拒否。彼は大富豪であると同時に、稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家から離れ中流家庭の人間となっていたポールの母ゲイルは、息子のために誘拐犯のみならず世界一の大富豪とも戦うことに。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫る。しかし、事件は思いもよらぬ展開へと発展していく。
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