リドリー・スコット監督が初めてコメント 自身の最新作からセクハラ騒動のケヴィン・スペイシーが降板した件について

12月22日に全米公開予定のスリラー映画『All the Money in the World オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』(原題)で、複数の男性へのセクハラが発覚したケヴィン・スペイシーの出演シーンが削除された件について、本作の監督を務めるリドリー・スコットが初めてコメントした。Entertainment Weeklyが伝えている。

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Entertainment Weekly

映画は、1973年に起きた16歳のジョン・ポール・ゲティ三世の誘拐事件を描き、スペイシーは、その祖父である実業家のJ・ポール・ゲティを演じていた。10月29日に、スペイシーがTVシリーズ『スター・トレック:ディスカバリー』に出演しているアンソニー・ラップに対し、過去にセクハラ行為をしたことが明らかになり、自身のツイッターで謝罪した。当時、スペイシーは26歳で、ラップは14歳だった。その後、複数の男性によるスペイシーのセクハラ行為の告発が相次いだ。

スコットは、このスペイシーのセクハラ騒動を受け、『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』のスペイシーの出演シーンを削除し、代役にクリストファー・プラマーを起用することを発表。また、映画の全米公開日は延期しないことも決定した。再撮影には、本作に出演するミシェル・ウィリアムズとマーク・ウォールバーグも参加した。

今回のスペイシーの件と映画の撮り直しについて、スコットはインタビューで初めてコメントした。スコットは、スペイシーは才能ある俳優であると称賛したが、再撮影という決断は揺らがなかったようだ。

スペイシーに関する報道を知ったときはどこにいたかという質問に対し、スコットは「撮影は終了していて、アビー・ロード(イギリスのレコーディング・スタジオ)で作品の音楽を仕上げていた。誰かが「おい、ちょっと聞いてくれ」と言ったのが始まりだった。私は座ってその件について考え、“(映画の公開は)できない”という結論を出した。そういった行為は許されないし、作品にも影響してしまう。一人の行為が、他の人々の優れた仕事ぶりを邪魔することは許されない。とてもシンプルなことだ」と語った。

続けて、再撮影の経緯について「誰が代役を務めるかを決め、その俳優が出演可能かということも確かめなければならない。クリストファーは常に出演候補に挙がっていたから、彼に確認するときは噂が広まらないように速やかに取り組んだ。私がニューヨークに行って彼に会うと、彼は出演を承諾してくれた。すると次は再撮影のために全キャストが出演できるかを調べなければならなくなる。奇跡的に彼らは出演可能だった。再撮影すると決断したら、直接キャストにではなくエージェントにすぐに連絡しなければならない。(再撮影の件はもちろん)いろいろとやらなければいけないことを伝えるためにね。ゴシップのせいだなんて言わないし、この決断はもちろんもっと重要な意味があった」とスコットは説明している。

再撮影が決定した当初の製作会社の反応を聞かれると、「彼らは“無理だろう。神のご加護がありますように”という感じだったよ」とスコットは笑って答えている。

『All the Money in the World オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』は12月22日に全米で公開予定だ。