福井県の5つの街を1年かけて巡りながら撮影された、片山享監督の最新作『時のおと』が、2026年1月31日(土)よりポレポレ東中野にて公開される。デビュー作『轟音』で国内外の映画祭から注目を浴び、その後も“嘘のない人物描写”を貫いてきた片山監督が、方言と街に流れる“音”を軸に、人が生きる場所と時間を描き出す。

本作は、福井県に暮らす人々の生活をまっすぐに見つめ、「その街にしかない音」を通して、そこに流れる時間と人の営みを重層的に描く。
女子高生は演劇部として最後の夏に向き合う。変わりゆく時間の中で、決して戻らない季節の音が彼女を包む。街の音に憧れた女性は、時を止めようと足掻く。どこかへ流れ去っていく“今”を抱きしめたいという切実さがにじむ。漁師はやがて訪れる世代交代に向き合う。海とともに生きてきた男の耳に響くのは、波の音と、受け継がれていく営みの音。移住してきた男性は、春を待つ野菜を静かに育てる。雪深い土地で、土と対話するように響くその音は、街に溶け込むための小さな鼓動だ。これらの物語をつなぐのは、日常の中で奏でられる生活の音。方言、風、雪を踏む足音、祭りの太鼓──その街の息づかいが観客の記憶と重なり、「まるでそこに住んでいるかのような感覚」を呼び起こす。
解禁されたポスタービジュアルは、満開の桜並木を歩く男性を切り取り、“止められない時が一瞬だけ止まったような”奇跡の光景を予感させる。
予告編では、石畳が美しい小浜市「三丁町」、圧巻の桜並木が広がる勝山市「弁天桜」など、福井の景観が静かに映し出される。一方で、雪深い中での「勝山水菜」の収穫、春を呼ぶ奇祭「勝山左義長」の勇ましい太鼓の稽古など、力強い生活の音が響き、映画のテーマである“街の音”への没入感を一層深める。生活と風景が織り成す“映像詩”は、静謐でありながら確かな鼓動を持ち、観る者の心にそっと触れてくる。
片山監督は本作について、「方言を考えるうちに、方言も音なんだと気づいた。そしてその音が、その街をその街にしているのだと思った」と語る。誰かの生活音が積み重なって街を形作り、その音が観客の記憶と重なる──その瞬間に“見知らぬ街が少し愛おしくなる”。そんな体験を目指した作品であることが、静かで温かい言葉から伝わってくる。
▼予告編
■作品情報
タイトル:『時のおと』
公開日:2026年1月31日(土)/ポレポレ東中野
出演:上のしおり、葵うたの、笹木奈美、窪瀬環、千馬龍平、柳谷一成、もも、千馬和弘、三嘴武志、津田寛治
監督・撮影・編集:片山享
脚本:片山享、Kako Annika Esashi
プロデューサー:宮田耕輔、植山英美
録音:杉本崇志、坂元就/整音:杉本崇志
カラリスト:田巻源太
スチール:坂本義和
制作プロダクション:ハナ映像社
製作:ふくいまちなかムービープロジェクト
海外セールス:ARTicle Films
協力:福井市、小浜市、南越前町、鯖江市、勝山市 ほか
©ふくいまちなかムービープロジェクト

