宮沢りえ「蜷川監督と同じ時間を過ごせたことは私の宝物」、蜷川実花監督「りえちゃんに一生ついて行きます!」

太宰治による最高傑作の誕生秘話を映画化する『人間失格 太宰治と3人の女たち』が、9月13日より公開中。このほど、9月23日に新宿ピカデリーにて舞台挨拶が行われ、キャストの宮沢りえと蜷川実花監督が登壇した。

本作の舞台挨拶へ今回が初参加となった宮沢は「公開初日から蜷川監督のInstagramをマメにチェックして、皆さんの感想を読んだりしていました」と本作を気にかけていたことを明かし、蜷川監督は「この舞台挨拶も、りえちゃんの発案で決まったもの」と開催経緯を説明。蜷川監督とは故・蜷川幸雄を通じて元々知り合いだったという宮沢だが、タッグを組むのは初。「台本を読んだときにハードルの高い場面だと思ったシーンがあります。でも蜷川監督はサラッと『やってみよう』という感じで…。とてつもなく高いハードルを軽々と超えようとするパワーが私たちの背中を押してくれた。子役とのライブ感ある現場も刺激的だったし、雰囲気も素敵でした」と回想した。

宮沢の出演は蜷川監督自らのラブコールで実現したものだが、宮沢は「蜷川監督からは『いつか何かをやりましょう』と言われていたので楽しみにしていました。作品が決まったときは嬉しい気持ちの反面、今まで温めてきた関係を大切にしたいからこそ、絶対にガッカリさせたくないという思いが強かった」と真剣勝負を意識。それは蜷川監督も同じで「中途半端な役でお願いをしたくはないし、出演してもらえるならば絶対に成功させなければという思いがありました」とオファーの際の心境を吐露。さらに蜷川監督は「近いうちに主演としてご一緒できたら…というのが今も頭の片隅にある」と再ラブコールを送ると、宮沢は「今言った作品が形になったら、絶対に観に来てくださいね!」と茶目っ気たっぷりに客席に呼びかけた。

太宰の刹那的な生き方について宮沢は「クリエイティブな仕事をしている方たちは、太宰のように人間としては成立していないけれど、表現者としては最高だというような人が多い」と分析し、正妻・美知子には「自分の生活を壊してでも作品を作ってほしいというのは、太宰にとって一番の理解者であり太宰の一番のファンだったはず。辛かっただろうけれど、作品を愛し続けられた時間は幸せだったのかも。夫婦という枠を超えて、人間同士の強いつながりがあったと思う」と理解。ただ宮沢自身は「私は家庭も守って、仕事でも攻めまくるのが理想。なかなか難しいですけれど、それを理想としています」と人としてのバランス感覚を大切にしていることを明かした。

続いて宮沢が、天才作家・太宰治を演じた小栗旬について「美知子に『壊しなさい』と言われた後の太宰さんの顔は、今まで見たことのない小栗旬さんで、一番好きな表情でした。自分が褒められるよりも、相手役の表情が素敵だったのが嬉しい。それが一番の喜び」と健闘を称えると、蜷川監督は「それはりえちゃんに引き出された顔です。もはや芝居を超えていました。小栗旬さんは、その頃には太宰に成り切っていて、本物の瞬間が何度もあった」と宮沢の引力を称賛した。

最後に宮沢は「蜷川監督と同じ時間を過ごせたことは、私の宝物。素晴らしい作品が完成したので、たくさんの人に観てほしい。記録も大切ですが、多くのみなさんの記憶に刻まれるような作品になりました」と本作をアピール。蜷川監督は宮沢について「男気?女気?があってカッコよくて大好きで、常に尊敬しています!一生ついて行きます!」とリスペクトの念を込めて「一緒に作品ができて嬉しかった」と初タッグに喜色満面だった。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』
9月13日(金)より全国公開中
監督:蜷川実花
出演:小栗旬 宮沢りえ 沢尻エリカ 二階堂ふみ 成田凌 千葉雄大 瀬戸康史 高良健吾 藤原竜也
配給:松竹 アスミック・エース

【ストーリー】 天才作家、太宰治(小栗旬)。身重の妻・美知子(宮沢りえ)と二人の子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す。その破天荒な生き方で文壇から疎まれているが、ベストセラーを連発して時のスターとなっていた。太宰は、作家志望の静子(沢尻エリカ)の文才に惚れこんで激しく愛し合い、同時に未亡人の富栄(二階堂ふみ)にも救いを求めていく。二人の愛人に子どもがほしいと言われるイカれた日々の中で、それでも夫の才能を信じる美知子に叱咤され、遂に自分にしか書けない「人間に失格した男」の物語に取りかかるのだが…。

© 2019 『人間失格』製作委員会