広瀬すず「二階堂さんの力強くて潔い目が印象的」『遠い山なみの光』完成披露舞台挨拶レポート

第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作『遠い山なみの光』(9月5日全国公開)の完成披露舞台挨拶が8月7日、都内で開催されました。主演の広瀬すずをはじめ、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和、石川慶監督が登壇し、満員の観客を前に撮影秘話やカンヌでのエピソードを語りました。

戦後の長崎で生きる主人公・悦子を演じた広瀬は、「ぜひ楽しんでいただきたいな、どう伝わるのかなと、本日を楽しみにしていました」と笑顔で挨拶。完成作を観た感想については、「言葉がスッとは出てこなくて、だんだん紐が緩んでいくような感覚。でも急にキュッと絞られる時もあって…。特に登場する女性たちの顔が重なって見えてくる不思議な感覚がありました。本編を観ていただければ、ずっしりと受け取るものがあるはずです」と語りました。

悦子が長崎で出会う佐知子役の二階堂は、「原爆や戦争体験者の方々が戦後どのように生きたのか、その当事者意識を大切に演じました」とコメント。広瀬は「二階堂さんの力強くて潔い目が印象的で、佐知子という人物を通して強さを感じました」と語り、二階堂も「広瀬さんにはしなやかさと静かな強さがあり、座長として頼れる存在でした」と互いに敬意を示しました。

広瀬は10年前の初カンヌを「ただ海外に行けることが嬉しかっただけで、当時の自分を殴ってやりたいくらい贅沢な経験でした」と回想。松下はカンヌ上映時のスタンディングオベーションで「泣きそうになったけれど共演者の凛々しい顔を見て堪えました」と明かし、会場を和ませました。

さらに、広瀬が松下のネクタイを結ぶシーンで「本番だけ幼稚園生くらいの短さになってしまって…」と失敗談を披露。松下は「常に落ち着いている広瀬さんが結べないなんて意外」と笑顔で応え、三浦は「その距離感が芝居にも活きた」と評しました。

石川監督は原作者イシグロ氏から「原作に忖度せず、あなたの映画を作りなさい」と言われたことが印象的だったと語り、「昨日は広島原爆の日、明後日は長崎原爆の日。そんな時期にこの作品を届けられることは感慨深いです」と締めくくりました。

最後に広瀬は「人の幸せ、平和を願うこと、人それぞれ見ている方向は違いますが、その中でも強く生きた女性たちの姿を大きなスクリーンで観て楽しんでいただければ」と観客へ呼びかけました。

■映画情報
タイトル:『遠い山なみの光』
原作:カズオ・イシグロ(小野寺健訳/ハヤカワ文庫)
監督・脚本・編集:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平/三浦友和
配給:ギャガ
公開日:2025年9月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
上映時間:123分

©2025 A Pale View of Hills Film Partners