2025年7月27日に閉館を迎える老舗映画館「丸の内TOEI」。そのフィナーレを飾る特別プロジェクト「さよなら 丸の内TOEI」の一環として、6月21日(土)、伝説の刑事アクション『あぶない刑事』(1987)の特別上映と舞台挨拶イベントが開催された。
スクリーン①に集まった満員の観客の前に登場したのは、不朽の名コンビ――舘ひろしと柴田恭兵。劇中さながらのスーツ姿で颯爽と現れた二人に、場内は約2分間拍手が鳴り止まず、開幕から熱狂の渦に包まれた。
舞台挨拶は、過去の「あぶ刑事」イベントをまとめたオープニング映像の上映からスタート。1996年の初登壇から今日に至るまでの歴史がスクリーンに映し出されると、ファンの胸には懐かしさと感謝が込み上げた。
■「映画と、映画館と、相棒と――」タカ&ユージの想い
「50年前に東映作品『暴力教室』でデビューしました。丸の内TOEIは、自分の中で思い出深い劇場」と舘が語れば、柴田は「『あぶない刑事』は“運”でやってきた映画です。会いに来てくれてありがとう!」と笑顔で応える。
テレビシリーズからの映画化に際しての裏話も飛び出した。舘は「映画化の話を聞いたときは“めんどくさいなぁ”と思った(笑)」と率直に語る一方で、「公開初日にはチケットとパンフレットを手に石原裕次郎さんの家を訪ねて報告した」と、深い敬意をにじませた。
柴田は、劇場でお客さんの反応をこっそり観察していたエピソードを披露。「すごくウケてて、次の作品では“もっとやっていいんだ”と思えた」と振り返るその姿には、俳優としての真摯な姿勢があった。
■撮影裏話からキャラクター論まで、ここでしか聞けないエピソード満載
印象的な撮影シーンとして語られたのは、バイクからトラックへのジャンプ。舘が監督に直談判して実現したが、後日「言わなきゃよかった」と後悔したという微笑ましいオチも。また、真夏にタカ&ユージがタンゴを踊る名シーンも、彼のアイデアだったという。
「『あぶ刑事』は恭サマが作ったもの」と語る舘は、自身を「家の土台」、柴田を「建物」と表現。刑事ドラマの枠にとらわれないスタイルは、二人の信頼関係があってこそ築かれたものであることがよくわかる。
■丸の内TOEI、65年の歴史に幕を下ろす劇場への想い
ラストには、劇場への思いが語られた。舘は「とても寂しい気持ちもありますが、これからも東映の映画を愛してください」と感謝を込め、柴田は「丸の内TOEIは閉館しますが、“あぶない刑事”は永久に不滅です!」と高らかに宣言。満場の拍手と歓声の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
丸の内TOEIという日本映画界の象徴が、その長い歴史に幕を下ろす。そのラストステージに相応しい、華やかで温かいイベントだった。
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「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクト
2025年5月9日(金)~7月27日(日)開催中
公式サイト:https://marunouchi-toei-sayonara0727.jp
提供:東映株式会社