第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された、鬼才キリル・セレブレンニコフ監督の日本公開最新作『Tchaikovsky’s Wife(原題)』が、邦題『チャイコフスキーの妻』として、9月6日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。
「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などで知られるロシアの天才作曲家、ピョートル・チャイコフスキー。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかった彼は、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと、世間体から結婚する。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは、孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。
女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半の帝政ロシアを背景に、チャイコフスキーが同性愛者だったという、ロシアではタブー視されてきた事実を明確に描き、夫婦間の知られざる真実に迫る本作は、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、名だたる批評家たちの賛辞を獲得。絵画的な映像美や流麗なカメラワークなど、型破りなまでに刺激的な映像世界も話題を呼び、フランスでは17万人超を動員する大ヒットを記録した。
歴史上まれに見る悪妻という汚名を着せられたアントニーナの実像を、史実に従いながら大胆な解釈を織り交ぜて描いたのは、『LETO -レト-』『インフル病みのペトロフ家』の鬼才キリル・セレブレンニコフ。ベン・ウィショー主演の最新作『Limonov: The Ballad(原題)』が、第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、大きな反響を呼び起こすなど、今世界から最も注目される映画監督の一人だ。監督は本作の制作に当たり、「この映画の真髄は愛にあります。異なる形の愛の物語を描く映画を作りたかったのです」とコメント。チャイコフスキーに疎まれながらも想い続ける、“世紀の悪妻”アントニーナの残酷な愛のかたちとは。観る者の心をかき乱す、ラストの狂乱のダンスシーンも見逃せない。
ポスタービジュアルには、「旋律から戦慄へ――」というキャッチコピーが添えられ、チャイコフスキーと、彼に触れたいとばかりの表情を浮かべた恋焦がれるアントニーナの横顔が切り取られる。チャイコフスキーとアントニーナの間には2人の心の距離を表す黒い隔たりがあり、その闇の中に置かれたアントニーナの姿や赤黒いインクで綴られた「Wife」の文字は、彼女の狂気的な愛の不穏な行く末を予感させる。
『チャイコフスキーの妻』
2024年9月6日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:キリル・セレブレンニコフ
出演:アリョーナ・ミハイロワ オーディン・ランド・ビロン フィリップ・アヴデエフ ユリア・アウグ
配給:ミモザフィルムズ
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