西加奈子の傑作短編小説をふくだももこ監督が、うらじぬの×ファーストサマーウイカで映画化するシスターフッドムービー『炎上する君』が、8月4日より公開されることが決定した。併せて、メインビジュアルがお披露目となった。
政治家の女性蔑視発言のような明確な抑圧だけでなく、居酒屋での会話、お笑い芸人のネタ、ポケットティッシュに印字された広告、見て見ぬ振りをすることでやり過ごしてきた、しかし確実に誰かの心を抉る日々の現実。本作は、傷付き、憤り、絶望する梨田と浜中が、世にも奇っ怪な「炎上する男」を探すシスターフッドムービーとなっている。
短編『父の結婚』(2015)を脚本・監督した後、『おいしい家族』(2019)、『君が世界のはじまり』(2020)、『ずっと独身でいるつもり?』(2021)とコンスタントに作品を発表し、2016年には小説『えん』ですばる文学賞を受賞するなど、多彩な才能を発揮するふくだももこ監督が「世界中でわたしが一番撮りたいと思っている」と言い切ったのが、一度見たら忘れられない個性的な風貌と確かな演技力で映画やドラマにも多数出演するうらじぬの。
そして、うらじぬのが最も魅力的に映る物語として選ばれたのが作家・西加奈子が2010年に上梓した短編小説「炎上する君」。唯一無二の親友である梨田と浜中が、女を外見で判断する男を敵視し、知性によって安定した生活とキャリアを生きるところから始まる原作において、二人は徐々に冒険と解放を求めるようになる。そんな折に足元が燃えている「炎上する男」という不思議な存在の噂を聞きつけて…という原作の内容を、ふくだももこ監督が脚色し映画化。2022年現在にも通じる原作小説の先進性と普遍性を炙り出すシスターフッドムービーとなった。
うらじぬの演じるおかっぱ頭の梨田の親友である浜中には、ファーストサマーウイカ。バラエティ番組でブレイクし、歌手、ラジオDJなどマルチな才能で存在感を放つ彼女は、近年ではドラマや映画でも凛とした出で立ち、端正な顔立ちと張りのある声で観客に強烈な印象を残している。
本作はレプロエンタテインメントが主催する映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」でグランプリに輝いた企画として制作。映画『炎上する君』は42分の劇場版と25分の短編版があり、劇場版が8月4日より公開される。
メインビジュアルは、梨田を演じるうらじぬのと、濱中を演じるファーストサマーウイカの顔が2つで1つになった印象的なもので、梨田と浜中のバディ感が伝わる。また、「無様でも、もがいても、君はかっこいい。」というキャッチコピーとともに、失敗しても、傷だらけになっても自分達の信じる道を貫こうとする二人の表情を絆創膏でつぎはぎした、非常に象徴的でインパクトのあるビジュアルになっている。
また、短編版は6月6日から開催される「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2023(SSFF & ASIA 2023)」で、ライブアクション部門にノミネート、アジアインターナショナル&ジャパンプログラムでの上映が決定している。
SSFF & ASIA 2023は国際短編映画祭としてはアジア最大級の規模で、米国アカデミー賞の公認映画祭でもあり、グランプリ受賞作品は米国アカデミー賞のノミネート候補にもなる。
『炎上する君』
2023年8月4日(金)より、渋谷シネクイントほか公開監督・脚本:ふくだももこ
原作:西加奈子「炎上する君」(角川文庫/KADOKAWA)
劇中歌:ゆっきゅん「DIVA ME」
エンディング曲:ゆっきゅん「NG」
出演:うらじぬの ファーストサマーウイカ 齊藤広大 中井友望 南久松真奈 大下ヒロト 中山求一郎 當山美智子
大中喜裕 千綿勇平 桜井鉄也 夏 定森安南 山本彩実
影山徹 あやかんぬ 国海伸彦 清水てっぺい 宗綱弟 山田果歩 林周雅 服部大成 坂口彩夏 岡田優 財田ありさ 野田佳代 湊さやか
配給:レプロエンタテインメント
【ストーリー】 高円寺の高架下。アップテンポなダンスチューンに合わせ、おもむろに脇毛を見せながら踊り狂う二人の女性・梨田と浜中。彼女たちは唯一無二の親友である。高円寺の銭湯。「50代の男性と14歳の少女の真剣な恋愛」「政治家の女性蔑視発言」「医学部での女性受験者の一律減点」など、日々起こる女性への抑圧に二人は傷付き、憤る。ひょんなことから、二人は脇毛をたくわえ、ダンスをすることで自分たちを解放するようになる。誰のためでもない自分のために脇毛を生やし、晒す二人。そんなある日、高円寺周辺ばかりに出没する「炎上する男」の噂を聞きつけた浜中。噂はどうやら真実味を帯びており、二人は一度でも目にしたいと好奇心を頼りに探し回る。ぼうぼうと足が燃える男。その男は、一体何者なのだろうか。
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