ピーター・バラカン「極めて貴重な教育」コメント到着!『ぼくたちの哲学教室』予告編

北アイルランド、ベルファストにあるホーリークロス男子小学校で行われている哲学の授業を2年間にわたり記録し、第49回日本賞(NHK)の一般向け部門で「最優秀賞(東京都知事賞)」、第18回アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞で「最優秀⻑編ドキュメンタリー賞」などを受賞したアイルランド・イギリス・ベルギー・フランスの合作映画『ぼくたちの哲学教室』が、5月27日より公開される。このほど、予告編がお披露目となり、併せてブロードキャスターのピーター・バラカンよりコメントが寄せられた。

本作はケヴィン校⻑と子どもたちによる微笑ましくも厳粛な対話がニコラ・フィリベールの『ぼくの好きな先生』を彷彿とさせ、国内外の映画祭で多くの賞を受賞した注目作。アイルランドで最も有名なドキュメンタリー作家の1人であるナーサ・ニ・キアナンと、映画の舞台となったベルファスト出身で⻑年にわたり映画編集者として活躍し、米雑誌「シネアスト」にも定期的に寄稿をしているデクラン・マッグラの2人による共同監督作品となっている。

予告編では、エルヴィス・プレスリーを愛するケヴィン校⻑と子どもたちの微笑ましい姿とともに、北アイルランド紛争の記憶と分断が残る街の様子が映し出される。プロテスタントとカトリックの対立が⻑く続いたベルファストの街で、新たな憎しみの連鎖を生み出さないために何ができるのか?哲学的思考と対話による問題解決を探るケヴィン校⻑が、時にユーモアを交え、時に威厳を持って生徒たちに向き合う姿と、子どもたちのさまざまな表情が印象的な予告編となっている。

■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)コメント
ベルファストといえば、約30年にわたって内戦に近い状態が続いた街。あれから更に20年以上経ってもしこりが残る環境で育つ子供たちの心はなかなか穏やかになりにくいはずです。ケヴィン校⻑が小学生の男の子たちに施している極めて貴重な教育は次世代の感性に深い影響を及ぼすと思います。このような教え方は全世界で取り入れる価値が大いにあります。

『ぼくたちの哲学教室』
2023年5月27日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
監督:ナーサ・ニ・キアナン デクラン・マッグラ
出演:ケヴィン・マカリーヴィーとホーリークロス男子小学校の子どもたち
配給:doodler

【作品概要】北アイルランド、ベルファストにあるホーリークロス男子小学校。ここでは「哲学」が主要科目になっている。エルヴィス・プレスリーを愛し、威厳と愛嬌を兼ね備えたケヴィン校⻑は言う。「どんな意見にも価値がある」と。彼の教えのもと、子どもたちは異なる立場の意見に耳を傾けながら、自らの思考を整理し、言葉にしていく。授業に集中できない子や、喧嘩を繰り返す子には、先生たちが常に共感を示し、さりげなく対話を持ちかける。自らの内にある不安や怒り、衝動に気づき、コントロールすることが、生徒たちの身を守る何よりの武器となるとケヴィン校⻑は知っている。かつて暴力で問題解決を図かってきた後悔と挫折から、新たな憎しみの連鎖を生み出さないために、彼が導き出した1つの答えが哲学の授業なのだ。北アイルランド紛争によりプロテスタントとカトリックの対立が⻑く続いたベルファストの街には「平和の壁」と呼ばれる分離壁が存在する。1998年のベルファスト合意以降、大まかには平和が維持されているが、一部の武装化した組織が今なお存在し、若者の勧誘に余念がない。争いの記憶は薄れやすく、平和を維持するのは簡単ではない。その困難はケヴィン校⻑と生徒たちの対話の端々にも現れる。宗教的、政治的対立の記憶と分断が残る街で、哲学的思考と対話による問題解決を探るケヴィン校⻑の大いなる挑戦を映画化したのは、アイルランドで最も有名なドキュメンタリー作家のナーサ・ニ・キアナンと、ベルファスト出身のデクラン・マッグラの二人。およそ2年に及ぶ撮影期間中にパンデミックが起こり、インターネット上のトラブルという新たな問題が表面化するなど、子どもをめぐる環境の変化も捉えている。ケヴィン校⻑と生徒たちによる微笑ましくも厳粛な対話がニコラ・フィリベールの『ぼくの好きな先生』を彷彿とさせ、国内外の映画祭で多くの賞を受賞した注目作。

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